ライフプランの破綻 life plan?
あけましておめでとうございます。
平成17年の元旦となった。終戦から60年を迎えるこの年を迎えるにあたって、国と自分とのかかわりを考えてみたい気になった。
正直に言おう。楽しみにしていた塩野七生の「ローマ人の物語」の最新巻を読み終わり、この書評をもって新年初の記事としようと思っていた。たまたま、今朝いつもは読まない日本経済新聞を読むと一面から少子化の問題を扱っていた。これらの記事によると女性の特殊出生率は1.3を割りますま低下傾向にあるという。しかも、その低下のすくなからぬ原因は、中絶する人が増えているからだというのだ。しかも、しかも、経済的な理由からの中絶だという。
同紙の7面には、本来書こうと思っていた塩野さんのローマ帝国関連のインタビュー記事があった。塩野さんは、さかんに子を持つことへの優遇策を強調されておられた。一応、「アフィリエイト」がつくがファイナンシャル・プランナーの資格を持ち、以前から子どもを持つ政府の対策は十分に投資として見合うと主張してきた私としては、生涯に税金や年金をどれだけ負担するか実際に計算してみる方が書評を書いているよりも優先順位がたかそうだなと思った。
そこでやってみた。
シナリオとしては、「a.結婚し、子を2人もうける」、「b.結婚し、子を1人もうける」、「c.結婚しない子ももうけない」、「d.結婚子2人、だが家を買わない」の4つをシュミレーションした。いや、正直税金や収入の額などかなり見当でしかいれていない。以前、ライフプランナー協会あたりの資料を見た記憶があるので、再度やりなおす必要が強くある仮定条件をもとにした結果だということをあらかじめ断っておく。
シナリオ | 生活関連支出 | 税金保険年金負担 | 支出合計 | 収入 |
a.結婚、子2人 | 314,849千円 | 109,667千円 | 424,516千円 | 273,020千円 |
b.結婚、子1人 | 262,266千円 | 107,038千円 | 369,304千円 | 273,020千円 |
c.無婚、子なし | 164,683千円 | 102,159千円 | 266,842千円 | 273,020千円 |
d.結婚、子2人、家無 | 291,149千円 | 108,482千円 | 399,631千円 | 273,020千円 |
とりあえずの結果として、一人子どもがうまれるたびに地方自治体、保険等の勘定をあわせて政府に1億内外のお金が入ることになる。もちろん、現金の正味価値を考えなければならないので、現在価値にひきなおせばいくら現在の低金利下でもたぶん半分くらいにはなってしまうだろう。また、人が一人いることで行政コストも若干増えるだろう。それでも、かるく100万や200万くらいを支出して、経済的な理由で中絶というしてはならない選択をしてしまう人を思いとどまらせるような施策をとっても十分にペイする。
それ以上に、驚いてしまったのが生涯の収入と支出のバランスだ。ほとんどのシナリオで破綻している。下手をすると億円単位の借金を生涯で残しかねないことを意味する。確かに、結婚して子どもを2人以上持とうとすることは経済的に将来破綻するということを意味する。唯一、結婚もせず子どもももうけないという選択枝のみが、一人の生涯としてはバランスする唯一の道であるように見える。確かに、子どもをもうけることは高くつくことなのだ。
そもそも、ここで見込んだ大学まで進学し、生涯をサラリーマンですごすというライフプランのモデル自体がすでに破綻しているのかもしれない。多くの若い方々はこれに気づき、キャリアアップするなり、自分で会社を興す以外、自分が望むような豊かな未来は計画できないことが身にしみているので、最近の「成功本」の流行があるのかもしれない。
