「負け犬の遠吠え」
■はじめに
がらにもなく、「負け犬の遠吠え」について書く。実は、まだ酒井順子さんのこの本をまだ読んでいない。だから、正確に言えば、これから書くことは瀬戸智子さんの記事を読んで感じたことだ。
・「シャロット姫からノーラまで」 by 瀬戸智子さん
なかなか「負け犬」の話しが出てこないが、最後にわりとまとまって出てくるので、ご辛抱を!
■問題ってなに?
まずは、自分の問題意識から開陳する。問題意識とは、今の日本でいくつかの深刻な問題が野放しにされているように感じることだ。
・人口減少
・三権分立のゆがみ = 行政府、官僚の強大な力
・選挙に対する関心の低さ = デモクラシーへの低い理解
人口減少についてはあとで書くとして、三権分立のゆがみについて代表的な例は、公的年金の積立金だ。いい悪いの判断は置くとして、国民年金、厚生年金などを合わせた公的年金の積立金の総額は230兆円を超える。しかし、この莫大な資金の運用や使途は、国会への財政報告の範囲からはずれた存在だ。毎年の年金の収支報告を読む限り、年金の収入と支出はいまのところバランスしているので、このうちのかなりの部分は税金からの繰入額を平成7年以降に積み立てたものだ。
・「積立金」 @ Yomiuri on-line 「変る年金」
・年金財政ホームページ 厚生年金 @ 厚生労働省年金局
・年金財政ホームページ 国民年金 @ 厚生労働省年金局
ちなみに日本のメガバンクの預金量あわせても215兆円しかない。郵便貯金の預金量239兆円でやっと、公的年金の積立金総額に匹敵する。「しか」とか書いたが、あまりに桁が大きすぎるので、私の理解を超えている。1兆円って一万円札で何枚だっけ?積み上げると富士山の何倍だっけ?
<預金量>
・東京三菱銀行:56兆円(平成16年3月期)
・三井住友銀行:60兆円(平成16年3月期)
・UFJ銀行:49兆円(平成16年3月期)
・みずほ銀行:50兆円(平成16年3月期)
<郵便貯金>
・239兆円(平成13年)
ああ、そうそう国家予算ってたしか80兆円くらいだよね。さすがに、230兆円をむやみやたらとは使えないはずだが、国家予算を超える規模の資金をたぶん厚生労働省の一部局で担当している。私の想像の範囲のはるか先にある力だ。とにかく、厚生官僚だけをとっても我々の感覚をはるかに超える力をもっている。公的年金という、官僚の力のほんの一端を調べてみただけでも、私にとっては天文学的に思える資金にぶちあたる。全省庁の握る力とはどれほどのものなのだろうか?
■ばかな男の子どもは産みたくない!
話しは一転して、人口減少の問題について書く。人口減少というときに、私に浮かぶのがしばらく前にみた衝撃的な発言だ。「人口減少とかいってもしょうがないじゃない。ばかな男の子どもなんて産みたくない。」というコメントだ。
ああ、どうしてもこのコメントが見つからない。確かにどこかで見たのに!なぜ?
人口問題は、ほんとうに根の深い問題だ。小学校の頃に、社会科の副教本にドイツの若い夫婦のインタビューが載っていた。インタビューであるドイツ人女性は、「子ども?子どもは移民たちが生むものなのじゃないの?」と応えていた。子ども心にこの答えが焼きついてしまった。セックスすらろくろく知らない小学生がなぜこんなことで悩んだのかいまとなっては私もわからないが、日本でこういうことが言われるようになったらそうとうやばいだろうなと感じたことは忘れない。ちなみに、この傾向は副教本から30年近くたって今でも、ドイツでは深刻な問題になっているようだ。
・ドイツの人口問題と移民政策 by 田中信世さん
「負け犬の遠吠え」の酒井順子さんのホンネもこの辺にあるのだろうか?
・「少子」 by 酒井順子 (アマゾンの書評参照)
瀬戸さんの記事を読ませていただいてから、少子化ということについてあちこちのサイトを読ませていただいた。実際、かなりの複合問題だと思う。この問題を、「産む性」という役割を、女性の側だけにおしつけてしまってはいけないとは思う。
・「少子化問題についてのひとりごと」 by 武蔵健さん
しかし、どうしても頭から離れないのは、しばらく前に読んだ「America's Role in Nation-Building: From Germany to Iraq」というランド研究所の出した戦後の占領政策に関する分析レポートだ。
・America's Role in Nation-Building: From Germany to Iraq @ Rand
このレポートには、米軍の指示による日本における「女性解放」が日本を弱体化させ、二度と戦争を起こせない国にするために行われたと書いてあるように理解した。憲法をはじめいまの日本の形は戦争中の「挙国一致体制」の中でできた機構と、敗戦後の米軍が明確な意図のもとで行った政策によって見事に運命づけられているように感じる。
これらの政策が見事にあたり、フェミニズムは見事に日本に根付き、酒井 順子さん風にいえば「負け犬」の方たちが非常にいごこちがよい社会が実現し、誰も気概のないくだらない男どもの子どもは産みたくなくなり、60年先には人口が半減してしまうような国になっている。
・人口、世代、そして闘争へ (HPO)
■ぼくらはみんな負け犬なのか?
