ネット世界における相転移 Phase transition
朝、目覚めて、最近ネットで個人がノードになっているというあまりに当たり前のことに気づいた。
2chなどに代表されるように、トピックが先にありきでそこに匿名でずらずらと意見がついていくというのが、少し前までのネットの「あたりまえ」ではなかっただろうか?2チャンネラーでなくともポータルを一箇所決めて、自分の調べたいことだけを検索エンジンで探して単発で読むというのが、ネットの使い方の標準だった。少なくとも私は、今年の初めまでMy Yahoo!のポータルページで、ニュースと株価情報たけを定期的に読むだけしかネットをつかってなかった。いわゆるホームページといっていたときには、価値があるのはそのホームページがもたらす情報だった。情報がドライブしていた。テーマや話題、情報が先行していた。それが、ここ数ヶ月自分でブログを書くようになり、触れるようになり、全ては変った。現時点ではそれが匿名であれ、ハンドル名であれ、実名であれ、一個の人格がそこに通底して存在する事が記事の前提になっているように感じる。それは、あまりに当たり前のことをなにをいまさら言うのかといったレベルかもしれない。
今年の初めてに私個人としてブログの時代に突入し、検索エンジンの断片的な記事を読むよりも、特定の人格のサイトを定期的に読むことの方が多くなった。初めてネット上の同一人格を確かに感じるようになった。お会いしたことのない方でも、信頼できる記事を続けて書いていらっしゃることを発見し、毎日その人格のブログを読むようになった。明らかに、ネットの向こうに人格がいることを感じた毎日だった。
だから、切込隊長さんが「SNSはパソコン通信時代への回帰現象?」(via finalventさん)と定量的なデータから言っていたことは、人格が先行すると考えれば了解可能ではないだろうか?だから、木村剛さんが「匿名から特名」とおっしゃったことは、情報やテーマがネットを動かす時代から、ネット上の人格がネットを動かす時代になったのだと理解すると腑に落ちるのではないだろうか?ましてや、特定の人格を基本としたソーシャルネットワークシステム(SNS)+ブログノリを見るとき、あきらかに人格と人格がネットの上で実体的なつながりを持つことを実感する(eg. mixi、gree)。
「匿名+検索」の世界では、話題やテーマがノードであったのかもしれない。しかし、一個の人格がネットに表出し、SNSによって非常に視覚的に人格と人格のつながりまで裏づけをもつようなったとき立ち現れるのは、ごくあたりまえの一個の人格だ。この意味で、今初めてネットワーク・モデルにおいて真に人格がノードになったといえるのではないだろうか?これは、「新ネットワーク思考」の言葉を使えば、細胞をノードととらえるのか、たんぱく質の種類をノードにするのかぐらいかの変換式が適用されたように感じる。
少々、話題が飛ぶようだがネットの世界がテーマ、トピックから個々の人格に転換するにいまここにおいて、ネット信頼通貨成立の基礎の一部が初めてこの世に来たったと感じる?いまここにおいて、はじめてネット信頼通貨の流通価値を見出すことができるのだ。yujimさんが以前指摘されていたように、ネット信頼通貨や地域通貨では10投資しても7くらいしかもどってこないということは真実であろう。必ず「ズル」をする人、悪用をする人があらわれてしまうのが人間というものだ。ネット信頼通貨を使うくらいなら、どう考えても政府の流通する通貨に頼ったほうが分がいい。この意味で、ネット信頼通貨が世の中を覆うことは決してないだろう。
しかし、経済的価値以外に価値を見出す人にとっては事情は違うのかもしれない。特定の人格として認められたいと思っているアーティストとか、とにかく自分の意見を表明したくてがまんのできないブロガーなどに、ネット信頼通貨は役立つのかもしれない。つまりは、経済的な価値を多少犠牲にしてもあなたの信頼と認知という付加価値をで払ってほしい!、という決済方法だ。政府発行の通貨を使って決済し、決して損をしたくないという行動をとればあと30%余計に利益があげられるのかもしれない。しかし、私自身を含む何人かの人間は、30%経済的損失を蒙って余分な付加価値を放棄せざるをえなくなっても、一人でも多くの人に自分を認めて欲しいという欲求をもっている。
「認知されたいという欲求がネット信頼通貨の存在の基底現実である。」という結論をもって、一旦本記事の結論としたい。
■参考リンク
・ブログを書いて商売になるかどうかは成功者待ち by 切込隊長さん
・あーーーアウトプットしたい病 by Hiroetteさん