しかし、ここで検討したシナリオでは配偶者の所得も、将来子どもが自立した後のいろいろな意味での「見返り」も見込まれていない。国あるいは政府という立場から見ても、一人子どもをもうけることはそれから国あるいは政府に1億円の寄付を約束することと同じだ。国として将来をつづけていくためには、絶対的に必要なことなのは間違いない。いや、自分が生きれれば将来がどうなってもかまわない、と思っている方は別だ。
ただ、さんざんこのブログにおいて議論してきたように、人は一人で生きるのではないし、人は自分がなにをなしたか、自分が人からいかに認められる活動をするかということが生きがいにつながり、気概につながるのだと信じる。
この問題にまだまだ結論はでない。じっくりと腰をすえて取り組んで行きたい。
■追記 平成17年1月2日
このシュミレーションの前提として、配偶者のうちの一人の収入だけが継続すると仮定している。夫婦二人の収入が期待できれば、だいぶ状況は改善するかもしれない。いわゆる共働き、女性の社会進出という回答だ。ここにきて、ふじすえさんが以前書いていらっしゃったことの一端が理解できるように思った。ただし、私には夫婦別姓が女性が生涯働き続けられることにつながるとはどうしても考えられないことを書いておく。
■追記2 同日
日経新聞にこうある。
昨年の新生児は百十万人強。不妊で産みたくても産めない人がいる一方、中絶件数は三十万件を超す。第三子を身ごもった女性の十三%、第四子では三〇%が中絶を選ぶ。五十歳未満の既婚女性の四人に一人が経験者だ。
そら恐ろしい気がする。切込隊長さんが心配するまでもなく十分に夜は暗い。
■追記3 平成17年1月4日 零時過ぎ
くりおねさんから、日本の中絶等に関する統計の載っているサイトを教えていただいた。
・人工妊娠中絶の問題 @ リプロヘルス情報センター
この統計を見ると、日本は過去の人口が増大している時期においてもかなりの比率で人工中絶が行われていた。どうも、少子化と人工中絶を関連付けるには無理があるようだ。
考えてみれば、米国において「prochoice」と「conchoice」という議論、つまり「人工中絶を認める」か「認めるないか」、がリベラルと保守との大きな議論になっている。日本では案外無神経にこの問題を扱いがちだが、根が深い問題だ。自分自身よく理解せずにいたことを認めざるを得ない。
コメント欄で認識不足なコメントをしていたことをお詫びいたします。
■参照リンク
・未来への希望 (HPO) 日本の人口シュミレーションに関する記事
・ぼくたちは本当に負け犬なのか? (HPO)
・当然ながら年金と少子化 by Hiroetteさん
・そして誰も結婚しなくなった by KenjiMさん
・夫婦別姓と少子化 by ふじすえ健三さん
・専業主婦の逆襲:イナゴと呼ばれた老人達 by ニシオさん
・この国を子どもの生めない国、育てられない国にしたくない by 田辺有輝さん
・「負け犬の遠吠え」 (HPO)
・出産育児手当は少子化対策になる…わけねーだろ by R30さん
・少子化問題言論俯瞰。 by ぎょろさん
・[経済]少子化議論流行中 by NILさん
・彼我の差は大きい to have or not to have (HPO)
・子どもの教育費が不安というが… by 畑谷さん
■参照リンク 統計編
どうも数字に信憑性がうすいようなので、お約束どおり数字をきちんとチェックします。まずは、参考リンクから。
・H14家計における教育費 @ All About Japan
・家計と子育て費用調査 @ 野村証券
・家計調査 長期時系列データ @ 総務省統計局
■追記 平成17年1月23日
ようやく精神的なゆとりができたので、数字の検証をしたい。(リアルタイムでやります。)
・かんぽの「あなたのライフプラン」:家族構成をいれるとこれから必要な資金を計算してくれます。
シュミレーションサイトのまとめはやっぱりAll About Japanにありました。さすが!
