ロングテイルの指数 long tail and power low
浅倉さんからトラックバックをいただいたので、調子にのって記事にしてしまおう。
なんか最近ロングテイルということが言われている。すばらしいことだ。
・Long Tailとインターネットビジネスの基本則 by 渡辺聡さん
・ロングテール論について by 梅田望夫さん
先日のtalking nightでも、中川さんが発表されていたのは個人の側でのロングテイル論というべきものだった。
まず、この辺の記事を読んでいただいてから、以下の議論を追って行ってほしい。
梅田さんの記事から、積分を使った近似を議論されていた浅倉さんのブログにたどりついた。
思うにZipfの法則や、べき乗則を指数関数で近似できるとすれば、指数の大小によって80:20ということがたまたま成立したり、しなかったりするというだけのことにはならないだろうか?一応、エクセルのファイルを作って検証してみた。
・エクセルファイル (HPO)
100のアイテムを扱うと仮定してデータを作ってみた。枠線の指数のところの数字を変えて、20位のところの累計の比率の変化をたしかめてほしい。この条件のシュミレーションでは指数が-1.21を境に、それよりもちいさければ(-1.5とか、-2.0とか)、20:80とか、20:90とかになる。つまり、20位までの全体に占める類型の大きさ(売上げ)が全体の80%以上を占めることになる。これより大きければ、20:70とか、20:60といった具合になる。あ、足して100にしたければ好きな順位までランクを下にたどってみればいい。
このシュミレーションのアイテムは100で切ってしまったのでたまたま指数が-1.21が分水嶺になったが、実際にネットで展開しているアマゾンのようなビジネスにおいては、限りなく在庫のコストや少量の商品を売るコストが小さいので、もっともっとはるかに大きな在庫アイテム数を抱えることができる。従って、べき乗則が成り立つ商品の売り上げ構成であっても、かならずしも20:80といった特定の数字に収束するわけではないと考える。下位のアイテムが十分に大きな売上げと利益をあげるということは、べき乗則に矛盾しない。
やはり、梅田さんが指摘されているように、ネットビジネスの最も有利なポイントは在庫と販売のコスト(多分変動費)の問題であると感じる。
■参照リンク
・Long Tail vs. Lessig @ The Long Tail
・マスが全てだった時代から、ニッチが普通になる時代へ(前編) by ckさん
・マスが全てだった時代から、ニッチが普通になる時代へ(後編) by ckさん
・long tail and power-law degree (HPO)
・http://www.longtail.co.jp/ そっか!アリスだったんだ!
「南平台で働く社長のblog」で取り上げていただいたので、うれしくなってグラフを追加してしまう。
もちろんスモールワードそれぞれからの来訪者は少ないので、キーワード毎の来訪者数をグラフ化してみるとたぶんこんな感じになるんだと思う。
あ、キーワード毎でしたね。あははは。自分のブログの記事毎のアクセス数を「sidebar.jp」のデータを使って上位20位をグラフにしてしまった。
トップページが抜き出すぎている。近似式「y = 1622.3x^-0.7229」でR^2が「0.811」にしかならない。このデータは省いた。
すると、近似式が「y=662.85x^-0.3692」で、R^2が「0.9187」となりまあまあの近似値になる。指数からいうと、かなりゆるやかなべき乗のグラフになるようだ。この先の記事のアクセス数がわからないが、たぶんかなーりゆるやかなロングテール状況なのだろう。finalventさんの分析でないが「マターリ板」に近いのだろうと想像する。
■追記 同日 19:35
usamiさんからコメントとトラックバックをいただいて、完璧に木に登ったブタ状態になっている...恥ずかしながら、自分のブログの過去一ヶ月のキーワードのグラフを作ってしまった。
近似式が「y = 187.47x^-0.6629」で、R^2が「0.9873」なのでさっきの記事毎のグラフよりも確信犯的にべき乗則しているといえる。サンプル数が138とさっきの20に比べて大きいので、検定こそしないが十分に近似しているといえよう。この138とは、全部で2,632のアクセス解析の対象とされたキーワードのうち上位5,24%にあたる。定位された値があるわけではないが、ここまででアクセス43.10%に相当するというのはやはりべき乗的である。そうはいっても、指数が-1.2よりははるかに小さいので、ロングテール的かな、と。
他の方の同様な分析を見たいという気がする。
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コメント
Long Tail論vs.Lessigの参照リンク、読みました。この話はまた違っていて、long=時間経過というとらえ方をしていること。正規分布の右端/左端に(分布として!)長く伸びている、という話とはかなりずれていました。「時間的に長く尾をひく」というとらえ方は、本来のLong Tailコンセプトとは違うような気がしたのですが。
でも、このLongTailという話が同時多発的に一気に進んで、議論の進展が早くなるのは、blogならではの面白さだなと思います。従来のマスメディア速度だと、ここまで専門的な話題になると、月刊誌での有名評論家同士のやりとり、みたいな速度でしか議論が進みませんから。しかも、blogだと世界規模で進んでいる感じ。
投稿: miyakoda | 2005年3月23日 (水) 08時19分
あちこちをみていたら、ひできさんが参照であげていたlong Tail blogの方がこのコンセプトをいい始めた人…ってことのようで。ご本人は、Long Tailについて、「時間的に尾のように長く続く」(Lessig論)とか、「正規分布の左右端の長い部分(google論)」とか、かなりいいかげんにことばを使っている人、みたいな(苦笑。
投稿: miyakoda | 2005年3月23日 (水) 08時36分
この記事をはじめとしてHPO:ひでき様の主だったブログ記事をウェブログ図書館( http://library.jienology.com/ )に登録させていただきました。
投稿: ウェブログ図書館 館長 | 2005年3月24日 (木) 08時20分
miyakodaさん、こんばんわ、
なんかLessigさんとロングテイルを比べているのでついついリンクしてしまいました。この記事を英訳して再度トラックバックしようと思っています。
この方の言葉については...同感です。
投稿: ひでき | 2005年3月24日 (木) 19時56分
館長さん、こんばんわ、
とても光栄なことです。ありがとうございます。いつも館長様のご努力に敬服しております。
投稿: ひでき | 2005年3月24日 (木) 20時03分
すごいです。早速グラフ化してしまうとは。。。
感覚値を形式知に変えて頂いて更に納得しました。ありがとうございます。
投稿: usami | 2005年5月 6日 (金) 18時53分
usamiさん、こんばんわ、
いえ、文書を取り違えていました。「キーワード」でやらないと意味なかったですね。今度やってみます。
投稿: ひでき | 2005年5月 6日 (金) 19時21分
すごすぎです。まるで掲示板でリアルタイムにやってもらっているみたい(笑)。
見事にロングテールになりましたね!
投稿: usami | 2005年5月 6日 (金) 20時04分
usamiさん、どうも!
ほんとうにそうですね。かなりこれはよい感じでロングテールしますよ。なんというか、キーワードをブログに並べて維持しておくということにはコストがかかっていませんからね。
いやぁ、ほんとうに他の方のブログでもこうなっているかどうかを見たいですぅ(笑)。
でも、考えてみればこういう形でならべるとそのブログを特徴づけるキーワードのなかでハブのようになっているものがあるということかもしれません。いま気づいたのですが、これらのキーワードでいくつ同じ記事で使われているかをリンクと考えてネットワークを想定すると、これまらべき乗的になりキーワードの中でもハブに想定するものが抽出できるかもしれません。
投稿: ひでき | 2005年5月 6日 (金) 20時21分