そして、最初の3つの問題にもどる。
・人口減少
・三権分立のゆがみ = 行政府、官僚の強大な力
・選挙に対する関心の低さ = デモクラシーへの低い理解
私には、そう私自身を含めて、誰もこれらの問題を解決しようとしていないように思われてならない。フェミニズムの問題も、年金の問題も、過大な国の債務の問題も、すべて先の世代へ、先の世代へと問題を先送りにしているのがいまの日本の現状なのではないか?いまここで解決しようとせずに次の世代へ先送りすることが、全体的な了解事項となっているような停滞感がただよっている。
なぜか?
それは、いまの国民全体が負け犬だからだ。
戦争に負けた。
お役人に負けた。
自分の所属する組織の重みに負た。
負けた男の子どもなんて、女は産みたくない。
そして、そんな負け犬だから、問題を解決する力などないのだと、簡単に自己規定してしまう。だから、無駄な選挙になんかもいかない。デモクラシーなど理解しない。その父祖が流した血の重みが分からない、負け犬だから。
瀬戸さんが書かれていた「シャロット姫」は、いまの日本人の姿なのかもしれない。豪奢な部屋に住んでいても、そとを見ることがゆるされず、足には糸がまきつきいている。ようやく外の世界を見たときには、死んでしまう。
(ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス画、Arts at Dorianからリンク)
つまりは、今現在日本の国民でいるということをフランシス・フクヤマ風にいえば、原初の戦いに敗れ命乞いをしてようやく生き延びている負け犬である、ということなのだ。そう、しかも飼いならされた負け犬だ...私がここで書いていることも負け犬の遠吠えにすぎない。
それでもまだ、これらの問題点を解決しないまでも克服する力をいまの日本の国民ならまだもっている。まだ、我々の子どもたちに対して残すべきものがある。しかし、なぜその力を行使しようとしないのだろうか?あるいは、この問題を早くから自覚して、まだ解決しうる時に力を持っていたにもかかわらず何もしなかった人たちというのはなんなのだろうか?自分の保身がそんなに大事なのか?その人たちに子どもはいないのだろうか?その人たちは自分の墓場になにをもちこもうというのか?
あまりの無力感に立ちすくんでしまう。
■参照リンク
「手抜き」と御叱りをいただくかもしれないが、ここのところいただいたトラックバックの一覧+αを「ブロガー補完計画」から転載させていただく。くりかえすが、トラックバックをいただいた方々には志を同じくする方、いない方があるが、関心をもつという一歩において共通点を見出させていただいたと感じている。
(順不同)
・ブログつながり、下呂・余市 from ネットde監視、地方議会
・ ふじすえさんを飲もう!に参加 from バサラの精神をもつ知的体育会系
・ ネットの可能性と民主主義 from 奇兵隊.blog
・ そうだ、選挙、行こう。7・11 from くりおね あくえりあむ
・【Column】『公(おおやけ)』という心。 from ::: nims :::
・たったひとつの スマートな抵抗 from 瀬戸智子の枕草子
・ 「日本の選挙を退屈にしたのは誰なんだ?」 from 愛のまぜご飯
・ そろそろ変えようか from 闘うリベラルのチャンネル
・ そうだ、選挙に行こう(1) from あれ、これって青春?
・ ★参院選の正しい選び方?(2) from あざらしサラダ
・ 内閣不支持42%、支持は40%に急落 from 若旦那の独り言2004 Ver.3
・ ★参院選の正しい選び方?(3) from あざらしサラダ
・ 明日から更新をストップせねばりません from 民主党 参議院 比例区 第46総支部長 ふじすえ健三 blog
・ 寅さんとバカボンパパ from くびったけじゃないもん!
・ ポスター掲示中止と「公正」の後ろめたさ from dailywatch
・国会がもし民主主義的だったら ラスト from たまごの距離
・[ニュース]参議院選挙 from 小烏丸の日記
・選挙と戦争は繋がってる from もげきゃっち
・投票に行く理由、行かない理由 2 from blog JUNXION
・投票に行く理由、行かない理由 1 from blog JUNXION
・選挙制度を知らなかった私--凍結したblog from Think negative, act positive
・参議院選挙関係2 from blog JUNXION
・小市民のための選挙だよ全員集合 from 藤沢生活
・選挙に行くということ from Passing Strangers
・「ブログで広がる、新しい草の根政治運動」 (m_um_uさんに教えていただいたwiredの記事)
・厚生労働省に対して情報公開請求第2弾を発射しました! by 木村剛さん (をっと、かめはめ波来襲!)