・ライフプラン・ライフシミュレーション @ All About Japan
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コメント
ほんとうに数字で見ると明らかで、次の世代の子供たちにはそうとうきついものを残していくことになります。
平均的なレベル(?)で計算すると破綻する、ってことになると、「皆さん、平均的ではだめなので、平均を上回る生活力を付けてください」ということになるのですが。これは論理的に矛盾です。
治安その他の公共サービスの水準は高くないが、極端に生活コストの安い地域を作って、平均的な人はそこで防衛的な生活する、というシナリオがゆっくりと現実化しつつあるような気がします。
投稿: miyakoda | 2005年1月 2日 (日) 15時29分
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
少子化については、子供を持つ立場としてはいろいろ思うところがあります。
役人的に見た場合、児童手当の支給など政策的にはネタ切れ状態に思えます。
役人が政策を考える場合(1)金を使わず知恵を使う(2)優遇措置など(3)真水(現金支給)の順になりますが、(3)は薄く広くなるのであまり良くないと一般に考えられます。
それを児童手当等でやっている時点でかなり手詰まりのように思えます。
「成果」が重視されるあまり、時間がかかること賀評価されにくいと言う本来公務員が最もアドバンテージがあるはずの企画が打てないというのもあるでしょう。
また、少子化対策と言えば、例えば上杉鷹山の例がありますが、藩主という立場ですらクーデターに近いこともあったりしたなど、抵抗勢力がある限りどんな良いものでもなかなか思い切った策は難しいものです。
このあたり、「国民全体に良い」というはずのものが「独身」対「妻帯者」のような対立的視点に組み込んでとらえる新聞などもあり、議論がねじ曲がっているなど、少子化への危機感や必要性などが全体として欠けているように思えます。
ちなみに個人的には、「経済的な理由」による中絶の増加という統計はあまり実態を反映していないと思います。収入はあっても忙しくて、あるいは職業上育てられづらいというのは経済的な理由に含めるべきではないと思うのです。
マスコミも含めた少子化対策の肯定的評価と取り組みへの支援(盛り上げ)と時間のかかるが効果的な間接的施策の立案(NPOなど民間からの立案なども含む)が今一番必要なように思えます。
投稿: ハーデス | 2005年1月 2日 (日) 20時12分
miyakodaさん、こんばんわ、今年もよろしくお願いいたします。
まあなんというか、非常に数字面だけを見るといまの日本が子どもを産むことに対して、経済面からも、種々の体制からいっても、かなり逆風の状況にあるのは確かだと思いました。「平均的な収入家族構成だとライフプランが破綻する」という前に、「現代の日本の経済、政治状況のままでいけば」という前提が入ります。多分、20代、30台の多くの人は、直感的にこの「前提」を変えることはできないから、自分の生き様としては子どもを産まないという選択枝を選んでいるのでしょう。あるいは、結婚していても中絶という枝を選んでしまうのでしょう。4人に1人というのは衝撃的でした。
また、今日ある方とお話ししていたのですが、多分「産まない人」に産ませるのは、かなり難しいことだと思います。一人、あるいは二人の子どもがいる世帯に、もう一人、もう二人産んでもらう工夫が大事かと思われます。
ハーデスさん、あけましておめでとうとございます、
と、書きつつあまりおめでたくない話題についてなのですが...
正直、元旦の各紙がかなり「少子化」ということを前面に出しているので、今年は誰かがさっそくにしかける準備をしているのかなと思いました。
ある意味、巨額の政府の負債の問題は、お金の問題ってどっかで乗数がきくものなので、かつ、仮にいまの政府がデフォルトを起こしてもとりあえずは誰も死ぬわけではないので、あまり心配していません。しかし、人口と教育のゆがみという問題は10年、20年で極端に好転することはないので、非常に危惧しております。
正直、私の記憶が定かなら小学校のころの社会科の教科書には高齢化よりも人口が増えすぎていることが問題としてとりあげられていたよに記憶しております。これに対して、国の方針としては避妊などの方法の教育を含め、抑制の方向にかじをとっていたような気がします。皮肉でなく、国民的に当時そのような認識にあり、実に効率的にこの課題を官僚の方々が見事に達成したのが現状であるように認識しております。
