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2004年3月25日 (木)

戦争と貿易

少し以前からの疑問がある。A国とB国があったと仮定する。この二国間の関係で、戦争をするのと、貿易をするのと、どちらが利益をあげられるか、という疑問である。通常の答えは、貿易をするということに帰結する。比較優位という考え方がある。Xという製品とYという製品が貿易可能だとする。そして、A国とB国でXとYの生産効率がすこしでも違うのなら、貿易して生産効率の高い製品に特化することでA国もB国も、そして、結果的に両方の国の生産量の合計をもたかめられるというものだ。

戦争はある意味比較優位の全く逆だ。核や想定されうる細菌兵器という相互完全破壊のオプションを除外して考えれば、どちらかが少しでも武器の生産効率が高ければ、長い間にはかならずその国が勝つことになるだろう。そして、相手方の国を完全に自国の利益に組み入れられれば初めて利益が生まれる。戦争をしている間は、戦争による破壊や精算のためのリソースが兵器につぎこまれることになるので、市民の生活のレベルの向上や財の蓄積という観点からは、両国ともマイナスにしか働かない。

しかし、現実には戦争が起こっている。いまもきっと続いていると考える方が自然であろう。とすると、なにか仮定に間違いがあるということだ。戦争がA国、B国どちから一方のものであっても、国の利益につながるのだとすれば、もうすこし前提を変えてやる必要がある。これは、たぶん、兵器の問題と情報の問題だ。兵器の問題とは、除外してしまったいわゆる「大量殺戮兵器」による完全相互破壊の可能性だ。だ。戦争という選択肢をとることにより、ほぼ確実に自国の壊滅をまねくとするなら、かなりエキセントリックな指導者でないかぎり選択しない。

貿易と戦争の比較に関する上の思考実験では、背景にある仮定として相互に完全に情報がいきとどいているということだ。

...と、ここまで書いたときに「小さな目で見る大きな世界」のstandpoint1989さんの記事を読んでしまった。これ以上ながなが書くより、はるかにポイントをおさえていらっしゃるこの記事を読んでいただくほうがよいと判断した。また、この稿はいつかの時点であらためたい。

■参照リンク
デヴィッド・リカード (文中に"comparative advantage"=比較優位の説明あり。) THE HISTORY OF ECONOMIC THOUGHT WEBSITE
競争力の研究「製品の比較優位」 経済産業研究所
距離、時間、そして統治と戦争

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コメント

うんと、まずはじめに・・

「比較優位」の確認です
(批判じゃないです。ぼくの理解が間違ってるかもしれないので)

「比較優位」って、<「たろ芋貿易」ではA国のほうがB国よりもすぐるれてるぞ>、って考えですよね?

んで、
だんだん「たろ芋貿易」におけるA国の位置がポータルっていうか・・「たろ芋ならA国にかなうものはいない」ってなっていくっていう..

これって・・
生産効率だけで考えるとまずいのでは..?(^^;)?

つまり、
生産効率だけで考えると、どうしても理解不能なところが出てくるんです.
んで、
それよりは「なんだか知らないけどA国のほうがB国に優るようになってて・・それが歴史的に続いてきた(信頼の形成)から、いまは「たろ芋」っていったらA国だ、ってなった(比較優位は歴史的偶然性によって形成された)>って考える方が自然な感じ・・・ってクルーグマンあたりが言ってたきがします...(「クルーグマン教授の経済入門」だったかな..)

んで、それはいいとして

たしかに、「社会全体の生産性」というルールから考えると戦争というものはコストが莫大にかかるだけなので無駄なものなのですが・・・
「戦争」というものをあらかじめ第一ルールとしている国の場合はどうでしょう?

つまり「戦争」の優先順位がほかのもの(システム)よりも強いので、経済的生産性というものも「戦争で勝つために」って論理の中で消化されていく...
(戦争で勝てば、借金は帳消しですからね)

んで、
そういう国はいつも戦争状態のつもりでいるような気がする..

はい、
北朝鮮ルールってことです(...たぶん)


戦争とか戦略、あるいは戦術レベルで考えると、
<味方の損害を最小限に抑え、敵の損害を最大限に上げる>って感じになるので、そのルールの元ではどのようなコストもコストとして考えられなくなるのだと思います
(cf.大戦中の日本のルール)

ただ、きたちょーが本気で臨戦態勢になっているかどうかはびみょーですが....


投稿: m_um_u | 2004年3月26日 (金) 03時58分

あ・そうだ
全然関係ないけど、こんなの見つけました

「京都・哲学の散歩道」
http://walking.exblog.jp/

・・なんか・・春って感じですねぇ...(*^^*)

投稿: m_um_u | 2004年3月26日 (金) 04時08分

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