・フォスタープラン by どろんじょさん (また、稿をあらためてこの関連について書きたいです。どろんじょさんありがとう。)
・参院選、小事の終り、大事の始まり(改) by にせ藤沢人
・世界は変えられる (HPO)
・ふじすえブログ by ふじすえ健三さん
・視聴感想 負け犬の遠吠え。 by 麗さん
■追記 (平成16年7月3日)
まだ書き足らず、少々補足的な意味も込めて、続きの記事を書いてしまった。いろいろ書いていると気づくこともある...
■追記 平成17年1月5日
日本は国の財政だけでなく、家計も破綻しるのかもしれない。これじゃあ、国全体、国民全体が負け犬状態になっているのかもしれない。少子化などをめぐる問題でほとんど掲示板状態になっているのに注目!
・ライフプランの破綻 life plan? (HPO)
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ひできさん、おはようございます
>■ばかな男の子どもは産みたくない!
そのコメントって、これじゃないですか?
http://ono.cocolog-nifty.com/test/2004/05/post_22.html#c371734">http://ono.cocolog-nifty.com/test/2004/05/post_22.html#c371734
>あまりの無力感に立ちすくんでしまう。
細かいことは分らないけど、二割の人間が「より良きものを、より多く、より速く」を合言葉に盲目的に突っ走ってきた。気がついたら、手に負えない程の、「何か」を作ってしまった。これ以上生き延びる為には、やはり、一度死なないとダメかも知れない。もう複雑すぎて、何がなんだかサッパリ分りません(笑)。
投稿: it1127 | 2004年7月 1日 (木) 11時13分
私はあまりこの議論に参加する資格がない属性の人間なのですが、この話題にちょっとだけ関連して個人的に常にさらされていることについて書いてみましたので、トラックバックします。こういう風に心を痛めている人もいるってことで。
投稿: Hireotte | 2004年7月 1日 (木) 16時03分
>「我々の子どもたちに対して残すべきものがある」
私には子どもがいません。(もっとも、未婚なのですが)
でも、親世代から社会を受け継いだ者として、次の世代に受け継ぐ義務はあると考えています。
現在の選挙権を含め、戦後に「自由」を与えてもらった私たちの国は、権利は自らの手で勝ち獲るものだということを忘れてしまったのかも知れません。だから、いつまでも「負け犬」根性が抜けないのではないでしょうか。
与えてもらった自由でも、それは、もう私たちのものです。
繰り返しになりますが、私たち「大人」には、それを継承して行く義務があるのです。
ところで、私、いろいろな意味で「負け組」に属している(組織に負けたこともあるし)と思うのですが、
>負けた男の子どもなんて、女は産みたくない。
って、ショックだなぁ。
投稿: おやじじぃ | 2004年7月 1日 (木) 23時42分
it1127さん、こんにちわ、
そーなんですよ!この方のコメントです。私には衝撃的でした。ありがとうございます。
「より速く、より高く、より強く」(Citius, Altius, Fortius)っていうとオリンピックなんですけど、文化とかスポーツで究極を極める努力をするのはなにも悪くないかもしれませんが、経済とか社会体制が人を置いてどんどんすすんでしまうと、非常に大きなものがおいてけぼりになってしまうのかもしれませんね。頭のすみでちらちらしているものがあるのですが、まだ答えに飛びつかずにこの問いだけを持ちつづけます。
おやじじぃさん、
私にもショックでした。そうなんだぁ!って感じでした。
もうご了解のことと思いますが、ほんとうにこの記事は特定の誰かが負け犬だとか言っているのでなく、社会全体が酒井さん的な意味で負け犬状態になってしまっているのでないか、というのが主旨です。
つらい思いをしながらも生きていくのが大人だと思います。ほんとうの意味で人生を生きていく上での勝った、負けたというのはないですよ。生きていてなんぼです。ほんとうにどうか負け犬というのを個人的にとらずにおいてくださいね。
投稿: ひでき | 2004年7月 2日 (金) 17時59分
麗しのHiroetteさま、
とても元気づけられる記事をトラックバックいただき、ありがとうございます。ご存知ないとは思いますが、「俺の空」というマンガに日本人の男の美しさのエピソードがあります。ちょっとエッチですけどね(笑)。
やはり、男女の性愛あたりから実は政治という分野が文化という基盤の上にたっているのではないか、という話しにつながっていくのかなという気がしております。
http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/04/post_13.html">http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/04/post_13.html
異性にもてるもてないって結構人を文化に向かわせる根源かなという気がしております。ごくごく瀬戸さん的に素直にみれば、たとえば舞踊とかで、男舞なら男の、女舞なら女の、性の美しさを非常にヴィヴィッドに表現するものですし、和歌の交換などまさに男女の交歓が文学的に高度に表現されたものだと思います。
あの...自分で書いてていまいちイメージ湧かないのですが、「オタク」が文化になるならその中で異性にアピールする交換の技術がだんだん開発されていくのではないでしょうか?あ、コスプレとか日本発の新しい男女の文化的な形だったりして...思いっきりオタクな男に魅力を感じる女性たちの価値観が開発されたりして...
