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2004年6月19日 (土)

ベキ乗の法則とプロ野球1リーグ制

プロ野球で、オリックスと近鉄が合併することを軸に、1リーグ制に移行する可能性があると聞いた。私は、実は野球が全然わからない。正直、朝のニュースでイチローさんが活躍しているのを少し見るくらいで、日本のプロ野球に誰がいて、どこの球団が今勝っているのかもしらない。ただ、興行的に見ると巨人がダントツで成績をあげており、日本テレビと読売新聞の業績もかなり巨人軍の人気によるところがあることは知っている。長島前監督が辞任する前に、「長島をやめさせたら新聞も読売をとらない。テレビも日本テレビを見ない。これはおれだけじゃない。」と言い切っていた知人がいる。

これは、外部「不」経済が存在するとすれば顕著な例なのであえて書く。

話はベキ乗の法則なのだが、プロ野球もこの法則で興行成績を記述することができるのではないだろうか?これはあくまで仮定だが、結構自信がある。セ・パ併せて12球団ある中で、ざっと「20:80の法則」を仮定すれば、2球団ないし3球団がプロ野球関連の売上のかなりの部分をしめることが予想される。そして、最近の近鉄の収益確保をめぐる迷走ぶりをみれば、各球団を保持するだけで相当額が必要になり、まして勝ちにいくためには、さらに多くの契約金などを選手に払わなければならないというコスト高の体質にあるように思う。しかも、固定費としてかなりの金額がかかっているのであれば、最大80%を3球団がもっていって、残りの20%を9球団がとるということでは、上位3球団と下位9球団では、平均で(80%÷3)÷(20%÷9)=平均12倍もの売上の差が生じることになる。上位3球団で、固定比率が売上の仮に10%(>1/12)を超えるということであれば、これだけでたぶん下位9球団は赤字体質であるということになる。しかも、下位にいけばいくほどこの傾向はひどくなっていくはずだ。

たぶん、プロ野球選手は「霊能者より貴重な才能」なのだろうが、その非常に少ない割合でしか存在しないトップスターが大リーグに日本の1球団の年間運営費に匹敵するかもしれない契約金でひっぱられていくとしたら、客をひける選手を下位球団が陣容に加えることは不可能だといってよいのではないだろうか?バブル以前であれば、親会社がブランド価値をあげるという名目で、投資したのだろうが、現在の功利主義的な世の中でそんなことに大きな金額を使えば、そのまた投資家達からそっぽをむかれる。

全く門外漢なので、見当はずれかもしれないが、私には、こうしたベキ乗の法則に準じたようなじり貧な状況におかれているのが、いまの球団経営であろうと推測する。そして、私が「外部不経済」だと呼びたいのは、上位と下位とで大きな差が開く構造にある市場においては、運営あるいは生存に必要な費用すら下位の球団が得られないような状況だ。この構造は、1リーグになっても、それぞれの特色が地方フランチャイズということ以上に差別化できるのでなければ、巨人1球団だけが生き残るまで続く。そして、地方にも支える力はない。また、いうまでもなく巨人1球団だけではリーグは存在しえないだろう。

どうしたらよいのかは、私にもわからない。もしかすると、私はあまり好きでないが、何らかの規制、申し合わせというものが必要なのかもしれない。あるいは、差異を作るマーケティング努力なのかもしれない。

■用語の対比

ちなみに、べき乗則とかいたからには、適用条件があてはまるか検証してみなければならない。概念として、どのように対応するかの試案を下の表に示す。

<表1. プロ野球の構成要素 vs ネットワーク構成要素>

球団 vs ノード
試合 vs リンク
シーズン vs レイヤー
巨人 vs ハブ
観客 vs トラフィック
リーグ vs ネットワーク
球界 vs ネットワークのきわ

■追記 (平成16年6月26日)