・論壇系ブログは日本の言論空間を変える力になれるか? by むなぐるまさん
・「匿名」から「特名」へという流れなんだけど by TAOさん
・ぼくの声が聞こえますか? by m_um_uさん 「匿名でも特名で、それに基づいて想像される人格が信頼となって一定のトポスが構築されていく」という素敵な要約の言葉をいただきました。ありがとうございます。
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コメント
個人がノード・・・なるほど。いやいや、大変なご明察。と思いました。
もう一歩進めて考えて見ますと、トラックバックの単位、コメントの単位が、個別のメッセージ単位になってますね。
これは、
個人のある瞬間のメッセージがノードになっている。個人は、その瞬間瞬間に発したメッセージの積分+α・・としてある種の統合ノードでもあります。
ということで、個人が時系列的にも個別のメッセージ・ノードによって、エンパワーされており、さらに、そのエンパワーされた個人がネットワーク化されることで、社会総体のパワーがあがっているはず。
と思うのです。
で、そのパワーがどこに発揮されているか。
・経済におけるイノベーションと起業家精神
・政治における参加民主主義
・文化における多元性
わが身を振り返ると、文化における多元性・・にそのパワーが発揮されているおかげで、音楽活動も微妙に活気づいてきたような気がしております。
投稿: 中川一郎 | 2004年10月15日 (金) 10時16分
信頼通貨関連でこんなのみつけたのでお報せです
「伝播投資貨幣」
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%C1%C7%C5%C5%EA%BB%F1%B2%DF%CA%BE?kid=1994
あと、↑関連でこれとか↓
「ネットコミュニティ通貨の玉手箱」
http://sacral.c.u-tokyo.ac.jp/~ken/gets/tamatebako.html
両方ともまだぜんぜんみてないのでよくわかんないのですが、いちおお報せってことで・・
投稿: m_um_u | 2004年10月16日 (土) 14時15分
中川一郎さん、こんにちわ、
すっかりお返事が遅くなり失礼いたしました。
>個人のある瞬間のメッセージがノードになっている。個人は、その瞬間瞬間に発したメッセージの積分+α・・としてある種の統合ノードでもあります。
もう、私のいいたことを2行で集約してくださいました。ありがとうございます。
そして、多分ネットワークの適応度からいくと、積分値を超えて相乗効果が出ているのではないかと思われます。これが、多分中川さんのおっしゃる「エンパワーメント」ということだと感じます。
このネットを使った、音楽でも政治でも、いままでにはない個人のあり方と個人のつながり方が実現されつつあるように、私も感じます。
楽しみな時代ですよね☆
投稿: ひでき | 2004年10月17日 (日) 15時45分
m_um_uさん、こんにちわ、
はい、ありがとうございます。こういう貴重な資料がネットに乗っかっているとしりませんでした。いずれもPICSYの鈴木健さんですね。いんやぁ、ありがとうございます。まとまった鈴木さんの論文を探しておりました。これは腰を入れてよまないと。
ちなみに、先日「進化経済学のフロンティア」という本に収録された鈴木健さんの論文を読ませていただきました。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4535553211/hidekisperson-22
これはアンソロジー的な本の中の1章だったので、少々食い足りない思いをしておりました。いまアマゾンにいって「玉手箱」注文しました。兄弟論文と書いてあった「相対値貨幣の理論」もざっと目を通しましたが、あとで印刷して読みます。
http://sacral.c.u-tokyo.ac.jp/~ken/gets/relativemoney/
いんやぁ、やはり今はエキサイティングな時代ですね。
ざっと見せていただいて今感じているのは、「新ネットワーク思考」で示されたネットワークの新たに発見された特性と、PICSYのような信頼通貨(っていいっていいのかな?)は、きっと統一的に扱われるべき性質をもっているのではないかということです。相対貨幣になるためには、やはりネットワークの存在が、それもいままので近代的な資本主義で仮定されているよりも数倍緊密なネットワークが必要となるように感じます。
いや、ほんとうにありがとうございました。
投稿: ひでき | 2004年10月17日 (日) 16時01分