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2004年10月 5日 (火)

べき乗則とランチェスターの法則 Lanchester's law and Power-law

新ネットワーク思考」を読了した(と、書くのは何度目だろうか?)。まるで自分のために書かれた本のような気がした。以前からの愛読書で親しく感じていたエルデシュティッピングポイント、そしてブログで書いた記事自分の日常での体験、なによりも本書の内容と私の禅の師のお話しとの対照性...信じられないくらいのおおくの「LINK」が本書と自分の間に存在しているように感じる。自分自身がそれこそクオンタム・リープ(量子的飛躍)しそうな加速感のある感覚があった。まだ、これらの感覚を完全に展開することができないでいる。もうすこし、自分の中で整理がつくのをじっとまとう。

ああ、なによりも本書をこのようによろこびをもって読むことが出来たのは、本当にネットでも、リアルでも、お世話になっている方々のお陰だと深く感じる。ただただ感謝したい。

さて、とりあえず局所的なところから本書について書きたい。以前6月6日のブログでコメントしたように、日本のビジネスの世界でよく言及され、応用されてきたランチェスターの法則とべき乗則の関係がどうもあるようだ。本書を読んでますます確信した。ランチェスターの法則は、べき乗則から予測されるひとつの特殊解ではないかと感じている。

ちなみに、ランチェスターの法則とは、20世紀の初めに戦闘機と潜水艦の戦闘結果をイギリス人の技術者、ランチェスターが分析した結果得られた戦力と戦闘結果との関係をしめる2つの法則だ。

第一法則(一騎打ちの法則)
M0-M=E(N0-N)
戦闘力=E×兵力数
第二法則(確率戦の法則)
M0^2-M^2=E(N0^2-N^2)
戦闘力=(E×兵力数)^2
ここで、
M0…M軍の初期兵力数
M…M軍の残存数
N0…N軍の初期兵力数
N…N軍の残存数
E…武器効率(武器の性能,腕前

ランチェスター戦略入門 @ NPOランチェスター関西

これだけだとなにがなんだかわからないだろう。第一法則を私の言葉でいえば、「ある戦闘部隊(M)と戦闘部隊(N)が一騎打ちをすれば、それぞれの持つ武器効率の比に比例した残存数が残る。」ということだ。これは一対一のそれも1回1回の戦闘の結果を言っている。第二法則はこれに対して数次の会戦をしていく場合の残存数の法則をしめす。これは、どちらかが殲滅するまで戦う時の初期兵力を比であらわしてやるとわかりやすい。ここで、E=1(兵器レベル同等)、N=0(N軍が全滅するまで戦う)と置いて、計算してやれば兵力比が4:1以上になれば、ほとんど兵力の多い方が被害を受けずに相手を殲滅できることになる。一般的に言えば、総力戦においては兵力が多い「強者」の方が圧倒的な戦果を得ることになる。

「殲滅線」エクセルファイル

詳しくは、参照元のサイトを読んでいただきたいのだが、かなりややこしく直感的には分りにくいこの法則を田岡信夫さんが日本においてビジネスに展開したのが、一般に理解されているランチェスターの法則である。

ランチェスター戦略とは @ 戦国マーケティング株式会社

ビジネスにおけるランチェスターの法則の直裁な応用としては、戦力的に弱者の場合は、戦場を限定して戦力を一点集中すべき(セグメンテーション、差別化)だということになる。逆に、戦力的に強者の場合はどこから攻められても対応可能な「戦力」を確保するために十分に確定的なシェアを目指すべきだと言う事になる。

一方、べき乗則(Power Laws)だが「新ネットワーク思考」において著者のバラバシは、ネットワークにおけるリンクの数がべき乗を用いた式(*1)に従うことを書いている。このべき乗則が適用されうるスケールフリーネットワークのアルゴリズムとして以下の2つをあげている。

  • 成長:あたえられた期間ごとに新しいノードを1つずつネットワークに付け加えていく。

  • 優先的選択:あるノードが新しいノードとリンクする確率は、既存のノードが既に獲得
  • しているリンク数に比例する。

    ここで、

  • ノード:ネットワークを形成するひとつひとつの単位

  • リンク:ノードとノードが接続された状態、または接続された状態になること
  • と、私は理解している。

    とすれば、ランチェスターの法則の用語とべき乗則の言葉を対照すれば、以下のようになると思う。

  • シェア = ハブのもつリンクの数

  • 強者 = ハブとよばれる多くのリンクを持つノード

  • 弱者 = すくないリンクしかもたないノード

  • 確率戦 = ネットワークの成長

  • 第二法則の武器効率 = ノードの適応度(ボーズ・アインシュタイン凝縮)
  • どうだろうか?結構キーワードは重なる。いや、そもそもこれらのキーワードをもっと解説しなければならないのだろうが、一応リンクをはるだけで許して欲しい。まだ直観の域を出ないが、ランチェスターの法則から導かれる、独占、寡占の状態もべき乗則で記述しうると思われる。

    この対比を見ていて思いついたのだが、べき乗則が成長という加算を前提にしているのに対し、オリジナルのランチェスターの法則は減算を前提としているようだ。つまり、バラバシの定義だとひとつひとつリンクが追加され、適応度に応じたリンクが張られネットが成長することでハブができるということだが、戦闘機または潜水艦の戦闘結果を分析したオリジナルのランチェスター第二法則では逆に一機一機減っていく事により「エース」(多数の戦闘を勝利した戦闘機パイロット)というハブができ、結果として(数×戦力)の自乗の比に一方が全滅したときの残存数が比例すると言う結果になるのではないだろうか?

