[書評]歴史劇画大宰相
歴史劇画大宰相 第1巻 さいとう たかを, 戸川 猪佐武 著
マンガで学ぶ歴史ということでもう1冊。下書きでお蔵入りしていたのを復活させてしまおう。まあ、これも書評というより感想レベルだな。
歴史のレンズの比喩を再度使わせてもらう。今度は、ちょっとレンズが近すぎる。石ノ森章太郎の信長、秀吉あたりを扱った巻のときは、ちょっと遠すぎてピンぼけしている感じがした。これは、逆にマンガというメディアでは、ちょっと荒すぎる。やっぱり、原作にあたらなくてはだめだと感じた。この本だけでは、吉田茂がどういう動機で動いたか、どういう判断をくだしたかが現れてこない。信長や秀吉なら、結構歴史というフィルターが余分な、いらない行動やエピソードを省いて、かなり詳細に語ったとしてもきちんとその像が写ってくる。吉田茂では、マンガでは粒子があらすぎるようだ。
しかし、ここで問題にすべきなのは、占領軍の統治下で宰相をやるということがどういうことなのか、いかに日本が徹底的にアメリカにコントロールされていたのか、どれくらい我々の父祖が貧しい生活を耐え忍んできたか、そういったことを学び取るべきであろう。
また、戦後の混乱期で政治家というものが、何を目指してきたのが、どうして自民党を作らねばならなかったのか、そういう事実をまなんばないと、ほんとうのいまが見えてこないのだなと一人で納得している。
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