「経済的な理由による中絶」については、「追記2」として日経新聞を引用させていただいたとおりです。この統計の元を調べたいですね、正直。でも、もしこれが本当だとすれば中絶をしない方向に舵をとれば、それだけで年間30万人の人口増になる可能性があるわけですから、人口減少になる年代を相当程度先に送れるように思います。では、そういう子どもをどう育てる仕組みを作るかですが、直接の受け皿である児童福祉の現状を見ていると、あまりここに書いていいのかわかりませんが少々かかわりがある中で、かなり絶望的な気分になります。それでも、児童福祉とシングルマザーの援助策、あるいは2人目、3人目の子どもを持った世帯への大幅な税額控除あるいは現金支給などのわかりやすい政策パッケージを実現すれば、かなり好転する可能性があると思うだけでも、まだ救われる気がします。
ちなみに平均的な家計の破綻する可能性については、どう思われますか?もし、万一家計についての統計でよいものがあったらご教授いただければ、幸甚です。
投稿: ひでき | 2005年1月 2日 (日) 23時37分
ひできさん、こんにちは。
本年もよろしくお願いいたします。
新年早々のコメントがこんな内容で恐縮ですが、中絶について。
中絶イコール「産みたくて作ったのに産めない」というとらえ方をすればたしかに少子化対策に向けての課題のひとつとして考えられるのでしょうけど、実態はそうではないのではないかというのが私の感想です。今ここで正確なデータを示すことができなくて申し訳ありませんが。私の予想では、特に第三子以降の中絶は「避妊の失敗」「夫の避妊への非協力」の結果としてのものが多いと思っています。
ためしにGoogleで調べてみたらこんな調査結果を見つけました。少々古いですが。
「人口妊娠中絶の問題」
http://homepage3.nifty.com/m-suga/abortion.html
中絶を切り口に少子化を語られるのは、正直違和感が大きいです。
投稿: くりおね | 2005年1月 3日 (月) 14時33分
今年もよろしくお願いします。
ところで私のところはすでに同居4年になりますが、依然として別姓(というか、婚姻届すら出していない)です。本人どうしは一生の伴侶になっているつもりですが、むしろ法制度と私たちの感覚がずれてしまっているのかもしれません。
第1に、両名がそれなりの仕事をし、それぞれの仕事の領域では少なくとも制度上は性差は関係ないことになっている場合(もちろん、これらが本来的な要素だとは思いたくありませんが)、たとえば「結婚」してどちらかどちらかの姓を名乗るよう変更する場合、その「どちらか」かどちらになるのかというのは、きわめて相対的な判断になります。私が姓を変えたくないのだから、したがって相方だって変えたくない、ということになります。
第2に、子供が出来てから両名が引き続き同じ状況で仕事できるように残念ながら、基本的にはなっていないということがあります。職場に保育施設がないのですから大変です。国会議事堂に保育施設があるのか知りませんが、霞ヶ関にはないと思いますし、かなり先進的な企業でない限り保育施設はないですよね。上記の第1の点に立脚すれば、私が子供を預かる日も出てくるはずですが、周囲を見渡すとそういう施設がないことを、本当にぞっとします。
少子化の議論は結構ですが、もっと社会インフラの整備が必要だと思います。この点については、政治が本当に大切です。
投稿: koh | 2005年1月 3日 (月) 22時35分
個人的には、年金の試算等も含め、10年以上先の将来予測は数字そのものにはあまり意味がないと考えています(デフレーターを考慮しているなら別ですが、これも主観が入ります)。
特に、家計においては中高年齢層からの資産移転(生存中含む)が前提ですから。
ただ、ご指摘の点はおおむね同じ感想です。今の30代の子供を産み育てる世代が今の中高年の財産を食いつぶします。ですから、ここで手を打たないと先細りは確実です。
ちなみに私は現金支給より、子供を育てる際の精神的ケアや病気時のヘルパーさんなど育児環境整備が必要だと考えています。例えば児童手当で言えば、1月5千円では正直あまり変わらないと思います。もらえるだけありがたいですが。
教科書については、人口増問題は世界的な問題、日本については少子化で教えているはずです。「釣り鐘型人口分布」で少子化の危険を教えていたと思います。
ちなみに避妊についてはくりおねさんがストレートに言ってくださったのでそれに便乗させていただきますと、「職業上」というのは私としては「学生」も含んでいるという認識です。
一時の快楽のために子供を産む重大性(大変さ)を認識しないでいるからこそ虐待も増えているのだと思います。
しかし中学生等淫行条例世代への避妊教育推奨は誤りだと思います。将来への(ある程度の)思いがない人とやるな、という教育が先だと思います・・。
なお、国会議事堂や霞ヶ関に託児所というのは、正直現実的ではないと思います。なぜならラッシュ時に子供を連れていくのは極めて困難(はっきり言えば毎日は不可能)だからです。これやったら虐待に近いです。