    言い換えれば、オリジナルのランチェスターの法則は、初期の兵力(ノードの数)×兵器の質(適応度)という初期条件を与えることにより、「戦闘」という「リンク」を通して、結果としての「残存兵力」という「ハブ」を求めるということではないだろうか?つまりは、戦闘機と戦闘機が戦い、負ければそこで文字道理終わりだが、勝った戦闘機は次の敵と戦闘を行う。次の戦闘機と戦うことにより、2つ目のリンクが生まれる。強い戦闘機(高い適応度のノード)であればあるほど、より多くの戦闘(リンクの獲得)ができる。数学的な分析は私の手に負えないが、戦場では数次にわたる戦闘というが繰り返され(ネットワークの成長)「エース」(ハブ)が生じるということになるのだと思う。

    ここを再度転換して加算が原則であるビジネスに応用した田岡信夫氏の着想の非凡さにいまさらがら気がつかされる。ビジネスの場面ではなかなか相手を撃墜することもできないし、全滅においこむこともできない。しかし、シェアという結果が残る。田岡信夫さんがオリジナルのランチェスター法則をビジネスに応用したときには、「兵力」を「シェア」として置き換えていた。シェアが多ければ多いほど、より多くのリンクを顧客と結ぶことが出来るということだ。ここにおいて、べき乗則と同じ方向への思考の転換があったように思う。つまり、もう何十年も前にビジネスの世界でのべき乗則を田岡さんは発見していたといっても過言ではないのではなかろうか?

    ちなみに、バラバシは本書の序章でスケール・フリー・ネットワークにおけるべき条の法則の具体例としてパウロをあげていた。バラバシが意識的にそうしたのか分からないが、ビジネスの世界でとてもとても有名な本にもパウロが出てくる。この本では、太古から伝わるビジネスの秘伝である10巻の巻物の最後の継承者がイエスのお告げを聞いたパウロであったというおちだった。また驚くべきことに、この10巻の巻物の内容がネットワーク思考をいかにビジネスに具体的に応用するかという内容なのだ。あまりの符合に身の毛がよだつ。

    地上最強の商人 by オグ・マンディーノ

    この本の著者のオグ・マンディーノは、日本では「十二番目の天使」の著者として有名だ。

    ■思考実験 平成16年10月11日

    べき乗則とネット信頼通貨を語る夕べ! Second Impact」でも触れたが、オリジナルのランチェスターの法則にべき乗則が適用可能か、思考実験を行った。

    べき乗則とランチェスターの法則 PDFファイル

    結果から、いえば十分に近似することは確かめられた。「新ネットワーク思考」でも、「老化するノード」という議論があった。戦闘とは、過激に急速に老化するノードを含むネットワークとして記述可能なのかもしれない。

    ■註

    *1

    What is usually called a power law distribution tells us not how many people had an income greater than x, but the number of people whose income is exactly x. It is simply the probability distribution function (PDF) associated with the CDF given by Pareto's Law. This means that

    P[X = x] ~ x^-(k+1) = x^-a.

    That is the exponent of the power law distribution a = 1+k (where k is the Pareto distribution shape parameter

    from "Zipf, Power-laws, and Pareto - a ranking tutorial " by Lada A. Adamicさん

    「週刊!木村剛」はフジサンケイ ビジネスアイとコラボします! by 木村剛さん へのトラックバックにあたって

    大変、興味深い「事件」だと感じます。やはりランチェスターの法則ではないですが、ネットのように固定費が安くてすむ「構造体(会社、組織)」であれば、純粋にリンクのシェアを増やすことが、「スーパーエース」への道なのでしょう。期待したいです。逆に、miyakodaさんのコメントではありませんが、ハブが消失してしまったときの現在のブログのリンクにおけるショックを想像するにあまりあります。バラバシではないですが、911インパクトかもしれません。

    ■ゴールドマインさんへのトラックバックにあたって 平成16年11月30日

    なんか今日はやたらとトラックバックするための記事を書いている気がする。ゴールドマインさんから、別の記事に興味深いトラックバックをいただいた。

    べき乗則とバトルロワイヤル by ゴールドマインさん

    この記事はここで扱って「ランチェスター」のモデルに非常に近い気がする。またPFDファイルに入れたシュミレーションの結果でも、ノードは1万でなくたかだか10程度にすぎないが壊滅戦におけるべき乗則の成立の可能性を示せたように思う。いかがでしょうか?ゴールドマインさん?

    ■参照リンク
    書評「新ネットワーク思考」  by 小松 弘さん
    [書評] べき乗則、ウェブログ、そして、不公平さ (HPO)
    禅的生活 by 橋本大也さん
    インターネットは80対20の法則を越える by 渡辺聡

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    コメント

    そすかね?

    べき乗、あるいはスケールフリーネットワークの議論では、ハブの存在をアドホックに規定していませんよ。

    むしろ、なぜハブが出現するのか、という議論が重要なのでは?

    投稿: yujim | 2004年10月 5日 (火) 08時45分

    yujimさん、おはようございます、

    さっそくのコメントありがとうございます。わくわくしています。わくわく感のあまり、禁を破ってコメントしてしまいます。

    「新ネットワーク思考」におけるバラバシの記述を素直に読むと、

    スケールフリーネットワーク → リンクの数におけるべき条の法則により記述が可能 → 結果論としてハブの出現

    と、私は理解しました。いかがでしょうか?

    ただ確かに、ランチェスターの法則の適用可能な戦闘機の戦闘、あるいはビジネスのシェアのといった問題がスケールフリーネットワークの特徴があてはまるかは、検証が必要だと思います。yujimさんは、適用の可能性についてはどうお感じになりますか?