あと、ブログとかでアクセス集めると、異性から「すてき!」とかいわれるように...
...ならないな絶対!
ああ、orz、ダメポ...
投稿: ひでき | 2004年7月 2日 (金) 18時19分
ひできさん。
こんにちは。
ブログ、楽しく拝見しています。
私は、ジェンダーフリーの立場には立っていますが、
今一人歩きしそうになっている「ジェンダーフリー」はあぶなっかしくて、反対です。
男が逞しく、女がしなやかなのは「属性」であると思います。
それを否定することはないですよね。
それに、お互いに惹かれていくのも、ごく自然です。
しなやかで、伸びやかに、お互いの「性」を詠うことが大切だと思います。
また、仰るように、おもいっきりオタクな男ではないけれど、
「玉三郎」が醸し出す妖艶な魅力、エロチックな美しさは、到底本物の女性には作れません。
思えばおもうほど、「男と女」は深くて楽しいです(*^_^*)
肩ひじ張らずに、豊かに暮らしていきたいものですねぇ。
いろんな意味で、、、
では、、、お元気で!!
投稿: せとともこ | 2004年7月 3日 (土) 15時27分
せとさん、こんばんわ、
>それに、お互いに惹かれていくのも、ごく自然です。
そうですよね、人類が続く限り男女はお互いに惹かれ合って行くものです。惹かれあわなくなったら、その時は人類が滅亡するときでしょう。...あ、ちょっとやばい発言かな?とどこからか槍が飛んできたりして?(笑)
>しなやかで、伸びやかに、お互いの「性」を詠うことが大切だと思います。
そうなんですよね、ちょっといま日本文化の見直しなんぞにトライしようとしていますが、本来日本の男女の愛ってほんとうに世界に誇る文化だったんですよね。それが、なぜこんなにやせほそってしまったか?不思議です。
http://omokage.g.hatena.ne.jp/">http://omokage.g.hatena.ne.jp/
(ちょっと小さいですけど、左側のが各メンバーのコメントです。)
投稿: ひでき | 2004年7月 3日 (土) 23時31分
「風俗を全面撤退させるコト」
そしたらオトコはセックスのはけ口が無くなって、女性をゲットするのに躍起になりますヨ。
そしたら女性にモテるためにオトコを磨く男性が増えて、日本にも素敵な男性が増えることでしょう。そしたら出生率もグッと上がりますし一石二鳥ですね♪
投稿: 日本の少子化問題の解決策 | 2005年8月14日 (日) 02時39分
日本の少子化問題の解決策さん、こんばんは、はじめまして、
うーん、どうでしょうかね?そんな気がしないでもないですが、世界最古の商売をなくしてしまったときの悪影響の方が気になります。なんというか、男女ともに性的に満たされていない事のもたらす弊害というのは非常に大きいと想うのですね。どれぐらいの大きさか知りませんが、外国人ジャーナリストですらあまりの東京の歓楽性にとりこになるという日本の風俗業界を支えてしまうほどの性的欲求という力のすごさの行く先はかなりの社会的不安を生むのではないでしょうか?
あ、そもそも日本って昭和30年代以降って風俗ってしてはいけない商売になっているのではないでしょうか(笑)?
