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2005年5月27日 (金)

[書評]ASTERIA実践ガイド


・「ASTERIA実践ガイド」 by 東海林 賢史さん、中川 智史さん、江島 健太郎さん

[A面]ハブとしてのASTERIA

インフォテリアの平野社長から本書をいただいた。とても光栄なことだ。最近、結構ブログ界隈の方から、いろいろなお誘いや仕事からみの依頼をいただいたりする。本当にリアルとブログ界隈がかぶっているというか、相互作用している。純粋にうれしい。

ともあれ、これはきっと自動車が現在の交通システムのハブであるように、ASTERIAはさまざまなソフト環境のハブを目指したものなのだと実感した。

バラバシの「新ネットワーク思考」によれば生化学の分野でさまざまな種類のたんぱく質があるのだそうだ。この中で多くの種類のたんぱく質と化合することができて、生化学的にほかの種類をつなぐハブとして機能を果たしてたんぱく質があるという。

新ネットワーク思考 by バラバシ

たとえば、電車や、飛行機や、船などさまざまな手段が、現在の交通体系の中にある中で、すべてをつないでいるのはトラックなり、乗用車なりの自動車だ。このことは、ハブをとりさるとネットがばらばらになってしまうように、現代の生活において自動車がなくなってしまったことを想像してみれば、いかに生活がばらばらになってしまうかがわかるだろう。

本書を読ませていただいて、データを流れとしてとらえれば、確かにメールであろうと、XMLであろうと、さまざまなデータベースであろうと、プログラムを書かないでも加工することは十分に可能なのだと実感した。要はリンクの問題なのだ。この場合は、さまざまな構造体を持つデータをリンクとし、メールソフトや、データベースマネジメントシステム、表計算、などのソフトウェアをノードと考えるべきだ。この前、「ニューロマンサー」を読んだばかりなので、データの流れがほんとうに目に見えたら楽しいかなとか、思いながら読了させていただいた。

ニューロマンサー by ウィリアム ギブスン

[B面]4GLとASTERIA

5、6年前からだろうか、リアルである長いお付き合いをさせていただいているK先生と、なんどかこういう会話を交わしていた。ちなみに、この方は私よりかなり年上だ。

「いやぁね、ひでき君、とにかくプログラムいらないんだよ。記号を並べていくだけで、データが加工できちゃうんだ。データもね、どんな形だっていいんだってさ。そりゃ、多少の業務分析は必要だけどね。全部自分でできちゃうじゃない。これからプログラマーいらなくなっちゃうくらいすごいよ。データも線でつなぐだけ、定義するだけでコンピューターが適当にやってくれるんだ。いや、いまはほんと秘密なんだけど、かなり開発がすすんでるんだよ。あなたのところで、テストしてみない?」

「いやぁ、とても興味があります!」

と、言ってにっこりしながら、内心こう思っていた。

そんな、理想的なソフトがあるわけない。

私には、以前プログラムレス・プログラム、第四世代言語というのに、いやというほどかかわった時期があった。もう15年も前のことだ。当時、私は総務系の部署で知る人ぞ知る「mapper」というソフトを使っていた。大量のデータを、定型的に処理しなければならない部署だったため、毎夜毎夜かなりの時間を「第四世代言語」、「プログラムレスプログラム」と呼ばれる、いまは吸収されてしまった会社の端末の前ですごしていた。当時は当然CUI(キャラクターユーザインターフェース)しかない。なにができるか画面にぜんぜんでてこないので、コマンドもいちいと覚えないと使えない。プログラムレスといいながら、かなりわかりにくいスクリプトを書かないと、肝心なところで処理出来ない。この辺にうんざりして、あるマック・エバンジェリストな課長と共謀して、GUIベースのマッキントッシュ上の4thDimensionというソフトに乗り換えてしまった。

なんていってもマックだし、GUIだし、オブジェクトだし、なかなかのりのよい環境だった。かなり夢中になって、当時はやりかけていた部門コンピューティング(え、死語?)を実現させた。さすがにコードの難しい部分半分はプロにお願いしてしまったが、日常で変化せざるを得ない部分は自分でコーディングした。楽しくも、エキサイティングな体験だった。それでも、コードが必要だという部分がネックだった。mapperよりも一歩後退したといっていい。事実、私が退職してしまってからは、外部の専門家を使わざるを得なかったらしい。

その時の体験から言えば、ASTERIAがこの実践ガイドに書いてあると通りのソフトだとしたら、部門コンピューティングが必要な、あるいはミドルウェアが必要な分野において、非常に威力を発揮するのだろう。ASTERIAがあれば、当時やろうとしていたことのほとんどは、「渋谷単身赴任」といわれるほど、端末の前で、マッキントッシュの前で、残業しなくてもソリューションできてしまっただろう。なによりも、4thDimensionのときには失敗してしまった、次の担当者への引き継ぎも十分にできだだろう。

このソフトの持つ、データの流れのすぐれた抽象化は、非常に理解しやすいと想われる。また、プログラム自体をフロー図として理解できる。たぶん、あとはデータベース側のE-R図が理解できれば、問題はないだろう。

正直、まだ本書をぱらぱらと読んだだけに過ぎない。まだソフトとして使ったわけではない。しかし、自分にとってとてもデジャヴュというか、ああ、こういうのがあったらいいだろうな、と15年以上前に「こうであれば理想だな」と感じていた姿がここにあるように感じる。

と、ここまで書いてみて、まさかくだんのK先生は、インフォテリアと関係がって、K先生が話していたソフトって、ASTERIAのことなんだろうか?という疑惑でいっぱいになってしまった。まさか、そこまで世界は狭くないよねぇ。あとで、K先生に電話して聞いてみよっと!

■追記 平成17年5月30日

K先生にお電話してみたところ、違うソフトのパッケージで、機能も大分違うようです。やっぱり、「そこまで世界はせまくない」ようです(笑)。

■参照リンク
ASTERIAの本が完成した! by pinaさん
『ASTERIA実践ガイド』の発刊にあたって by 江島 健太郎さん

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コメント

ひできさん、
評価いただいて、ありがとうございました。
特に4GLとの対比は面白く読ませていただきました。目指すところは同じというか、過去から現在にいたるまで、イノベーションの方向性は微塵も揺らいでいないということなのだなと改めて思いました。
ところで、誰も気づいてくれないのですが、実は表紙の絵は緑色の「ハブ」のつもりです。。。(笑)

投稿: kenn | 2005年5月30日 (月) 15時47分

江島さん、おはようございます、

コメントありがとうございます。いや、ほんとうにその軸をぶらさないことがとても大事ですよね。やはり、今後とても重要な位置を占めるパッケージだと想いました。

ちなみに、表紙ですが、私は気がつきましたよ。中身全然読まずに表紙だけみてPinaさんにメール送ったのですが、その中で触れてますから、「このソフトはハブですね」、って(笑)。

ああ、でも緑色というのは見落としてました。Pinaさんのカラーですよね。

投稿: ひでき | 2005年5月31日 (火) 09時42分

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