    投稿: ひでき | 2004年10月 5日 (火) 09時16分

    このところ、動きの悪い私ですが。この話、面白いですね。ネクラなもので、「エースが残りハブ的役割を果たす戦闘機部隊」というところから、「エースから辞めていきハブのなくなっていく負け組企業」という風に、反転世界の状況を思ってしまいました。こういう会社は現実にもありますが、今度は逆に、これをプラスの方向に持っていく方法論、ってのが最近の私の関心事です。この場合、マネジメントパワーが急激に落ちていくので、私の程度の専門能力では解決してあげられない。

    投稿: miyakoda | 2004年10月 5日 (火) 10時55分

    miyakodaさん、こんにちわ、

    再び二重に禁を犯してしまいます。

    まさに「エースからやめていく」ことが危険だというのが、バラバシの大きな主張だと感じました。「インターネットは核攻撃にも絶えられるように設計された」という神話がありますが、事実バラバシのシュミレーションでもかなりのリンクがきれてもネットが切れないということが明らかにされているようです(この辺、攻殻機動隊の2501を思い出させますが、それはさておき...)。しかし、リンクの多い順番にハブであるノードを機能停止させてしまうと、あっというまにネットがつながらなくなってしまうのだそうです。

    (yujimさんにはまた民間療法だといわれてしまいそうですが[笑])20:80の法則ではないですが、いかに上位製品系列、成績上位営業マン、社内リンクの上位20%を確保するか、ローヤリティーをもってもらうかが、企業というネットワークを維持し、発展させる一番大事な政策だといえるのかもしれません。

    投稿: ひでき | 2004年10月 5日 (火) 11時23分

    どうもです

    疑問1) エースはハブなのか? (かなり違うと思う)
    疑問2) 「べき乗則が先か、ハブが先か」という議論自体に妥当性があるか? (これは実は答えが出ていると思う)
    疑問3) 「ハブを停止するとネットワークが機能不全を起こす」という議論と「ハブに限って辞める可能性が高い」のは連続性を持った議論かどうか? (これまたかなり違うと思う)

    バラバシは冷静な理学者だなぁ、というのが僕の印象です。

    以上、ちょっと急ぎのメモということで

    投稿: yujim | 2004年10月 5日 (火) 14時24分

    yujimさん、こんばんわ、

    コメントありがとうございます。なかなか、手応えありすねぇ。うれしいです。

    まだyujimさんの疑問の核心がつかめきれていないように感じますが、一応お返事させていただいておきます。そもそも、ご指摘されようとしていることと違ったら、お詫びいたします。

    >疑問1) エースはハブなのか? (かなり違うと思う)

    ここは慎重に検証すべきだと思います。確かに、以下のことを明らかにすべきだと感じます。

    ・生き残った戦闘機と撃墜された戦闘機の関係をリンクとしていいのか?
    ・そもそもハブとはなにか?ハブの定義。

    正直、断定系で書いておりますが、ランチェスターの法則が適用される戦闘の様子が、スケールフリーネットワークとして記述し得、エースの撃墜数、2番目のエースの撃墜数...、がべき乗の法則に従うかどうかは検証する必要のある仮説であると感じます。

    バラバシも本書において、スケールフリーネットワークの考え方、べき乗の法則による記述性のビジネスにおける応用を考えているようです。ここで、ランチェスターの法則をビジネスに応用した事例を持つ日本人として、この比較検証をしない手はないと思いました。他国にランチェスターの法則をビジネスに実例として応用したことはないのではないでしょうか?

    ああ、やばい!戦闘機のことを考えていたら、どうしてもアポトーシスが頭に浮かんできてしまいました。これは自分でもトンデモだとラベリングしておきます(笑)。


    疑問2) 「べき乗則が先か、ハブが先か」という議論自体に妥当性があるか? (これは実は答えが出ていると思う)

    バラバシの研究の過程を本書から素直に読めば、エルデシュなどのランダムネットワーク、グラフ理論から、「適応度」という概念を持ち込むことによりスケールフリーネットワークの特性の分析へとつながっているととれます。

    そこにあるのはごくごく単純な仮定でしょう。たとえば、ページランクは極論すれば「重要なページは、多くのページからリンクされている」という仮定で成り立っていると思われます。Wikipediaによれば、この仮定の解法もグラフ理論で記述可能なようです。

    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF

    ということは、先にあるのは多くのリンクを獲得する「適応度」をもったノードであるということだと考えます。結果として、グラフ理論、スケールフリーネットワークの特性として、べき乗の法則が導かれるといことになるので、ハブが先でしょう。べき乗はあくまで記述のための関数であると感じます。まず、そこにあるのはリンクであり、適応度だということでは?

    疑問3) 「ハブを停止するとネットワークが機能不全を起こす」という議論と「ハブに限って辞める可能性が高い」のは連続性を持った議論かどうか? (これまたかなり違うと思う)

    ああ、わかりました!すみません、私の表現が悪かったのですね。「もし負け組の会社において、エース的な人材から辞めていくとしたら、それは壊滅的な打撃をその会社にもたらすでしょう。」ということをいいたかったのです。「エースが辞めやすい」という意図ではありませんでした。

    失礼いたしました。

    >バラバシは冷静な理学者だなぁ、というのが僕の印象です。

    これは印象の問題でしょうか?