投稿: ひでき | 2005年8月14日 (日) 23時26分
「売春が世界最古の商売」って男性の言い訳によく使われるフレーズなんだよね~。
売春が商売になった時代背景と現代はかけ離れてるわけでしょう?「世界最古の商売」がなくなったからって困るモンじゃないんじゃないの、もしそれに弊害があるんだったら。日本はあまりの風俗大国だということと性奴隷の最大受入国としても世界中からクレームがきてるっていう話はあんまり一般には知られてない事実。
投稿: 日本の少子化問題の解決策 | 2005年8月16日 (火) 09時41分
日本の少子化問題の解決策さん、おはようございます、
ちょうどログインした直後にコメントいただいたようなので、お返事させていただきます、
うまく言えませんが、ヒトの性的なエネルギーというのは本当にものすごいものがあるように感じます。精神分析入門を読んだとき、なんでフロイトはこんなに誇張するのだろうかと思いました。しかし、自分が性的に成熟していくに従って決して誇張でない面があることを感じています。たまたま、私はパートナーに恵まれて人生の中でも比較的安定した生活をここのところ送っています。しかし、自分の若かりし頃に制御不能なほど不安定な日々がありました。それは、性的な成熟度、性的な安定性が得られたかどうかと密接に結びついている気がします。
あなたご自身はあなた自身をどう思われますか?(あ、答える必要はありませんよ。一瞬でも自問していただければ十分です。)
そして、現代において人と人とのリンクの密度とスピードがあがったがために、相転移というかべき乗側的な男女関係の変化が起こったが為に、安定的なパートナーを築く大きなギャップが生じているのだと思われます。通貨の生成において「人は人が欲しがるものを欲しがる」という原則が見出されたように、男女間においてもお互いを商品に例えれば「人は人がほしがしるヒトを欲しがる」ということなのでしょうか?歴史的な分析は、長くなりそうなので別な機会に譲りたいと思いますが、現代が自由であるがゆえに不自由であるというかなり特殊な時代であることは論をまたないと思われます。
さて、ここでぐっと下世話な話しになります。仕事で東南アジアをまわることがあったのですが、比較的欧州人、米国人も性風俗を享受している場面を観察しております。この辺の普遍性というのは、かなりのものがあります。また、日本においても当初は風俗的な商売から、結婚し、子どもをもうけた例が多いように感じます。決して風俗からとは思いませんが、田舎にすんでいると東南アジア系統の方々が日本人の男女と結婚し、日本に住んでいるケースはごく日常化しています。なんというか、もし日本が西欧から非難されなければならないとすれば、風俗業界が西欧倫理的にはあまりにあからさまであり、一定のクラス以上でなければ提供されないサービスが大衆的に提供されているということではないでしょうか?
いや、確かにここまで書いて解決策さんの指摘が正しいかもしれないという気になってきています。日本と欧州、米国との性的なサービスを含む風俗業態の違いが、性的な満足を得るために是が非でも「結婚」という形を取らなければならない意欲に通じなくなっている面はあるかもしれません。また、ある意味暴力的いや、暴力そのものとして発散する人の攻撃性の発露が米国などで多く見られるのも、こうした大衆へのサービス提供の差なのかもしれません。
もちょっと書きたいことがあるのですが、それこそパートナーが私を呼んでいると最大優先事態が発生したので、ここでいったん中断します。
投稿: ひでき | 2005年8月16日 (火) 10時09分
す、すみません。一日半を経過してしまい、なにを書きたかったのか忘れてしまいました。
あ、多分、このブログの記事の本来の意図は、少子化対策というよりも日本人全体が敗戦を通して失ってしまったものというのがテーマだったということをお伝えしようとしただけかもしれません。また、思い出したら書きます。
>解決策さん
投稿: ひでき | 2005年8月17日 (水) 23時01分
日本でも、現在80代後半以降位の人達の時代には風俗が無く(場所に依ってはあった所もありますが)、昔の多産は「他にすることが無かったから」というのと避妊方法が発達していなかったからということだと思います。先日偶然不妊治療のドクターのHPにあたったら面白い事を言ってました。そのドクターもやはり日本の少子化に対する風俗の弊害について語っていましたね。
欧米先進国において売春婦を買った男性というのは「最も軽蔑に値する人」の一人とみなされます。東南アジアに女性を買いに行くような人達は「どんな女性からも相手にされない人生の落伍者」で、家族がいるのにそんなことろに行く男性は「他の家族に対して誠実でない大馬鹿者」呼ばわりされます(この部分は日本も同じか?)。
しかし未だに東南アジアに売春婦を買いにいく人達がいる事自体信じられないですね。こんなにAIDSが蔓延していて、まるで特攻隊並みの根性の持ち主ってコト?♪
日本にいる外国人男性が風俗にハマる、という話はよく聞きます。でも殆どの男性は「日本はこういう国だ」という認識を持つだけで、自国に戻ればもとの生活に戻ってってるんですけどね。