用語の対比に、「リーグ」と「球界」を加えた。野球というゲームの魂が決まれば、リーグの形も球界の形もおのずと決まるのだと思う。これは、公理系がきまれば可能な命題、可能な真偽が全て決まるということと相関関係なのかどうかをいま考えている。

■参照リンク
[スポーツ]はてなプロ野球’04 by 小烏丸さん
組織の魅力と働くワタシのモチベーション・意欲 by onoさん
関西私鉄陣のユーウツ by akillerさん
[書評] べき乗則、ウェブログ、そして、不公平さ (HPO)

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コメント

こんにちは。トラックバックありがとうございます。
世間の騒ぎとは全然違う視点で書かれていたので、またまたこちらもトラックバックしてしまいました。私もプロ野球が全然ダメなんですが、鉄道会社がどんどんチームを手放してきた経緯を見ると一つの感慨を覚えます。
弱小でも魅力がある限りチームを残していかないと、本当にひできさんの言うような末路が心配ですねぇ。

投稿: akiller | 2004年6月19日 (土) 18時24分

はじめまして。拙文をTBさせていただきました。

ワタシも野球そのものには、あまり興味を持つ者ではありません。実際には実現不可能な荒唐無稽なプランと思いますが、少々皮肉をこめて考えてみました。日本のプロ野球、経営的に成り立たない民間の事業を存続させている、という感覚がよく分かりません。

チーム数が減少して、日本のプロ野球という構造そのものが成り立たなくなるのであれば、アイスホッケーのように国境を跨いだリーグというのもアリでは?と思います。

本来は、メジャー・リーグより韓国・台湾を先に考えるべきなんでしょうか・・・。

投稿: Flamand | 2004年6月19日 (土) 19時03分

akillerさん、こんばんわ、

ほんとうに、一番大事なのは、それぞれの地域で特色を発揮していくことなのでしょうけれど、もしかすると地域というかたまりが機能しなくなっているのではないでしょうか?テレビや交通網の発達で、日本がひとつになりすぎたのかもしれません。

必要なのは、フランチャイズ元の地域をひとつにしてしまうような魂をもった球団運営だと思います。お金など量ではかれない価値をどう生み出すかが大事なのではないでしょうか?量で測れるものは、きっとべき乗の法則で記述できるような現象を起こしていきそうな予感があります。


Flamandさん、はじめまして、こんばんわ、

大リーグの一部になってしまうと話は、日本が51番目の米国の州になってしまうという議論を思い出しました。最近、なにかそういうことをわらいとばせないくらい、日米がリンクしているのかもしれません。少々、背中が寒いです。

投稿: ひでき | 2004年6月20日 (日) 00時16分

ひできさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

野球に関してはトウシロなもんで、偉そうなことは言えませんが、日本のプロ野球には将来の明確なVisionが見えません。スポーツを楽しむのにそんな面倒くさいモノはいらん!と言われてしまえばそれまでですが、その実現性は置くにしてもサッカーの川淵氏は「21世紀中の日本でのW杯(単独)開催、優勝」というVisionをぶち上げています。サッカー界もそれほどのバラ色の夢ばかり見ていられない厳しい現実もあるのですが。

メジャー・リーグの一部は冗談にしても、まずは企業におんぶにダッコの体質から抜け出す方策を考えるのが先決ですね。一時期開幕バブルに踊ったあとのJリーグのように、選手の年俸を下げることも必要でしょう。この世界だけ、経済原則が通用しないというのは、明らかにおかしいと思います。

投稿: Flamand | 2004年6月20日 (日) 01時28分

日本のプロ野球とアメリカのプロ野球で違うなあと思うのは、正式名称ではなく、略称でチームを呼ぶときに、都市名やチーム名ではなく、企業名で呼んでいること。企業名をインプットするという観点からの広報目的は容易に達成されていますね。北海道日本ハムファイターズは、「札幌」とか「ファイターズ」ではなく「日ハム」、「阪神タイガース」は「阪神」、ヤクルトスワローズは「ヤクルト」。不思議なことに例外は読売ジャイアンツで、これは「巨人」になる。