    私にはバラバシはとても熱い学者のように映ります。物理学教授でありながら、かなり広い応用範囲を考えているように思えます。オビにうたってあるだけでも「インターネットの弱点、エイズの急速な広がり、マイクロソフトの一人勝ち、アルカイダの組織など」とあります。例えば、p.135ページに「言語がスケールフリーな性質をもつことはさまざまな研究グループによって示されている。」とあります。その他、スケールフリーネットワークもしくはこれに準じたネットワークとしてバラバシは、以下のような非常に広い範囲の例をあげているように思います。

    例)

    ・ヴァージノン・ジョーダンと米国の大企業(フォーチュン1000)の取締役の人間関係 
    ・9.11のインパクトの原因 → ハブの消滅のインパクト
    ・サイバーテロ → ハブを停止させてためにネットに大混乱が起こったことを書いている(p.7)。
    ・パウロの伝道
    ・細胞内化学反応
    ・バイオ業界の資本関係
    ・エデルシュ数
    ・ボーズ・アインシュタイン凝縮 → これ自体かなりいろいろな例がある。かつ、ノードの定義を、「適応度をエネルギーに、ノードをエネルギー順位に対応させてみた。」(p.148)とかなり柔軟な変換をしている。
    ・「ティッピングポイント」の諸例

    なんか長く書きすぎて記事を書いている気分になりました。もしかすると、yujimさんのおっしゃることと違うことを書いているのかもしれません。とりあえず、これでアップしておきます。んで、yujimさんのコメントを待ちます!とぉっても楽しみです!

    投稿: ひでき | 2004年10月 5日 (火) 19時24分

    ああ、明日の講義の資料を作らないといけないのですが!!

    まず、最初に、順番を変えて「バラバシは情熱的=物理学者らしくない=かなり特殊な学者」というオマケから答えると、NOです。

    例えば、社会的ネットワーク研究の総本山である「INSNA」のメンバーの多くが数学や物理学をバックグランドに持つ学者が多く、彼らはバラバシが取り上げているトピックをすでにかなり取り込んだ議論をしています(バラバシ本の巻末の「メモ」を見ると良く分かります」。

    また、バラバシ自身が応用を考えているのではなく、社会的ネットワークの応用を積極的に進めているビジネススクールや社会的資本の研究者(かれらが、現在のネットワーク研究の中心で、バックグラウンドはバラバシやワッツのようにモロの理系が多い)の動向を紹介していることが多く、バラバシはかなりそれらを客観的に眺めているのではないかと思います。

    さて、最初に戻って:

    疑問1) エースはハブなのか?

    これは言い換えましょう。何がネットワークなのでしょうか? これはhidekiさんが上げられている疑問を抽象化した言い換えに過ぎませんが(笑)

    僕が思うに、もしかしたら認知や社会的影響力という顕在化しない、一種の「共同幻想的」なネットワークの話かもしれませんが、そもそもエースの活動はネットワークで非エースのメンバーの活動と相互作用をしていない限りは、営業活動ではなく、社会的報酬(No.1営業マンに対する社会的勢力の付与)のネットワークであるとする必要があります。それをあやふやにして議論することは非常に危険だと思います(BooDooScience化しやすいですよね)

    疑問2) 「べき乗則が先か、ハブが先か」という議論自体に妥当性があるか? (これは実は答えが出ていると思う)

    ダメですよ、hidekiさん、引っかかっちゃあ(笑)

    これは、認識論の問題で、そもそも「べき乗則」も「ハブ」も認識でしかないので、どの事例では、どちらが先に見つかったかという議論でしかないですよ。少なくとも、バラバシはあえて言及していませんが、スケールフリーネットワークはスケールフリーなので、スケーラブルです(ノードが少なくとも、ランダムネットワークほどではないが、成立しうる)が、ハブの出現は「成長」という時系列的なものを組み込んだときに始めて認識されるものであり、この両者は別の軸なんですよね。
    やまぐちひろしさんが紹介してくださったFirstMondayのRafealiのペーパー(http://firstmonday.org/issues/issue9_9/)では、ScaleFreeNetworkの下位集合としてSmallWorldNetwork(ハブを有したネットワーク)としています。これは数学的な区分をしているので、operationalには使えそうですが。

    疑問3) 「ハブを停止するとネットワークが機能不全を起こす」という議論と「ハブに限って辞める可能性が高い」のは連続性を持った議論かどうか? (これまたかなり違うと思う)

    これについては、僕の取り違えもあったかもしれません。ごめんなさいです。

    しかし、いかんせん、このような経験則を補強する認知枠として、過剰に単純化された「べき乗」とか「スケールフリー」とかの議論が適用されることを、「素朴科学」とか「疑似科学」とかいわざるを得ないと思うんですよね・・・。

    以上、おきてを破っていただいた内容に対するカウンターコメントです

    投稿: yujim | 2004年10月 5日 (火) 23時40分

    yujimさん、こんばんわ、

    資料づくりがあるのに、コメントをいただき、ありがとうございます。

    言葉の問題だけ少しコメントさせていただきます。基本的におっしゃっていることに異論はございません。自分の書いていることがこれだけあいまいなのだなと反省することしきりです。また、自分がいかに不勉強かわかりました。yujimさんの議論についていけていないようです。以下、言葉の用い方について少しと、yujimさんにお聞きしたい質問事項を書きます。おひまな時で結構ですので、ご教授いただければ幸いです。

    「オマケ」の部分についてですが、私は「熱い学者」だと指摘しましたが、「情熱的」とも、「物理学者らくしくない」とも、「特殊な学者」とも、書いておりません。それ以下の部分について異論はございません。

    「エース」ですが、記事の中ではあくまで「名撃墜手:敵機を規定数(《米》5機,《英》10機)以上撃墜した戦闘機パイロット」(Yahoo辞書、プログレッシブより)として使っております。以下、多分田岡信夫さんのビジネスへの応用につていの議論だと受け取りましたが、異論はございません。

    「べき乗則が先か、ハブが先か」ということですが、私の記事の中でこの疑問を自分から出した記憶がないのですが?そもそもどなたがこの疑問を出したのでしょうか?また、少なくともスケールフリーネットワークにおける「ハブ」の定義はバラバシが行っており、また少なくとも物理学的な意味でリンクの数により操作的に定義しうると思います。yujimさんのおっしゃる「認識論」とはなんなのでしょうか?また、「記述」と「認識論」の違いはなんなのでしょうか?