結局このページの最初に結論が戻るんじゃないでしょうか。大体売春が日本で大っぴらになったのは戦争出兵前に「もう死ぬかも知れない」から売春婦をあてがわれたわけで、そのカルチャーを未だに日本はひきずってるんですよ。
つまり日本は敗戦して、「シゴトなんかまともにやってらんねェよ!」といじけそうになる情けないおとこどもを「立タセル」ために風俗が活躍したんですね。だから会社の接待とかで風俗があったりするんです。女でも抱かせてもらえる位の待遇がなきゃ、その時代の男たちは日本を立て直すことなんかできなかったわけでしょう?ある意味特攻隊出兵と同じ境遇だったというわけですよ。
でも男は日本が立直った後でもその美味しい思いを失いたくないので、風俗だけは残っているというワケですね。
あとついでだから言っときますが、日本が先進国だとホンキで思い込んでいるのは日本人だけですよ。風俗の存在とかそんな人権を大っぴらに無視した商売が成り立っているような国は先進国の、特に欧米諸国の人々から笑われます。そういった意味で日本の政治やカルチャーは本当はどちらかというと北朝鮮やアラブに近いんですけどね。
恋愛が文化だった平安時代のような雅やかな時代と現代が同じというのは全くの勘違いだと思いますヨ。
投稿: 日本の少子化問題の解決策 | 2005年8月20日 (土) 08時19分
日本の少子化問題の解決策さん、こんばんは、
今度は遅いレスですみません。とても、いろいろなことを学ばせていただきました。ありがとうございます。
また、あとでゆっくりかきますが、とりあえず御礼まで。
ちなみに、察するにかなり海外経験とかお持ちなんですね。その辺のお話もぜひぜひお聞きしたいです。
投稿: ひでき | 2005年8月20日 (土) 18時44分
数字だけの話をすると
中卒、高卒、専門学校卒の男女は共に
婚姻率、結婚年齢が低く、また、交際も活発に
行っています。
一方で、未婚率、晩婚傾向、交際に非積極的なのは
主に高学歴の男女で
日本の少子化の原因の主因としては
特に高学歴男女の未婚化、晩婚化が大きいです。
(あくまで数字上は)
で、ここで、なんですが、
こういった高学歴男女の未婚化、晩婚化は
日本だけの事ではなく、先進諸国で
ほぼ共通の事態で、アメリカでも
1970~80年代は深刻な独身病の話が
メディアで取りざたされました。
男の僕がいうのもなんですが、
未婚化、晩婚化が風俗が日本に比べて少ないと
言われる西欧先進国でも起こっている事を
考えると、風俗に少子化の主因を求めるのは
素直に頷けない所があります。
西欧に関して、少子化問題を解決した国々は
婚外子が認められ、増えた事が大きいです。
アメリカも含めて、新生児の割合で
30~50%が婚外子ってのが
西欧では多いですし。
といっても、風俗がなくなりゃ、結婚する奴が
増えるというのも確かだとは思いますが
それで劇的に高学歴男女の婚姻率、早婚化
がすすむことはないと思います。
欧米を規範にするならば
事実婚、婚外子に関する法整備
などが一番、少子化に対して
効果が高いのではないかと思いますが、
日本だと、この二つに関して
文化的偏見が根強いので
難しそうですね。
投稿: pal | 2005年8月21日 (日) 05時36分
palさん、こんにちは、
婚外子の問題は非常に大きいと思います。でも、案外文化的偏見というのも少なくなってきているように思います。どっちかというと、補助金だの制度はあるよと政府はいっていますが、どうも実行される場面を見ると親と同居していると補助とか教育費の免除がきかないとか問題があるようです。
なんというか、もっと広い意味での婚外子に対する対策が必要な気がします。
投稿: ひでき | 2005年8月21日 (日) 11時06分
palさん、時代背景を考えてください。「アメリカでも1970~80年代は深刻な独身病の話がメディアで取りざたされました」との事ですが、アメリカは60年代はLove & Peace のフリーセックス時代で結婚率も高かったけど婚外子も多かった。そして60~70年代はベトナム戦争で男性が少なくなったのとベトナム戦争の後遺症で多くの適齢期の男性は病んでいました。その後80年代AIDS問題直前迄は恋愛謳歌時代。女性の社会進出と恋愛を楽しむ男女が増えていった時代でしたよね?
一番大切なのは、子供を生んできちんと生活できる社会が無いとダメだ、ってことだと思います。
私は「風俗」問題を第一に言っているんではなくて(それも最重要課題の一つですが)、男性も女性も含めて日本人は本当に不幸だな、と同情しているからここにコメントしてるんです。
だってよおーく考えてみて下さいよ、あなたにとって一番大切な人はどのタイプの人達ですか?1.あなたにセックスの快楽を与えてくれる風俗の女性?2.あなたの子供?3.あなたの奥さん?どれも大切だと言いたいのかも知れませんが、1.の人達と関わることに依って2.と3.、ましてはあなた自身を傷つけるとしてもそれでも諦めきれない?あなたの生活を支えているのはもう会社ではないんですよ。会社はもう一生なんて面倒見てくれません。そうするとあなたの心を支えてくれる人達は誰?
それにあなたのお嬢さんが風俗で働いたらどう思います?