投稿: ハーデス | 2005年1月 3日 (月) 22時54分
国会や霞ヶ関に託児所を作るというのがなぜ反対なのか、よくわかりません。名古屋に女性限定の車両がありましたが、子連れ限定の車両を作ったらどうでしょうか。現実的でない、ことはないと思います(すみなせん、本当にそう思うものですから)。千葉から新橋駅を利用していた同僚が赤ん坊を連れて出勤していたこともありますよ。虐待にならないような環境をつくることが政治だ、と申し上げたかったのです。
投稿: koh | 2005年1月 3日 (月) 23時22分
くりおねさん、こんばんわ、
いただいたURL読ませていただきました。中絶ということが人口が伸びていた1950年代から大きな比率を占めていたということを理解しました。確かに少子化の対策として中絶、あるいは逆に中絶による少子化という関連は主張できないように思いました。ありがとうございました。
ただ、本当に悲しいことですが「産まない」あるいは「中絶する」という選択には、経済的な状況あるいは、子どもを育てる環境があるかどうかとい問題が遠い背景としてあるよう感じます。ここをどうするかが非常に政策的に問われるポイントだと思います。
ハーデスさん、こんばんわ、
勇気あるご教授ありがとうございます。
「家計の破綻」ということについては将来の予測というよりも、いま私が誰かに依頼されてライフプランを書くとしたら、10中8、9くらい破綻するプランしか書けないだろう、ということです。なんというか、いま現在生きている人たちが自分たちの将来どうなるかなぁ、と考えたときに明確なライフプランであれ、不明確な直感であれ、ここで示したような「予感」を元に行動するのではないでしょうか?
「資産くいつぶし」の件、「育児へのケア」の件、私の日常的な経験からいってもそのとおりだと思います。
教科書の件は私の記憶違いかもしれません。以前もどこかに書きましたが、副読本にドイツの夫婦のインタビューが載っていて「子どもを生むのは、移民たちの仕事なんじゃないの?私たちが子どもを産んで育てるのには環境が悪すぎる。」という部分を読んだときに子どもごころながら戦慄が走ったのを覚えています。30年たって、まさに日本がこういう状況になったのかと...
ちなみに、ごく断片的な知識しかありませんが、この30年間あまりにドイツ人はかなり痛みを伴いながら、労働環境等の改革を進めたと私は思っております。
避妊、虐待については、まさに教育の問題かと思っております。これについては、まだ自分で自分の意見をまとめきれずにおります。
kohさん、
個人的に存じ上げているだけに、結婚の制度と育児環境への不満はよく伝わります。また、その切実さに胸が痛みます。
なんというか、以前の家族的、地域社会的な子育ての仕組みは崩れているのに、それに変わる制度を生み出せずにいるというのがまさに現代なのでしょうね。
この辺は、自分で切込隊長さんの意見の影響を受けていることを感じるので、ここにリンクをおきます。ぜひ見てみてください。
http://kiri.jblog.org/archives/001302.html
子連れ限定車両に一票!
投稿: ひでき | 2005年1月 3日 (月) 23時58分
情報提供。
・霞ヶ関には有名な保育園があります。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/04/010405.htm
・労働可能年齢の大人に対しても税金支出は行われますし、子どもが成人するまでにも教育費だけで1500~2000万円の税金支出が行なわれます。トータルで考えれば「子ども一人が1億プレゼント」ではありません。とんとんに近い程度です。
投稿: NIL | 2005年1月 4日 (火) 12時42分
NILさん、こんにちわ、
保育園情報ありがとうございます。「文部科学省共済会」というのが気になりますが、朗報です。
「とんとんに近い程度です。」って、そーなんですよね考えてみれば。これだけ国の債務を増やさないといけないということは、総体として考えたときに今の税収ではぜんぜん行政コストをまかない切れていないということですよね。あたりまえでした。さまざまな疑問がここから浮かびます。
・いまの現状の行政サービスのレベルで国の財政がすでに破綻していて、かつもしかすると家計も破綻しているとすれば、ごくごく一部の企業と個人に積みあがる(複式簿記でいうところの)資本を除いてこの国は経済的な価値を生み出していないということなのでしょうか?
・一人あたりに割っても財政も家計も赤字なら、国民が増えようとへろうと、問題ではないということなのでしょうか?
・ぼくらは家計としても、財政(行政サービス)としても、過大な(ぜいたくな)ことをしている(もらっている)ということなのでしょうか?
・財政も家計も借金漬けになる以外にやっていくことはできないということなのでしょうか?