    「素朴科学」の定義がわからなくなりました。バラバシが、ネット上のハブに対する攻撃の被害の甚大さ、アルカイダのリーダーのいない組織構成、9.11事件のインパクトの大きさの理由、エイズの症例が消えないことなどを「新ネットワーク思考」であげているのは、なんと呼ぶのでしょうか?

    yujimさんの議論を読ませて頂いて、あらためて時間の流れの方向というのは人間の認識なんだな、と気づきました。ありがとうございます。「成長」というのも人間の側の価値判断を含む「認識論」であると感じます。バラバシがあげている細胞内の化学物質や、言語、ボーズ・アインシュタイン凝縮などにおいては、時間の流れる方向の認識がないように感じます。時間の流れる方向性というのは、単にエントロピー増大の法則によってのみ規定されるのでしょうか?エントロピーの増大とスケールフリーネットワークの形成とか、どなたか研究されているのでしょうか?

    投稿: ひでき | 2004年10月 6日 (水) 01時39分

    ひできさん

    すみません、いろいろと誤解を生じさせるような書き方をしてしまって。自粛するようにいたします。

    いくつか、失礼なことを書いてしまったことに対して、訂正などをさせていただければと思います。

    > 「オマケ」の部分についてですが、私は「熱い学者」だと指摘しましたが、
    > 「情熱的」とも、「物理学者らくしくない」とも、「特殊な学者」とも、書いておりません。

    この部分は勝手に、「熱い学者」というのを、「情熱的」、あるいは「物理学者らしくない」という印象で捉えてしまった次第です。僕が「バラバシは冷静な理学者だなぁ」ということに対して書いておられたので、勝手に自分の中の「冷静な理学者」の裏を書いてしまったのが理由です。

    僕が勝手に暴走した解釈をしてしまったことが原因です。お詫びします。正確に書くべきでしたね。


    「エース」の定義、ありがとうございました。多分に、口語的で用いられる表現内容から類するものの延長と理解していいのでしょうね。ここで、やはり知りたいのは、撃墜数という単独の行為の結果であってもネットワークに関する知見を応用できる根拠はどのようなものを想定されておられるのか、ということでした。僕は、それを「撃墜数」という事象の背後にある構造(典型的にネットワーク構造)ではなく、エースを含むプレーヤーの自己成就などの心理学的なダイナミクスや、解釈する側の認知の枠組みで捉えることもできるのかなと思った次第です。ただ、そのとき「ネットワーク」の媒体は何かな???と、書いておいて無責任なんですが、考えてしまいました・・・。まだ、思いつけませんが、「社会的に共有化された認知(Socially Shared Cognition)」などを想定してしまいました。←かなり怪しい仮説です。

    元に戻って、ひできさんの解説を読んで解釈する限りにおいて、ランチェスターの法則とは兵力数などを代入することで得られる静学的なモデルなのかなと感じました。いわゆる動学的(典型的に微分方程式などで記述可能なもの)ではないので、どうもその背景にネットワークのような構造をイメージしにくかったのだと、今となっては思います。そのあたり、漠然としていますが、上記のような「単独な、独立した行為の集合」を全体として鳥瞰した際に、なんらかの構造を形成しているのだとしたら、その背後にある構造の媒体とは何かな、と。これは、岡田信夫さんという方がビジネスに応用されているというお話についても、同様の疑問がありました。(すみません、浅学でして岡田さんという方のビジネスにおけるランチェスターの法則の活用というのは存じ上げませんでし)


    > 「べき乗則が先か、ハブが先か」ということですが、私の記事の中で
    > この疑問を自分から出した記憶がないのですが?

    これは、僕がひできさんの

    > スケールフリーネットワーク → リンクの数におけるべき条の法則により記述が可能 → 結果論としてハブの出現

    というのを解釈した質問でした。あんまり妥当じゃないですね。多分に、ひできさんは、バラバシの議論の展開について書いておられるだけで、現象として、ネットワーク構造の進化過程を述べられているわけではないのかな、と今更ながらにして思いました。

    であれば、誤解でした。失礼しました。

    もし、ネットワーク構造の進化過程を「べき乗則が観察可能な状態」が現れるのと、「ネットワーク構造の中でハブが現れる状態」と、どちらが先かを記述しようとされているのであれば、どちらでもないのではないかと思った次第。小さな単純な現象が蓄積することで、マクロな視点で眺めたときに「べき乗則が観察可能=記述が可能になる」ということであり、これだけでは因果律は表現できないということを「認識論」として欠いたつもりでしたが、これも「タイプする指が滑った」表現でしかないですね。申し訳ないです。深い思慮のないことを書いてしまったことを反省します。

    えっと、ハブの数うんぬんについては、きっとRefealiらのペーパーでオペレーショナルと書いたことについてのご意見だと思いますが、これも舌足らずのことを書いたのがいけなかったですね。おっしゃるとおりハブについての定義はバラバシもしていますよね。で、僕が言及したかったのは、ハブの話ではなく、ScaleFreeやSmallWorldというネットワーク構造の複雑さの度合いを区分しており、その区分を操作的な定義をRafealiがしているということだったのです。これは、複数のことをごっちゃに書いてしまい誤解を招く結果になってしまいました。申し訳ないです。