「女には幸せそうな写真さえ見せておけばいいんだ」と昔日本人の上司が奥さんの事に対して言ってましたが、奥さん、なんて可哀相!と思いました。彼は銀座のホステスと付き合ってたなアー。愛がないんだったら離婚すればいーのにねエ。
ところでちょっと前フランスが週労働時間40時間を超えると違法になるという法律を制定したのをご存知ですか?日本人がアクセク働いてそのお金でフランスに大金落としてあげて、日本人がフランス人を面倒みてあげているようなモンですよ。
友人のフランス人女性、仕事も充実してプライベートな時間も楽しんで、旦那さんとも大の仲良しで(写真ではなく)、二人の子供も可愛くて、「負け犬って?」と私がその話をしようと思ってもピンとこなかったみたいです。
因みにフランス人の友人達はみんな「日本人ありがとう」と言ってました。
投稿: 日本の少子化問題の解決策 | 2005年8月23日 (火) 13時27分
こちらにお邪魔させてもらったついでに言っときます。ここでは誰も言ってないみたいなので。
「負け犬」も「オニババ」も差別用語です。日本で身体障害者の人達を昔「XXX」と呼んでいて、その言葉はもう使用禁止になりましたよね?それ以外にも差別用語は沢山あるけど、それ程差別用語に敏感なのに、なぜそんな差別用語を作り出して公共の場で言えるのかが理解できませんね。あと30代以上独身子無しの女性達が自分達の事を「負け犬」と呼ぶのもおかしいと思う。
とにかく結婚が100%良い事で結婚して無い事が100%悪い事だという単純な理屈を皆真剣に考えている事自体おかしい、という事に気がつかない人達、おかしいですよ。
投稿: 日本の少子化問題の解決策 | 2005年8月23日 (火) 13時50分
>>ひできさん
色々な対策が必要ですね。
このままいくとあと40年で日本の人口が
4000万人減るわけですから。
日本語というマーケットの中でしか
勝負できないメディア産業にとっては
死活問題なんですよね、これ。
>>日本の少子化問題の解決策さま
お返事、遅くなって申し訳ありません。
自分のとこのブログは更新してたんですが
こちらのコメント欄は覗いていませんでした。
「深刻な独身病」の話を知ったのは
当時のアメリカメディアでそういう言葉が
実際に使われていたとアメリカのメディア史の
本で知ったので、その知識からです。
数字的な裏付けとなると
米の婚姻率は、1980年代から
下がり始めます。
1980年の10.6をピークに
2000年には8.8まで下がります。
平均初婚年齢は1970年以降
下がりつづけ、2000年時のデータでは
男性26.8歳、女性25.1歳です。
アメリカでは
婚姻率は1970~1980では下がっていませんが
晩婚化が始まったのは1970年代からですから
このあたりの世相を映した言葉なのでは
ないかと思います。
ちなみに、アメリカは先進国では珍しく
婚姻率の高い国で、他の西欧諸国は
軒並み、現在の日本より婚姻率が悪いです。
んで、伊、仏以外の国は日本より
離婚率がたかいんですね。
初婚年齢は、日本と2~3歳前後違います。
>一番大切なのは、子供を生んできちんと生活できる社会が無いとダメだ、ってことだと思います。
これはその通りだと思います。
おそらく、方法の違いなのでしょう。
僕は、婚外子、事実婚の法整備、働く女性への
保証が、少子化に対しては効果の高い方法だと
西欧の例をみて知ったので、
ああいいうコメントをしたわけです。
日本人が不幸かと言われると、どっちかというと
物質的には幸福なほうだと考えています。
衣食住は、ほぼ、この国では困りませんし
失業率も低いですし、犯罪も非常に少ないですから。
終身雇用制こそ壊れちゃいましたが
自助努力がモットーなので
自分の身は自分で守るしかないと思っております。
結婚はしていませんが
結婚して、嫁さんに子育てさせて家事洗濯してもらって
その上、自分の面倒までみてもらう気は
ないです。そんなんじゃ、いつまでたっても
母親に甘える子供と同じですから。
自分で家事洗濯して、子供も育てて、
それで一人前の男だと思っております。
なんで嫁さんもらったら、結婚しても
働きつづけて欲しいと思っとります。
困った時にお互い助け合うくらいで丁度いいかと。
嫁には家にいてほしいっていう
同族の気持ちは
わからんでもないのですがね。
あとフランスのジョスパン前首相が2000年に
1週間の労働時間を35時間に制限し、
月給は労働時間カット前の水準を
保つことを企業に義務付けたのは知っています。
目的は、高失業率(当時10%ちょい)を
下げるためだったと聞きます。
こんな状態で企業が生産を保とうとしたら
新たに人雇うしかないですから。
ただ、これのせいでフランス企業は
当たり前ですけど、人件費がかさみ、
高コスト体質になってしまい、国際的な競争力を
失ってしまいます。批判が多いんです、これ。
