[書評]ぼくんち bokunchi
ぼくんち by 西原理恵子
全巻を読んで。かなり落ち込んだ。読了した直後に会った方から「顔色悪いよ。疲れてんじゃないの?」とか言われてしまった。つい感情が生理に出る方らしい。
しかし、本書がいまこうしてここに存在しているということは、この中の登場人物の誰かは生き残ったということだ。それはどうしても必要なことであり、私にとってひとつの救いだ。
悪く取ろうとすれば、いま私が生きている現実もこの「ぼくんち」の世界と大して変わらないのかもしれない。自分自身も含めてエゴや、自我、自分の利益をむさぼろうとする衝動、男と女の間の欲望などがうずまいている。そして、それらの多くは実を結ばない。
二太が山に向かって手を合わせるシーンがあった。しかし、山の上に住む「お金持ち」には「お金持ち」の苦しみや汚さがある。地の上にはどこにも天国はない。誰の上にも神はいない。あるのは、人間が生きているという現実だけだ。
身勝手なようだが、この本を読んだ後でもなにも変わりはしないであろう私のこの現実を私自身がどう生きるのか、なにを生きていくのか、生き残っていけるのか、生き続けて生きたい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ちょっとご無沙汰でした(いや、いつも拝見してはいるのですがね..(^^;))
そして、「ぼくんち」読まれたようですね
このエントリのときには読まれた直後の衝撃がそのまま伝わってくる感じですが・・その後どんな感じでしょう?(もう立ち直りましたか? 笑)
んで、今回コメントしたのはちょっとおもしろいもの見つけてお伝えしたくなったわけですが..
沖縄(コザ)にも似たようなところがあるみたいです
http://okinawa.seesaa.net/article/659385.html
たしか大阪にも・・(この辺りがあやしい感じ..↓)
http://www.kanshin.com/index.php3?mode=keyword&id=412340
・・強く生きていきたいと思います
(「敗北を抱きしめて」も気になる...)
投稿: m_um_u | 2004年9月27日 (月) 21時33分
m_um_uさん、おはようございます、
例によってインパクトのある本をご紹介いただきありがとうございます。いんやぁ、すさまじかったです。
ええ、でも、お陰さまでなんとなく衝撃を受け止められました。先日、ある知人とも「ぼくんち」ネタでもりあがりました。彼も「ぼくんち」ワールドに引き釣り込む予定です。ちなみに、この舞台はどの辺なのでしょうか?兵庫県あたりで、最後の最後が高知?とか思っていますが、どうなんでしょうか?
しかし、ディープなところって各所にあるんですね。ちょっと恐い物見た差見たいのあります。ちなみに、ゴザの映画館体験を花もはじらう高校生の時に都内でしたことがあります。その時は、逃げました(笑)。
あ、ちなみにやっとこさバラバシ読んでます。こいつおいらのアイデア盗んだな、くらいの勢いです。自分のために書かれた本ではないかと...(笑)。
投稿: ひでき | 2004年9月28日 (火) 06時53分
「ぼくんち」の舞台..ぼくもどこかははっきり分かってないのですが自分的イメージとしては高知です(一太が流れていったところは兵庫かな)
バラバシは楽しいのでサクサク読めるでしょうね
(そして「創発」とかそういう言葉にはまっていくのだ 笑)
投稿: m_um_u | 2004年9月29日 (水) 13時11分
m_um_uさん、こんばんわ、
>自分的イメージとしては高知です(一太が流れていったところは兵庫かな)
ああ...そうなんですね。なんか腑に落ちるものがあります。
バラバシ読み終わりましたよ。ほんとにサクサク読んじゃいました(笑)。いま感想文を書いています!
投稿: ひでき | 2004年9月29日 (水) 21時55分