    おっしゃっておられる「物理的なハブの・・・」というのは、操作的も何もなくて、観測した結果をそのままずばり計量化できますよね。あるとしたら、in/outなどを区分した場合でしょうか。

    「素朴科学」の定義は、疑似科学と違って、未だその過程が解明されていないし、内容は論証されていないけれど、経験則上、因果律が存在しているらしいと思われる関係性を持った現象を、その時点ですでに「理論として肯定」してしまうことについていっています。疑似科学は、すでにその過程も解明され、内容も否定されているけれど、信じたい人がそれを「理論化」してしまっているようなもので、BooDooScienceと僕が揶揄しているものです。ですから、正確には素朴科学と疑似科学を並列にして表記するのはけしからんかなぁ、と今思って恐縮しております。

    いずれにしても、ジャーゴンを振り回すのは、かえって誤解の素ですね。自ら戒めるべきですね。本当に・・・。

    バラバシが言及している、ネットのポイントにおける攻撃の問題性については、すでに本の中で説明されているので問題はないのでしょう。また、アルカイダ・ネットワーク、911のインパクト(これは、経済の影響などに限ると)などは、「素朴科学」ではなく(すでに指摘させていただいたように)INSNAなどで研究され、そのネットワーク構造のあり様を科学的なj記述によって表現できているものばかりなので問題ないと思います。

    とはいえ、何でもかんでも、研究者が検証しない限りは全部「素朴科学」とか「疑似科学」だという気は毛頭ありません。が、ややこしいことに僕たちが意識的にネットワーク構造から生じた結果べき乗分布をしていると考えていいモノと、そうではないモノを明確に区分する手段を持ち合わせていないことが問題ではないかと思います。

    そこで、仮にある現象を観察することができ、形式的にその分布構造をべき乗則にしたがっていると記述した際に、果たしてそれは「必然的な結果」なのか「他人の空似」なのか分からないので、じゃあ「ネットワーク構造を実在させる「媒体」とはなにか(例: インターネットにおけるウェブのタグによって実現するハイパーリンクというルール)」ということを問うことで、それが「どうも他人の空似だ」とか「どうやら数学的な論証はされていないが、ネットワーク構造を実現するような媒体が存在しているが故に、ネットワーク構造から生じたべき乗則に従った現象だろう」ということを判断できるのではないかと思う次第です。

    典型的に現象としては観察可能だけれど、テクノロジーとして操作はできない「べき乗則」を当てはめて納得するだけよりは、もっと簡単な操作可能な要因を特定することで操作を可能にする、あるいは操作の効率を高める方がより生産的じゃないかと思うのです。もちろん「納得するだけ」ということを否定しているわけではなく、できれば、納得+アルファとして操作可能な方がいいんじゃないか。やはりネットワーク構造自体から生じる様々な性格がすべて明らかにされていない現在、より単純な法則によって説明できるものがあれば、よりそちらの方がいい(オッカムの剃刀、シャノンの大砲)ではないかなぁ、いう動機で考えてきた次第です。

    最後に、ひできさんが疑問を示しておられる「エントロピーの増大とスケールフリーネットワークの形成とか、どなたか研究されているのでしょうか?」については、僕も不勉強です。しかしながら、エントロピーを極大化するランダムネットワークではなく、本質的にスケールフリーネットワークとか、スモールワールドネットワークという「構造」自体がエントロピーを減少させ、複雑自律系に従う立ち振る舞いを発生させるということを発見し、議論するという点において、バラバシらの研究そのものがひできさんの疑問に答えているような気もするのですがいかがでしょうか。これについては、物理や数学の方の意見を聞いてみるのが賢明そうですね。

    さて、以上、なんだかとってもたくさん(数えたくなるくらいに)すみませんとか、ごめんなさいを連発してまいりました。が、それはずべて僕の不徳の成すところです。申し訳ないです。秀樹さんはじめ、ここを読んでおられる方々に対して、あまりに傍若無人な振る舞いをしたことについて、お詫び申し上げます。

    以上、お詫びと若干の言い訳を書かせていただきました。何かあらば、ご指摘などいただければ幸いです。

    投稿: yujim | 2004年10月 7日 (木) 01時55分

    あー、notepadからコピーしたら、改行が変になってしまいました。。。本と、重ね重ね申し訳ないです!!

    投稿: yujim | 2004年10月 7日 (木) 01時56分

    yujimさん、おはようございます、

    もう、「シュンポシオン」した後なので、あまりコメントすることはありません(笑)。

    http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/10/_second_impact#yodan

    コメントをいただいて、お話をさせていただいて、本当に学ばせていただきました。ありがとうございます。

    ブログを通して、ネットを通して、実際にお会いして、対話することが本当に大事だなとあらためて感じた次第です。私がネットワークに興味があるのもこの延長なのかもしれません。

    翻って、いまのアカデミックな方たちのネット上でのプレゼンスがあまり感じられません。どこか別なネットワーキングをされているのでしょうか?