また、ちょっと前までは好景気だったから
よかったんですが、最近、失速気味で
一時は下がった失業率がまた10%の大台に
戻ってしまいました。特に悪いのが
若者失業率で20%を越えちゃってます。
だから、一概に日本よりフランスのほうが
幸せだとは言えないかと思います。
幸せの尺度はひとそれぞれですし。
投稿: pal | 2005年8月27日 (土) 02時14分
数値補足。
婚姻率は人 口 千 対の数値です。
投稿: pal | 2005年8月27日 (土) 02時23分
日本の少子化問題の解決策さん、
palさん、
こんばんは、
ここで議論が続いているので、改めて少子化問題をつらつらと考えています。ふと、思ったのは資源だの環境の悪化だのが言われている昨今、日本は世界に先駆けて人口の減少を経験するという見本となるべき国なのかもしれないという気がしてきました。フロンティアが消滅して久しい現代、本来減っていくべき世界の人口はまだ増えつづけています。居住可能な面積が増えない、あるいは減っているのなら大幅な技術革新があるか、あらたなフロンティアの開発---たとえば宇宙開発のような---がないかぎりこれ以上人が増加することが必要なのかと疑問に思えてきました。
こうした目で日本を見ると、どれだけさまざまな問題を抱えているにしても、やることが見つからない、自律独立できていなくて依存的、生きることの意味が見出せないといった人でも生きていけるということは、奇跡に近い環境だといえるのではないでしょうか?この天国のような国で、人口が減っていくというのは、この国の競争力などから考えればゆゆしき事態ですが、世界の国々に範をたれるということであれば、良いことではないかと思えてきます。
少々、ニヒリスティックで気分に流されているかもしれませんが、そう思いました。ま、ただほかの国で大幅に人口が増えているわけですから、将来真剣に地球上の人が生きていくための資源の限界に到達したときに、自分の子孫よりも、ほかの国の人の子孫がそれをつかむ可能性が高いということが、少々腹立たしく感じますが。
投稿: ひでき | 2005年8月29日 (月) 20時31分
お久し振りです。暫くお邪魔しない間に随分とコメントが増えていてビックリしました。
>一概に日本よりフランスのほうが幸せだとは言えないかと思います。
私はフランスのほうが日本より幸せだとは言っていません。私がその事を言ったのは、日本の景気を支える消費者がもっと日本の力を蓄える為に日本製品に目を向けたほうがいいのではという思いもあってコメントしました。
又、フランス人の友人達がとても人生を楽しんでいて、日本人がこういった生活をするには日本の力をアップする事、なわけですよね。そうすると、経済的にも政治的にもきちんとしなくてはならないと思ったわけです。
又こちらのブログでは日本の将来を随分楽天的に見ておられる方々が多いですが、私は全体的にはもっと悪化すると思います。
私としては、日本の将来モデルとして、スウェーデンやノルウェーなんかがいいのではと思っています。
投稿: 日本の少子化問題の解決策 | 2005年9月27日 (火) 06時00分
日本の少子化問題の解決策さん、こんにちは、
「楽天的」も、「悪化」も日本のどの局面が人々のどいういう価値尺度において変化するかということが前提にある議論だと想われます。つい先日中国へ行ってきましたが、ほぼ確実に日本は経済的に中国に追い越されるだろうなとつくづく感じて帰ってきました。人々の生活の水準が大陸の中国に追越される日はそう遠くないかもしれません。それでも、中国以外のアジアの方から「日本にホームステイしていた時は、まるで天国のようだと想った」という話は、また今の日本をあらわしている話なのだと感じました。
やはり、自分自身がどのような価値の尺度をもつのか、そしてその尺度の上でどう移動したいのか、そのためにはいまどのように行動しなければならないのかということを考えるべきだと思います。本当に日本の将来が自分の価値尺度とあわないのなら日本から脱出してしまうというのも一つの選択枝ですし、このまま日本にとどまって経済的な乱流の中に身を置くというのも一つの選択枝です。あるいは、根本的に変えるべく政治的な努力をするというのもあるかもしれません。
ところが、いまの日本の方のある程度の割合の方は、そういう状況を認識することも、自ら選択することもなく日々を送っているように私にはこの記事を書いた当時感じられました。決して女性だけをさすのでなく、そのように「もうしょうがないから、もうどうとでも私を呼びなさい」という態度を私は「負け犬」という言葉で呼びたいと思います。
記事の中の、
>それは、いまの国民全体が負け犬だからだ。
という行は、このことを言っているつもりです。
投稿: ひでき | 2005年10月 3日 (月) 14時33分