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2004年9月16日 (木)

[書評]経営分析の初歩が面白いほどわかる本 Two More Steps to Accounting

経営分析の初歩が面白いほどわかる本 by 市川利夫さん

本来自分の商売についてのことはこのブログでは書かないことを原則としているのだが、著者の市川利夫さんのセミナーに出させてもらったので、この出会いを出会いとして素直に受けとめそのさわりを書く。どうも私の同僚諸兄の方々もたまに記事を読んでらっしゃるようなので、私のセミナー出席でかけた負担のお詫びに少しは役に立つことを書こう。

多分本書は、会計や財務の初心者むけに書かれた本だと思う。本当に電卓片手に演習問題を解きながらでも、一日で読めてしまう内容だ。しかし、やはり著者ご本人の解説を聞かせていただく幸運に恵まれたせいかとても含蓄の深い内容を含んでいるように感じる。もっといってしまえば、ここで語られている内容はMBAカリキュラムのAccounting(会計)の授業で1月くらいかけて学ぶ内容に匹敵すると感じた。MBAのコースの基本科目はコアカリキュラムといってかなり標準化が進んでいる。米国の会計やファイナンスの教科書のわかりやすさ、すばらしさは感動ものだ。多分、ハーヴァードの連中でもこのレベルでは変り映えしない内容をやっている。大体、大学院で初めて会計に触れるアメリカ人はかなりの比率に達するはずだ。それくらいの水準だった。

会計を無味乾燥で、退屈で、誰がやっても同じだと感じる人は多いだろう。だが、会計はかなり強力な経営の武器だ。いや、これなしでは経営が成り立たない。商売を商売として理解できない。きちんと会計戦略を持ち、日々の活動にあたるべきだ。最近のように企業の信頼性がゆらいでいるいま、自分の会社の経営状況を冷静に分析し、どのような活動を通してどう貸借対照表までを改善していくかは大きな経営課題だ。自分の会社の経営分析をしてみると、実によく会社の長所から弱点、そして今後どのようになっていくかがわかる。経営者でなくとも、取り組んでみるべきだと私は信じる。

本書で、経営分析のごくごく初歩から、分析のやり方、指標の解説、資本政策の考え方、キャッシュフロー経営の具体的なコア、決算書の読み方、会計基準の変更のリスク、管理会計の一部などをカバーしている。この薄さの本でこれだけの内容をカバーしているというのは驚異的ですらある。それでいて、かなり分かりやすい。一方、単に分析を行うだけでなく会計戦略をいかに行動計画にまで具体化し、実行するかというプログラムまで含まれている。実は表面づらの記述を越えて、書いてある内容は深い。この深さは、実際に本書を自分の仕事などに応用してはじめて感じられるものであろう。

今回のセミナーでは、私はこの本を使って上場会社の分析を実習でやった。会計はまったくの初心者だという実習グループのメンバーとかなり突っ込んだ分析が以下の13の指標で出来たように感じる。かなり強力な武器だ。

・支払能力の検討
     自己資本比率:自己資本÷総資本×100
     流動比率:流動資産÷流動負債×100
     当座比率:当座資産÷流動負債×100
     固定比率:自己資本÷固定資産×100
     固定長期適合率:固定資本(自己資本+固定負債)÷固定資産×100
・収益性の検討(売上利益率)
     売上総利益率:売上総利益(売上-原価)÷売上×100
     売上営業利益率:営業利益(売上総利益-一般管理費)÷売上×100
     売上経常利益率:経常利益÷売上×100
     売上当期利益率:当期利益÷売上×100
・収益性の検討(資本回転率)
     総資本経常利益率:経常利益÷総資本×100
          (=売上経常利益率×総資本回転率)
     売上経常利益率:経常利益÷売上×100
     総資本回転率:売上÷総資本
     売上債権回転率:売上÷売上債権
     棚卸資産回転率:売上÷棚卸資産
     有形固定資産回転率:売上÷有形固定資産

上記の式で会計独特の言葉がわからないという人は、ネットでしょこっと調べてみるか、本書を一読されることをおすすめする。数字の偉大なところは、上記の比率分析であれば、大企業でも中小企業でもおなじ尺度でその支払能力や、収益性、安定性などを評価できるとことだ。一社だけでなく二、三社を横並びにして分析してみると非常に分かりやすいし、自分の会社の妥当性が検証できる。

そう、それに私の同僚諸兄、そうあなたですよ、あなた!ぜひ、自分で勉強してみてはどだろうか?

余談だが、このセミナーの途中で専門の先生を呼んで「気功」をやった。ほんのさわりだけだったが、大変貴重な体験をさせてもらった。興味のある方のために、今日来られた劉超さんという先生のホームページのアドレスを置く。

http://www2c.airnet.ne.jp/akiyama/yokohama/index.html

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コメント

トラックバックを送信したのですが、なぜか3つも飛んでしまいました。
どうやらNiftyのサーバが反応を返すのを私のほうのサーバが待ちきれずに送信を繰り返してしまうようです。
申し訳ありませんが、ダブった分の削除をお願いいたします。お手数をおかけし、すみません。

投稿: d-mate | 2004年9月21日 (火) 21時23分

d-mateさん、こんにちわ、

記事を読ませていただきました。ご指摘のように、「経営分析」と「決算書分析」はちがいますね。経営分析の一部として、決算書分析があると思います。市川先生自身もやはり最後は現場を見て判断するという話をされていました。

いずれによせ、会社の状態を経理の数字から分析するというのは、食わず嫌いというか、難しい、わからないからいやだ、思うのではなく、電卓があればほんとに30分もあればできてしまうので、やるべきだと思いました。

いま、自分の会社でスタッフ集めて実際に会社の経営分析をやってみようかなと思っています。

投稿: ひでき | 2004年9月23日 (木) 11時50分

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