    投稿: ひでき | 2004年10月11日 (月) 12時29分

    このテーマはつい最近興味を持ちましたが、アカデミックで言えば、pathwayとか脳に関連して興味が持たれてると思います。他にもあると思いますが。
    日記とかはたまたまかかれていないんじゃないかと思います。
    pathwayは、バラバシの本にも書かれていたと思いますが次のようなものです。
    http://www.genome.jp/kegg/pathway.html
    脳の研究者の参考文献
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4900594717
    ネットワークについても書かれていました。

    投稿: 匿名 | 2005年2月 3日 (木) 14時26分

    匿名さん、はじめまして、こんばんわ、

    と、書き始めてようやく思い出しました。例の生体内のアミノ酸などのリンクの仕方に関する分析ですね?リンクの数がべき分布するという話ですか?納得しました。ちょっと調べてみましたが、研究所は60年代から出ているのですね。かなり古い研究にネットワークの研究がつながるというところが楽しいですね。

    最近、ジョン・メーナード=スミスとか、エコノフィジックスとかの本を読んでいるのですが、生物学も経済学もベキ分布と深いかかわりがあるのだなとびっくりしています。

    http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2005/02/_scalefreenetwo.html

    ちなみに、Wedgeは私がほぼ唯一読んでいる雑誌です。最近、新聞まで読まなくなりました。脳科学について前にこんなの書きました。ご笑納ください(笑)。

    http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/11/love_brain.html

    投稿: ひでき | 2005年2月 3日 (木) 18時34分

    そうです。P53という癌抑制遺伝子が見つかったが、活用するにはP53と相互作用する分子のネットワークを理解しないといけないというようなことがかかれていました。
    パスウェイという用語は本にはかかれていないようです(もしかしたら、本にかかれているのはパスウェイではないのかもしれません)。
    こういうのもありました。
    「脳のモデリングと同じ手法で遺伝子ネットワークの解析が可能」
    http://premium.nikkeibp.co.jp/bio/f_page9.shtml
    このサイトはその内、一通り読ませていただきます。

    投稿: 匿名 | 2005年2月 4日 (金) 00時51分

    匿名さん、おはようございます、

    「脳のモデリング」の話は大変興味深いです。一応、私の学部生時代の先行は認知心理学で、計算理論を背景として、実験的にランダムドットを使ったキネマとグラムとステレオグラムの認知の比較を行ったのが卒業論文でした。

    http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/06/unto_the_random.html

    逆に、コンピューターのアルゴリズムの世界では遺伝子的アルゴリズムというのがはやりだそうです。

    http://mikilab.doshisha.ac.jp/dia/research/report/2003/index.cgi?order=normal&group=ga2&mdate=all

    この手法を使ったネットワーク分析の研究事例もあります。

    http://mikilab.doshisha.ac.jp/dia/research/report/2003/0716/013/report20030716013.html

    pathwaysですが、ぐぐったときに病院の蔵書で出てきた「Metabolic Pathways Vol.Ⅰ」が1967年と書いてありました。何かの間違いでしょうかね?確かにアマゾンにはありません。

    http://www.tokushima-med.jrc.or.jp/lib/shozo/wb.htm

    >このサイトはその内、一通り読ませていただきます。

    「このサイト」とは、私のHPOのことですよね?うれしいです。ありがとうございます。

    投稿: ひでき | 2005年2月 4日 (金) 06時51分

    >認知の比較
    認知を分析してモデルを作ってという風に調査が進められているようですね。
    脳に関しては、あらゆる観点が必要だと思いますが、個人的には、解剖学的調査に興味があります。電気回路的なモデルで脳が理解できるとは限らず、化学反応なども含めた脳自体を理解する方が良いのではないかと思うからです。人間が考えるより自然を理解する(ために考える)方が得るものが多いだろうという風にも思います。

    >この手法を使ったネットワーク分析の研究事例もあります。
    >http://mikilab.doshisha.ac.jp/dia/research/report/2003/0716/013/report20030716013.html

    このリンクの文章では遺伝的アルゴリズム自体をどういう風に使われているかはいまいち分からないですね。分かる人には分かるのかもしれませんが。

    ネットワークの数学的分析はどういう風にされるのかわかりませんが、
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4900594717
    では、56ページ辺りに、ランダムなネットワークと比較して、charactristic path lengthという二つのノード結ばれる最短リンク数の平均(上のリンクのDと同じ物だと思われます)は小さくて、あるノードと接続しているノードk個で、(k個のノード間の実際のリンク数)/(kC2,k個のノード間のあり得る全リンク数)というclustering coefficientという値は大きい(友達同士は知り合いである率が高い)というのが脳のネットワークでも見られるというのがかかれています。専門書を読めば色々書いてあるのだと思いますが・・・

    進化論的方法は、あるATGCの配列から完全に一致はしていないが類似した既知の遺伝子の配列を検索するのに使用されることもあるそうです。これには、動的計画法(dynamic programming)や隠れマルコフモデル(HMM)という方法の方が良く使われようです。調べたいことに応じて方法を変えるのかもしれません。

    >pathway
    metabolic pathwayは多分代謝パスウェイというもので他にシグナル伝達パスウェイというのががあるようです。リンクやオントロジーを利用したDB開発はされているようですが、余り数学的な分析はされていない気がします。いつ考えられたかは分かりませんが発展しているのは最近5年強だと思います。

    >「このサイト」とは、私のHPOのことですよね?
    そうです。条件反射でレスしてしまったのでまだ余り読んでないです。
    今日辺りに読ませていただきます・・・

    投稿: 匿名 | 2005年2月 5日 (土) 02時37分

    匿名さん、こんにちわ、

    私の生物学、医学への理解のあささがもろにでている記事を書いてしまいました(苦笑)。

    http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2005/02/molecular_devel.html

    ↑で参照リンクにあげさせていただいたsoreyukeさんのブログを読ませていただいていて感じたのは、多少なりともここのところ学びつつあるネットワーク分析の手法と、生物学、経済学の手法が非常に似てきているということです。

    http://bioinfo-goto.seesaa.net/

    出てくる言葉もクラスタリング、ベキ乗則、ランダム・ウォーク、ブラウン運動など、かなり共通しているのではないでしょうか?