アメリカの野球では、チームが企業名で呼ばれるなんてことは、これはないですよね。

投稿: koh | 2004年6月20日 (日) 02時57分

Flamandさん、おはようございます、

kohさんがおっしゃるように、球団が企業に依存してしまっているというのが異常事態なのかもしれませんね。スポーツって、かなり自分が立っている場所への愛着の表現なのかもしれません。あ、もっといえば、部族間の戦争の代替行為なのかもしれません。

http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/04/post_14.html">http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/04/post_14.html

自分の立っている場所への愛情を確認しあうために、スポーツをみるのだ、スポーツに積極的にかかわるのだ、という姿勢を案外日本のプロサッカーはうまく表現しているような気がします。ブログを読ませていただいていても、かなり自分の地域のプロサッカーチームに入れ込んでいらっしゃる方の記事を見ます.

一方、べき乗の法則に支配されつづけている経済行為を行う企業はつねに地域を超えていかないと商売ができない宿命にあります。しかし、野球が企業の宣伝手段でしかなく、宣伝は地域を越えていかなければならないとすればするほど、全ての球団が巨人になるしか生きる道がないという矛盾に直面するということになります。ほんとうは、それぞれがヴィジョンをもって、自分のチームを自分の戦いとしてみてくださるファンを育てていかなくてはならないのかもしれません。

kohさん、おはようございます、

とても大きなヒントをありがとうございます。非常にいま腑に落ちております。

巨人が巨人でいいというのは、巨人と読売の関係にあるのかもしれません。これはひとつのビジネスモデルだと思っているのですが、巨人のニュースを知りたければ、読売を読む、日本テレビを見るというときに、読売巨人軍が一般呼称だと多少おてもりすぎる感じを視聴者、ファン側がしてしまうということを、さけようとした読売新聞側の作為かもしれません。

ずえんずえん話はとびますが、→にグーグルの広告を実験的に入れてみたのですが、ちゃんとこの野球の話をしていると野球関連の広告がならんでいるということに感動しております。ちゃんとホームページの文脈を読んで選択的に広告を出す機能なのだそうです。やっぱり、世の中どんどんすすんでいるのですね。

投稿: ひでき | 2004年6月20日 (日) 06時48分

いまこのテーマで書いている人、野球をあまり知らない方が多いようですね(クスッ

実は私も余りよくわかっていません。ただ、阪神のような、突発的に勝ちまくるチームが出てきたり、普通だと弱いとされているチームで打ちまくる選手が出てくる一種の「ゆらぎ」が出てくると、非常におもしろくなります。そういうときはけっこう見てしまいます。たまに行くワインバーなどで巨人ファンの紳士をからかうのが酒の肴として非常によろしい。

さて、ひとつのエコシステムとして日本野球を長持ちさせる方法を考える立場になったとき、いろいろな方法がありそうです。わたしなら、一定の予算を組んで、意識的にゆらぎを作るような方策をとりたいです。

一番簡単な方法は、一定のルールの下でチームを選択し、その勝ち点にゲタをはかせてしまうとか。一種のハンディみたいですが(金がかからない)。

外人選手を雇うときの資金援助とか(金がかかるけど)。

野球で世界大戦をするのもいいですよね。

投稿: miyakoda | 2004年6月20日 (日) 11時11分

野球で世界大戦、たしか今度、野球のワールドカップみたいなリーグ戦?をやるんじゃなかったでしたっけ?

