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2005年5月25日 (水)

相互作用:シグナル、チューリング波、カスケード

ここのところ、ブログ界隈にあって非常に刺激的な邂逅を連続して経験した。

「お金であること」を保証するもの(後編) by 馬車馬さん

ネットワーク分析@朝から勉強中 @ FIFTH EDITION

ブログの終わりじゃなくて、アルファブロガーの終わりでしょ(笑) by catfrogさん 

できる限り順番に自分が理解しえた、明確にし得たと感じることを書きたい。ちょっと大くくりすぎるのだが、「相互作用」がキーワードだと感じている。

まずは、先日の馬車馬さんの認知通貨についてコメントだ。ここで、認知通貨がシグナルに過ぎないという指摘をいただいた。シグナルという言葉は、「SYNC」などでとりあげられていた同期現象と深く結びついた概念だと思う。

馬車馬さんは、見事にノードとノードのやりとりの過程における「効用」の授受と「シグナル」という概念を分けてくださった。多分経済的な効用の伴わない、かつ、限定された範囲のシグナルのやりとりだけでは、同期現象の制御が難しい。私の「蛍の光」シュミレーションのように、現実の世界でもシグナルのやりとりだけでは、きっと創発的な現象はうまれにくい。どうしても、「蛍」の集合内のノード全体に伝わるシグナルが必要なようだ。 いや、もっといえばどうも同期現象や、多分創発現象では、シグナルの届く範囲というのが非常に重要らしい。この辺がブログやSNSのネットワークにおける情報伝達が及ぼす影響と、メディアの及ぼす影響の差らしいと、あまりに常識的なことだがシュミレーションまで作ってみて、やっと実感した。ただいま、ActiveBasicからPythonに乗り換えるお勉強中。

一方、「SYNC」のBZスープの交互に現れる色の「波」や、分子生物学で検証のトライアルが行われている「遺伝子の発現→化学物質的環境の生成→次の遺伝子の発現」のような、相互作用的なサイクルにおいては、「経済的効用」ではないが、なんらかのポテンシャルな実質的な値のやりとりが確かに存在するように感じる。

分子発生学はネットワークの夢を見るか? (HPO)

もしかすると、ほんとうに経済学の問題とする「与える側の負担」があるかないか、実質的な価値(なりポテンシャル)の交換、贈与がとてもモデル形成において大事なのかもしれない。

一応、自分のシュミレーションでも、「自分の値を減らして、人に与える」ということと、この「効用」の交換というプロセスに多少のインフレーションを仮定してやると、見事な山ができた。創発的な現象といってもいいのかもしれない。

インフレーションの形 (HPO)

そして、この視点に立ったとき、チューリング波がそうであるように、カスケード現象こそ「相互作用」の結果として生じる「波」であるような気がしてならない。

もし、この予測が正しいと仮定すれば、サイバーカスケードは、雪崩というよりも津波に近い過程、内部構造によって生じるということになるのではないだろうか?電磁波について物理の時間に習ってから、私は「波」というのは必ず相互作用によって伝播しくいくものだと信じている。電波とは、連続する電気の振動と時期の振動の相互作用なのだ。

本当に光は波の仲間なの? @ 財団法人 光産業技術振興協会

この電波のアナロジーでいば、サイバーカスケードにおいては、ネットワークにおけるリンクという伝播経路(トポロジー)と、リアルにおけるシグナルのもたらすインパクトがあって、それぞれの「振動」が起り、それらの相互作用があるのではないかと感じている。まだ、この構造がよくわかっていない...

ここで、ちょっと視線を話すと、サイバーカスケードや同期現象が起る、集合全体が目に入ってくる。「山」も「波」も、最終的には集合のうちにいくつノードが存在するかということで、その「高さ」の限界が決まってくる。つまりは、catfrogさんの「Dog eat dog.」の言葉につながる。つまり、このような資本主義的創発現象がかりに起って、べき乗則的な集中が生じたとしても、そこでは食い合いのプロセスが常に働いて、かつ裾野の広さが山の高さを決めるということだ。ついでに、「負け犬」という概念まで明確にしてくださった。

「負け犬の遠吠え」 (HPO)

また、例のインフレ・シュミレーションでも、常に食い合いのプロセスが進行しながら、ひとつの安定した形を生み出していることをわすれてはならない。この辺は、ナウシカ関連で書いたこととつながるかもしれない...と、想ったらなんと食い合いについて書いたのは、複雑ネットワークやべき乗に合うはるか前だ!びっくり!!!

距離、時間、そして統治と戦争 (HPO)

ここで、注目すべきなのは、最近の科学的知見によると、ミトコンドリア、染色体を持つ核、細胞質などは、もともと別の生物であったらしい。それが、ごく近くに存在するうちに食べあったり、ライバルであったりするより、一緒になったほうが得だと気付いた(進化した)細胞が生まれたのだという。食い合いから、共存への進化がうまれた。これはとても重要だと思う。いくら顕微鏡的な近さであってもあるていど離れた距離で存在しているときは、食べる=食べられる、死ぬ・排出する=取り込まれる、といったどちらかというと対抗的な関係から、個体と個体の距離が近づくことは同化することに変化した、と想像する。

うーん、自分で読んでて懐かしい...やっぱり、私の思考はどうもここへ戻っていってしまう。

平成17年5月26日 あまりにも誤字脱字、スパゲッティーな思考がもろに出ていたので、少々書き直す。あまり、結果的に変化なさそうだが...