    余談ですが、究極の統一理論についてのSFを読みましたが、10年前に書かれたにもかかわらず、いまの状況にとてもあった作品だと思いました。

    「万物理論」(ISBN:4488711022)

    投稿: ひでき | 2005年2月 6日 (日) 17時09分

    初めまして。いきなりいきます。
    ベキ分布は物理の世界では「相転移」と呼ばれる現象に特徴的に現れるものです。例えば鉄だと700℃(600℃後半だったと思います)位でいきなり磁石にくっつかなくなります。この現象を相転移といって物理では「イジングモデル」と呼ばれるおもちゃモデルで詳しく調べられました。また、相転移する温度を臨界点(臨界温度)といいます。
    そういう相転移の研究を通して、臨界点付近において比熱や帯磁率がベキ分布する事がわかりました。さらに、「そのベキ指数がモデルの詳細に依らない」事が分かったのです。
    この最後の部分は特に重要です。もし、ある現象に現れる性質が単純なモデルの詳細に依らず決まるのであれば、その現象の本質はその単純なモデルにあることになります。
    通常、物理ではこのベキ指数を「Universalな量」と呼びます。かっこいいですね。
    さて、この臨界点付近を調べる方法にくり込み群の方法があります。これは、要するに大事な事を見落とさずに、現象を引いて眺める事に対応します。実はこの手法を数学者が用いカオスに現れる特徴的な量である、ファイゲンバウム定数を導く事に成功しました(ちなみにくり込みの手法を理解するためにファイゲンバウム定数を導く事はいい例題になります)。ここまでは既に教科書になってます。
    次に、時系列上のベキ分布の例としては株価が有名です。これについてはご存知の高安さんが「拡張されたランジュバン方程式」と言うものを提案してます。これは非常に単純な方程式なんですが、ベキ分布を作る事が知られてます(多分、時系列のベキを生み出す最も単純な方程式だと思います)。ただし、どうしてベキになるのかなどはちゃんと分かってません。
    高安さんのランジュバン方程式論文
    ttp://prola.aps.org/abstract/PRE/v61/i2/p1081_1?qid=b1c7bbdaa1ab347c&qseq=1&show=10
    そして最後の例がいわゆるスケールフリーネットワークです。これは釈迦に説法ですね。
    バラバシさんのスケールフリーネットワークのレビュー論文
    ttp://prola.aps.org/searchabstract/RMP/v74/i1/p47_1?qid=cb8dd5c737de1ee8&qseq=2&show=10
    物理学者がベキ分布に注目する場合、頭の中には必ず「臨界現象→Universalな量」という流れがあります。だから、ベキなら何でもいいんじゃなくて「ベキ指数が系の詳細に依らないのか」という視点は凄く大事になります。

    一応、物理界隈ではこのような背景があります。
    ちなみに、物理内では経済物理やネットワークの研究は複雑系として知られており、有力な物理学者の中には眉唾物だと思ってる人もいます。
    僕はどんどん挑戦すべきだと思ってますが。
    長文失礼しました。

    投稿: 暇人 | 2005年2月11日 (金) 01時20分

    暇人さん、はじめまして、おはようございます、

    いきなりの投稿ありがとうございます。このコメントをゲストブログではないですが、記事にしてしまってもよいですか?なんか、こういうことに興味をもっておられる方が存在するというだけで感動しています。

    http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2005/02/_scalefreenetwo.html

    ↑にもコメントいただけたりするとうれしいです。

    投稿: ひでき | 2005年2月11日 (金) 11時26分

    どうもです。

    記事にされるんですか、半分眠りながら勢いでざっと書いたので、間違いあっても責任持てなかったりします。というか、もう間違い見つけました。記事にするのであれば訂正しておいて下さい

    1、鉄の転移温度間違ってます1043度でした。すみません。
    2、これは間違いとは言えませんが、臨界点の中でも特に温度については転移点と呼ぶのが普通です。

    記事にされるのなら責任持たなきゃまずいので、匿名止めます。
    誰かが間違いを指摘して来ましたら、教えて下さい。僕の方から謝ります。

    それにしても、一応物理院生なんで間違ってたら恥ずかしいです。

    投稿: 暇人改めkino | 2005年2月11日 (金) 17時35分

    kinoさん、おはようございます、

    昨晩、kinoさんのブログの方にコメントさせていただきました。

    kinjoさんもおっしゃっていましたが、なんというかこれだけマニアックな話題でも盛り上がれるのが、ブログのよいところですよね。

    http://blog.livedoor.jp/t01307kk/archives/13200577.html#comments

    ほんとうに最近、生物学、物理学、経済学のプロフェッショナルな方々からコメントをいただけたりすることがあって、ものすごくうれしくなってしまいます。まして、それらの学問領域が「ベキ乗則」とかでつながっているらしいと気づいたときは涙が出るくらいうれしかったです。

    投稿: ひでき | 2005年2月12日 (土) 07時11分

    偶然開いてみたが、じつに素晴らしい。
    素人の私にとって、貴方は天才にみえる!

    投稿: 老虎灘 | 2007年5月 7日 (月) 10時09分

    老虎灘さん、おはようございます、

    コメントありがとうございます。べき乗則は結構面白いです。よく話題になるロングテールは、その元になる現象の特殊な一面にすぎないと私は思っています。

    今後ともよろしくお願いいたします。

    投稿: ひでき | 2007年5月 7日 (月) 10時17分

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