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2004年3月31日 (水)

[書評]職業としての政治

職業としての政治 by マックス・ヴェーバー


そう、「職業としての政治」だ。これは本当にすばらしい本だ。たとえ政治へのかかわり方が、パートタイムであろうと、フルタイムであろうと、投票しかしない人であろうと集票マシーンといわれる人であろうと、この本に現代に至る政治の形がみな書いてあるように思う。ちなみに、本当に選挙を中心としる装置、マシーンという言葉がこの本の中にでてくるのだが、この言葉を一つのキーワードとして、なぜ自民党のような政党では、議員はたんに票を投じるだけの存在になるのか、なぜ幹事長というのがあんなにえらいのか、みなこの本の中で説明されている。本当に蒙を啓かれるとは、このことをいうのであろう。

この本は、マックス・ヴェーバーの最晩年の講義をまとめたものだという。1920年が没年であるので、死の1年前である。第1次世界大戦が終わったばかりのこの時期に、ここまで現代にいたるまでの政治の形について正確に分析し、人々のそれからの動きについて予見していたということは、筆舌に尽くしがたい価値があると思う。この本の、もう一つのすばらしさは、ヴェーバーのドイツの青年に向けてのことばである。青年達を育てようとする、ヒントを与えようとしている最後の節の言葉はほんとうに胸にしみる。

いくつか、気になった言葉を抜け書きしたい。ちなみに、テキストは岩波文庫版による。

*()内は、私の補足を示す。
*「...」は途中省略個所を示す。

p.9
国家とはある一定の領域で...正当な物理的暴力の行使の独占を...要求する人間共同体である、と。

p.14
どんな形態の政治的支配?伝統的支配、合法的支配、カリスマ的支配

p.22
人が経済的な意味政治でのために生きることができるためには...ずばり言えば、恒産があるか、でなければ私生活の面で十分な収入の得られるような地位にあるか...

p.23
労働者だけでなく...企業かも、そして近代的な大企業家の場合はとくに、この意味での余裕がない。

p.28
アメリカ合衆国では、猟官政治家による素人行政によって、...数十万の官吏が大統領選挙の如何で替えられてしまい...

p.25?
「職業政治家」は、...その第一は聖職者で、...第二は...文人である。...第三の階層は、宮廷貴族である。..第四の範疇は、...「貴紳」(ジェントリー)...第五の階層は...法律家である。

p.39
そして、事件を利害関係者に有利なように処理することこそ、まさにヴェテラン弁護士の腕というものである。

p.41
政治指導者、したがって国政指導者の名誉は、自分の行為の責任を自分一人で負うところにあり...

p.43
つまりジャーナリストは一種のアウトサイダーとして、...社会的に評価される。

p.48
権力者が定期的に選ばれるようになると、政治は必然的に利害関係者による運営という形をとる。


p.50
(イギリスの場合のように)大貴族、わけても国王は、選挙法改正まで多数の選挙区における官職任命権を握っていた。

p.51
(イギリスでつくられた政治)クラブの指導は臨時の仕事なので副業や名誉職としておこなわれ、クラブのない場合も...同じく副業や名誉職として行われていた。

p.53
(フランスの場合)代議士はそれぞれ官職任命権をもち、また一般に、自分の選挙区のあらゆる問題について各種の恩顧を施したが、...地方名望家との接触も忘れなかった。

p.54
もちろん実際に権力を握っているのは、経営の内部で継続的に仕事をしている者か、...政党政治の根っこのところを金銭や人事の面で抑えている人間たちである。...アングロサソン諸国ではこれを、「機械」(マシーン)などとうまい言葉で呼んでいる

p.58
(イギリスで)この党首とならぶ党組織の最も重要な職業政治家といえば「院内総務」である。

p.61
今日イギリスの国会議員は、2,3の閣僚(と若干の奇人)をのぞいて、一般に訓練の行き届いたイエス・マンにすぎなくなっている。...議員は投票だけして党を裏切らなければよい。

これからがクライマックスですが、ちと寝ます...続きはこちら...

■参照リンク
name by イノガミさん

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コメント

ひできさん、こんにちは。
トラックバックありがとうございました。
ひできさんのおっしゃるとおり、ヴェーバーのすばらしさは今でも変わることが無いと思っています。
彼を単に「古典」としてしまうのはとてももったいないですね。
今でも読む価値が十分にあります。
そういった意味で、ヴェーバーという人は社会や政治にかんする本当の本質に迫った数少ない巨人だと思います。
最近の学生は、なかなかとっつきにくいようで手をだしません。
ですが、この「職業としての政治」と「職業としての学問」は最初に読む本としてちょうどよいのでしょうね。

投稿: イノガミ | 2004年7月28日 (水) 23時02分

イノガミさん、こんばんわ、

わざわざおでましをいただき、ありがとうございます。

正直、「プロ倫」は何度か挫折しております。岩波かどこかで出ている文字の大きな本のシリーズを手に入れて、これなら読めるだろうとたかをくくって読み始めたのですがいつのまにかどこかへいってしまいました。どうも縁がうすいようで...

しかし、イノガミさんのご意見をうかがって再度チャレンジしてみようかなとか思いました。ちなみに、調子にのってこんなリストもこそっと、作ってみました。ご意見いただければ幸甚です。

http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/07/teenager_books.html#adult_books

投稿: ひでき | 2004年7月29日 (木) 20時43分

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