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コメント

せっかくTBを頂いていたのにコメントが遅れてすみません。

私の理解を大きく超えるところが多いコンセプトですので、まともなコメントは出来そうにありませんが、本来、2つの個体(agent, player)の間でなんらかの活動が起こるならば、それはかならず相互作用をもたらすものでないといけないのだと思います。そうでなければ、相手がなんらかのアプローチを示しても「無視する」という選択肢が存在し、この場合は何も起こらないことになりますから。うーん、やっぱり的外れなコメントのような。

投稿: 馬車馬 | 2005年6月10日 (金) 11時42分

馬車馬さん、こんにちわ、

ありがとうございます。とても、ポイントをついていただきました。

先日、多少興味の対象が似ている同じ年の独立系研究者の方とお話したのですが、私たちが大学生の時代は「相互作用」が出てきたとたんに「分析不能」とほぼ同義になってしまっていたね、ということで共通しました。当時、コンピューターが出始めたとは言えモデルといえるのは線型方程式くらいしか、生物学とか心理学の分野では表現する方法がなかったのですね。あとは、統計学ですか。いずれも、相互作用をきちんとモデル化するための技法ではないので、言葉の表現として相互作用ということはいえましたが、ではそれはどういう作用なのか、どこのポイントが「相互的」なのかを分析することが非常に難しいように思ったのを覚えています。(まあ、本家の数学、物理学では、すでに80年代までにはこの辺の問題は解決していたようですが、周辺にまではまだ来ていなかったということです)

この意味で計算理論といわれる分野が発達してきて、数式よりもコンピューターにモデルを求めるようにシフトしてきて、現在に至るように感じています。いわば、数式からシュミレーションプログラムにモデル構築が移ってきているのではないか、と。まあ、私はアカデミックな人ではないので、現在の学会等がどうなっているかはわかりませんが、ここのところブログで書いている範囲で論文などを読んでいると、やはり非線形(=相互作用)の世界なのかな、と感じています。

モデルの構築と科学的なものの見方についていつか書きたいと思っていました。

投稿: ひでき | 2005年6月11日 (土) 12時30分

こんにちは。

いま、チューリング波で検索してたら、な、なんと、ひできさんのページに遭遇。記念にカキコ。いやー、自然界は不思議というか、秩序正しいというか、美しい!

投稿: it1127 | 2006年12月28日 (木) 01時44分

it1127さん、おはようございます、

いやぁ、懐かしいですね。この記事の中でも懐かしいと書いてますが、そこから今日まで本当にあっというまであり、かつ長い年月のように感じます。

投稿: ひでき | 2006年12月28日 (木) 08時16分

ひできさん

>食い合いから、共存への進化がうまれた。これはとても重要だと思う。

同感です!最近、ミトコンドリアの由来を知る機会があって考えさせられました。

内田樹さんのブログからですが、

・『生きる力、死ぬ能力』(弘文堂)
http://blog.tatsuru.com/archives/001954.php

とりわけ面白かったのは古細菌と真正細菌の話。
真正細菌はコレラ菌とか大腸菌で古細菌とは別のグループ。
その古細菌の中にどこかで真正細菌が入ってきた。

「もしかすると古細菌が食べようとしたのかもしれません。しかし、食べようとして中に取り込んだのだけれど、うまく消化しきれずに中に入ったやつはずっと生きていた。入ってきた方もホストを食い尽くしたりしないで、お互いにパラサイト、ホストの関係のようになって共生をはじめて、お互いに自分たちの機能を補填しあいながら、新しいシステムを作ったわけです。それが、言ってみると我々の細胞なのです。これはアクシデントの結果、進化したのです。突然変異と自然選択で進化したということとは全然違います。」(161頁)

真正細菌でいちばん有名なのはミトコンドリア。
これは生物の呼吸を司っているから、ミトコンドリアがいなければ、生物は存在しない。

それから葉緑体。これは植物にしかないけれど、葉緑体がなければ植物がない。植物はすべての生物の餌だから、これがなければ生物は存在しない。

つまり、生物の起源は「異物を食べたけど消化できなかった」というアクシデントだったらしい。

共生説を最初に発表したのはマーギュリスというアメリカの女性生物学者だが、彼女はなんとジャーナルに15回掲載を拒否されたそうである。

いまはいろいろな証拠が出てきて、マーギュリスの共生説が定説になりつつあるらしい。

投稿: it1127 | 2006年12月28日 (木) 23時04分

it1127さん、おはようございます、

なんかの本にそもそも単細胞生物から多細胞生物へ「進化」し、多様化が一気に進んだのは、多細胞生物の捕食生物ができたからだ、とありました。そして捕食生物が誕生できたのは外部の情報をより遠くまで取り込める「目」の進化があったからだと。

なかなか示唆に富む話だと思います。

投稿: ひでき | 2006年12月29日 (金) 08時48分

ひできさん、おはようございます。

なるほど、そうかもしれませんね。「眼の誕生」って本かな?

あと、「目」で思い出したのですが、私が今読んでる本「選択なき進化」で、「目」の起源は、光と相互作用(光合成)するようになった葉緑体の先祖にある、とあったのですが、なるほどと思いました。

見るという機能は、光との相互作用のひとつの在り方なのだな、と思いました。光の利用の仕方の違いが、動物と植物の分水嶺だったとも読めます。

投稿: it1127 | 2006年12月29日 (金) 11時54分

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