・もっといえば、そもそも経済を全体として見たときに家計が破綻しようが、財政が破綻しようが、直接の影響は貨幣価値(為替)が下落するということだけなのでしょうか?
もちろん、大幅な貨幣価値の下落はその後日本の国の競争力をそぎ、大幅に人口を減らした上で農業主体の経済にもう一度もどるとか、さまざまな「副次的」な影響はあると思います。
この辺、どうも経済学オンチなのでイメージできずにいます。NILさんは、経済にお詳しいようですので、もしお応えいただけたりするととてもうれしいです。
投稿: ひでき | 2005年1月 4日 (火) 14時58分
わわわ、だいぶハードなリクエストですね。(^^;)
後日トラックバックさせてください。
投稿: NIL | 2005年1月 4日 (火) 20時07分
はーい、楽しみにしておりま~す!
なんかこの辺のことって、一般常識で考えるのと経済学が導く結論とものすごく違うような気がしていて、なにか引き出せそうで出せないという小骨がのどにひっかかっているような状況で、すごく興味があります。
ぜひぜひご教授ください。
投稿: ひでき | 2005年1月 4日 (火) 23時03分
ひできさん
毎回私の文才のなさのせいでご迷惑をおかけして申し訳ございません・・。
ご指摘のように少子化対策にぶら下がる政策の一つにすぎない育児環境改善ひとつを持ってみても劣悪な労働条件の改善さらには通勤対策、一極集中の解消という一見育児に関係ないようなことも実は関わり合っていると考えております。
そういった意味で少子化対策というのはとても重い複雑なテーマだと思います。
>kohさん
NILさんに代わってお答えいただきましたが、霞ヶ関に託児所はありました(文科省の移転に伴いなくなっています)。
私は、ポイントは託児とは年間を通して行わなければならないということだと考えております。
例に挙げられた、千葉から新橋で何年も通いで託児をされていたとすれば、その方はすごい方だと思います。
大人でさえ苦しいラッシュにだっこして子供をかばいながら乗せるのを毎日何年も続けるというのはちょっと想像がつきません。
現に霞ヶ関託児所が出来るといったとき多くの知人が検討しましたが、やはり「毎日霞ヶ関までだっこして連れてくるのは不可能」という結論で断念しています。
ですから多くは地元の保育園の延長保育などで対応しているのが現状でしょう。
また、子連れ専用車もラッシュ時はやはり難しいと思います。例えば10両編成ですらきついラッシュが9両に凝縮されるわけですから大変な苦情が殺到するでしょう。また女性専用車が先だという事にもなるのではないかと思います。
そういった意味で、職場での託児のために一番必要なのはラッシュの改善であるように思っています。
私はご意見を否定しているわけではなく、実態を踏まえると実現に向けたハードルが相当高いということを申し上げたかったのです。言い方が悪く気を悪くされたのであれば申し訳ございません。謝罪させていただきます。
投稿: ハーデス | 2005年1月 4日 (火) 23時50分
おお、NILさん、ありがとうございます。この保育所のことは知りませんでした。勉強不足です。ハーデスさんご指摘の通りであるとすると、今は文部省工事のため無くなっているとすると、それはニーズがないということなのでしょうか。
ハーデスさん、こちらこそ、尖った言い方をしてしまい失礼しました。ちなみに千葉から新橋に、という同僚は、職場が日本政府機関という意味での霞ヶ関でありませんので、一般的な意味での霞ヶ関で働く方々とは比較できないかもしれません。今、ちょうど1歳になることですね。生まれてから4ヶ月くらい休暇をとっていましたが、そのくらいから子供を担いで出勤していたり、それから車で出勤したりしていました。残念ながら今は民間に移ってしまいました。この方、昼は霞ヶ関界隈ではなく、旦那の会社のある汐留界隈の保育園に預けていました。(ただ残念ながら最近、民間に転職してしまったのです)
ラッシュの改善、その通りだと思います。それと同時に、つまりインフラ改善と同時に、職場における仕事の仕方の問題、いろいろな勤務形態をうけいれる幅の問題もあると思います。上記の同僚は産休明け後、週3回はオフィス、週2回は自宅勤務でした(最近、総務省でようやく、自宅勤務する職員が出てくるという新聞記事を読みましたが)。
インターネット環境と携帯電話さえ確保されていれば、実は一箇所でじっとして仕事しなければならない、という事態は少しは解消されると思います。
投稿: koh | 2005年1月 5日 (水) 00時28分