投稿: koh | 2004年6月21日 (月) 19時29分

miyakodaさん、kohさん、こんばんわ、

おもしろい記事を見つけました。なぜか「野球 世界大戦」でぐぐったら見つかりました。

「巨人一人勝ちの経済学的分析」
http://www.iser.osaka-u.ac.jp/~ohtake/column/giants.pdf

同じような問題意識(?)から出発して具体的にどうしたらよいかがかかれているように見えます。

投稿: ひでき | 2004年6月21日 (月) 20時02分

おー、この大竹さんのコラム、面白いですね。生まれ故郷の田舎町に大型の安売りショッピングセンターができるので街でお話題になっているみたいです。行政の人や政治家がこうした視点で行動していくと、けっこう面白いアイデアが出てくるのではないかと思います。

食料品などの場合、人口減少や高齢化で、中長期的にはいろいろ厳しい影響を受けると思います。こうしたルール作りをしないと、破壊しか残らなくなるのではないかと…。

投稿: miyakoda | 2004年6月23日 (水) 17時21分

miyakodaさん、おはよございます、

べき乗で表現される力の破壊的な側面をどうかわしたらいいのか、ここのところ考えています。

先日、私どもの業界のメンバーでごくごく小規模なパネルディスカッションをおこなったのですが、案外交通が不便であるとか、人口が少ないため流通業界が進出してこないとか、田舎の地域で検討している仲間がいることがわかりました。

そうすると、いっそ道州制でないですが、地域ごとにある程度の障壁を強制的に設けてしまうというのも、ひとつの手かもしれない、と。あるいは、江戸時代のように藩毎で人口の移動を抑制して、街道に関所を設けるというのも、経済的、技術的には停滞をもたらすかもしれませんが、べき乗で表現される力を分散させる手ではあると感じました。

しかし、強制でなく、共生でこれを実現する方法はないか?それは、広い意味での文化なのだろうか、と試行錯誤しております。

投稿: ひでき | 2004年6月24日 (木) 06時49分

こんにちは。
日本のプロ野球にはよくあてはまるということですね。アメリカの大リーグの場合はどうなんでしょう?やはり人気が一部の球団に集中しているんでしょうか。ではJリーグは?セリエAは?サッカーのワールドカップやらオリンピックなんかではちょっと成立しそうもないですねぇ。
要は、べき乗の法則は中心が1つしかないシステムの場合に成り立つ、という理解でよろしいんでしょうか?とすると、うまく中心を拡散するとその状況を変えられるとか?

投稿: 山口 浩 | 2004年6月24日 (木) 09時57分

こんにちは、話題は野球からは大分ズレますが

>地域ごとにある程度の障壁を強制的に設けてしまう・・・

いづれ、弊サイトで取り上げようと思っている話題ですが、TOYOTAが国内に投入を予定しているLexusブランドは、U.S.でのディーラ展開において、この地域的な制限を行っています。つまり、同じLexusディーラ間での競合を起こさせないという販売政策で、このため米国ではLexusは定価販売を崩していません。もう一つのメリットはディーラ間での競合が無いため、あるディーラが開発した顧客サービスをシェアできるということです。

但し、これはLexusブランドという括りの中での話ですが。

投稿: Flamand | 2004年6月24日 (木) 11時09分

山口さん、こんにちわ、

多分、おっしゃるとおりだと思います。そこにいま関心があります。そして、その境を造るのはなにかというのが一番の関心があります。

Flamandさん、こんにちわ、

鎖国、幕藩体制、選挙区割り、国境、すべて強制的な境だと思います。Lexusも、全米のエリア分けをしなければきっと価格統制がとれなくなるということをTOYOTAはよく分かっているのだと想像します。やはり、かしこいですね。

投稿: ひでき | 2004年6月24日 (木) 15時14分

ひできさん、こんばんわ
遅ればせながら、プロ野球のこと調べました。
本旨とあまり関係ないと思いますが、一応トラックバックしておきます。
それから、選挙の話題についていけなくて寂しいです。
どうも選挙は昔から苦手です。まだ一度も選挙に行ったことがないんですよね!熱が入らないんですね。こういう自分はよくない人間なんでしょうか?教えてください(笑)

投稿: it1127 | 2004年7月12日 (月) 00時06分

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