こんにちは。
ハーデスさん、kohさんが書かれているように、少子化への対策として考えられなければいけない重要な要素に「大人の働き方」があると思います。
先月発行の日経ビジネスAssocie掲載のパク・ジョアン・スッチャさんのコラムにありましたが、出生率が上がっている欧米の国は、税制や補助金等の制度的支援ももちろんだけど、職場に拘束される時間を減らし、家庭で過ごせる時間を多く取れるようにしてきた国だということでした。
それと生産性をどこまで天秤にかけるか、それともコペルニクス的展開で新しい価値観を生み出すのか、そういった議論と実行を地道に行っていく(すでに行われているかもしれませんが伝わってこないのが残念です)ことが必要だと思います。
また、「社会で育てる(暮らす)」「オープンに育てる(暮らす)」ということが、虐待(幼児のみならず老人も)対策も含めてこれからますます重要になってくると感じています。
投稿: くりおね | 2005年1月 5日 (水) 10時43分
あの、もうなんか言いたいことはすべてくりおねさんが言ってくださっているので、もうなにも書くことはありません。くりおねさん、ありがとうございます。まあ、ただ一応ここの管理人として、コメントさせていただきます(笑)。
今回のコメントでのやりとり、あるいは関連する他の方の記事を読ませていただいて強く感じたのは、小子化というのは、今現在の日本さまざまな社会的な条件の結果であるということです。これを対象療法で世の女性達に「産め産め」言っても多分なんの解決にもならないだろうということです。失礼を省みず申し上げれば、女性がすっかりしらけてしまっているいまこの状態ではなにをやってもだめです。女性を含めて、国民全体で「やっぱ、ここでふんばらなきゃ!」と気概に燃えて社会全体の改革をはかれば、きっと結果的に少子化は防げるということでしょう。まだ、間に合うと信じています、いや、信じたいです。
と、いうことで次の記事のローマ帝国末期と現状の日本の比較へとつながせていただきます。
投稿: ひでき | 2005年1月 6日 (木) 12時41分
ぎょろぐさんの「少子化問題言論俯瞰」にHPOとあったので、あれひできさんは少子化など論じていたのかなと思いつつ、もう一度ここへ来てみました。
はっきりいって少子化という言葉を聞くと、むかつきます。1つ文章を書こうかどうか迷っています。できたらトラックバックしますけど、あくまでリンクのお知らせと思ってください。ひできさんに文句があるわけではないので。
投稿: quimito | 2005年1月15日 (土) 13時07分
quimitoさん、こんばんわ、
「文章」期待しています。
子どもは複数おりまして、なんとか義務ははたしつつあるのかなとか個人的には思っています。
知人には「人口が少なくなることは、広い家に住めるし、いいことばかりだ。」と断言しているのもいます。
なかなか微妙な問題ではありますが、自分の子どもたちの将来を考えると、育てやすい環境をととのえる努力をすることは自分の義務かなと思いました。
ああ、そうそう堺屋太一の著作を読んでいたら、「昔は、親の面倒をみる習慣があったので、子育ては相互的な交換だったが、いまは完全に親から子への贈与になってしまった。親にできるのは、子どもの世話にならないように貯金することだけだ。」という主旨の一文がありました。なんとなく納得できました。
投稿: ひでき | 2005年1月16日 (日) 22時12分
はじめまして。トラックバックしていただきありがとうございました。ここにはいろんな方のいろんな意見が飛びかっていて、いろんなリンクもあって、読みふけってしまいました。(日付を見るともう2ヶ月も前のようですが…)
時々また勉強しに来ます。
投稿: hataya | 2005年3月 7日 (月) 15時08分
hatayaさん、こんばんわ、
ぜひぜひまたお立ち寄りください。
いまはすこし社会ネタから遠のいておりますが、そのうち大きな放物線を描いてもどってくると思います(予定)。
なんというか少子化ネタはずっと気になっているテーマです。
http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/06/lose_dog_1.html
投稿: ひでき | 2005年3月 7日 (月) 18時48分
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投稿: 保険 女性 | 2007年11月 6日 (火) 19時03分