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2005年8月 3日 (水)

べき乗則とネット信頼通貨を語る夕べ ~生き物を語る~ Axis Mundi

今回は、生き物について特集だった。なんというか、いまさらながらkinoさんがすでに予告してくださっていたにもかかわらずべき乗則と生物世界との関連がよく理解できていなかった。前回のタダシさんのお話を聞いてシグモイドとか、生物の進化や絶滅、あるいは種の分け方とべき乗則が関係があることをおぼろげに理解した。ちょうど、ある方のおかげで生物関連の方々の知己を得ることもできたので、やってしまおう!と想い、企画させていただいた。ありがとうございます。

■「15分で読む通貨の複雑性」 by ひでき

タダシさんが遅刻のため、前座をつとめさせていただいた。ブログで書いた安冨さんの「貨幣の複雑性」の内容をもうすこしわかりやすく説明する...はずだったのだが、逆にかなりわかりにくいプレゼンになってしまた。しかも、プレゼンの途中で某さんがお見えになり、緊張してしまい、最後はしどろもどろだった。

・15分で読む通貨の複雑性 PowerPointスライド版 、 PDF版

一応、ブログの記事では明確にできなかった貨幣の生成と消滅シミュレーションとLVモデルとが両方ともネットワーク構造を前提にしていることを説明したかった。

■微生物のゲノム解析 ~遺伝子はいくつあるのか~ by ひらりんさん

おもしろかった!私は、そもそもゲノムの定義すらよく分かっていなかったので、現在の分子生物学やゲノムの研究が種の認定をゆるがすところまで進んでいるとか、「マッハの原理」として思えないんだけど、ゲノムの機能がネットワークにより定義されるとか、今まで考えていた生物学のイメージをかなり内容をかなり革新するプレゼンをやってくださった。すばらしい配布資料をご用意くださったことも本当に感謝、感謝だ。公開していただけないですかねぇ?(笑)

それにしても、「Gene Trek」は、スタートレックの「創造者」であるジーン・ロッデンベリのもじりだと想う。

[参照リンク]
遺伝学電子博物館 「中立説」の解説は必見!

■「エージェントシミュレータを使用した自己創発パタンとベキ乗分布」  by タダシさん

前回お話いただいた生物種の進化シミュレーションについてお話いただいた。私が不正確なことをいうよりも論文がネット上で公開されている。単純なルールに基づく生物種のシミュレーションがこのように多様性を見せ、本当にあたかも生物のような動きをするということに感銘をうけた。

http://www2.kke.co.jp/mas/MASCommunity_output.html

ひとことだけコメントさせていただければ、この2次元に広がる生物種の様子というのは、きっと三次元の系統樹を輪切りにして時系列の下から見ていっているような状態なのだと思う。ああ、もうひとつだけいってしまえば、しばらく安定した時期が続いたあとに2つ、3つと群が分かれていくのは、内部状態の変化の蓄積というか、生物学の中立説みたいな感じなのかなと後で思った。

それにしても、このタダシさんのシミュレーションと前述の「貨幣の複雑性」あるはkinoさんの書かれた「物理界隈」の話の内容をあわせて考えると、すさまじく射程の長い思考が見えてくるように思うのは私だけだろうか?例えば、kinoさんがおっしゃる臨界点近くでの「universalな量はモデルの詳細によらない」ということからいえば、ネットワークを元とする一連のシミュレーションからべき乗則がうまれ、その指数に普遍性があるとすれば、経済学、物理学、生物学で違う現象を扱いながらも仕組みとしてはかなり近いモデルが形成可能だということなのだろうか?タダシさんのモデルから離れる話かもしれないが、物事というのは時計のふりこにしろ、砂山にしろすべからく平衡状態におちこむこのだが、生成と消滅繰り返すこうしたいくつかの現象においては臨界点近くにいながらも常に平衡状態を崩す力が働いているダイナミクスがあるということなのか?

どうしても興味がつきない。どうか私が感じていることが蔵本先生のおっしゃるような「述語的統一」の科学という考え方からはみだしていないことを祈る。

[参考リンク]
シグモイド、べき分布、そして複雑ネットワークとしての生態学 (HPO)

■気がつくと

最初の「語る夕べ」を企画させていただいてから、おかげさまで早1年になる。毎回毎回、本当に多くのすばらしい方々にご参加いただき、実に充実した「語る夕べ」となった。これは本当に自分の力では全くないなと感じている。ありがとうございます

一番最初の「語る夕べ」の報告に、以下のように書いた。

実は「べき乗則」と「ネット信頼通貨」をいっしょに論じようとしたのは、私の直観だったのだが、これら2つの話しは究極根っこはいっしょかもしれなないと今感じている。つまりは、「ノードとノードのリンクは均質ではない。多くの別のノードからリンクされていればいるほど、そのノードからのリンクの重みがある。」というPageRankの評価の仕方は自然であるだけでなく、貨幣や社会の本来のあり方までも取り込んでいるのかもしれないという気がしてきた。いや、これはまた別の記事に書くべきことだ。

さすがにブログを1年以上続けさせていただくと知識は大分増えた。考え方も大分変わった気がする。それでも、最初の直観というのは大事なのだなと改めて感じる。物理学でも、生物学でも、経済学でも「根っこ」にあるのは、どうも「ネットワーク」という考え方のように思う。そして、例えば経済学分野で「人が欲しがるものを人は欲しがる」といったごく単純な法則から通貨が産まれ、べき乗分布が観察されるということは、実に世界の本質があらわれているのかもしれないといま思う。

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コメント

幅広いテーマをベキ則という観点から眺めてらっしゃるのですね。興味深そうです。
それにしても、こういう発表の場を開かれる行動力にビックリです。

僕はしばらくはコツコツ研究してくので、まとまったら発表させてください(半年後くらい?)。

投稿: kino | 2005年8月 4日 (木) 22時19分

kinoさん、おはようございます、

遠いところまでお越しいただき(笑)、コメントをいただきありがとうございます。

本文中にも触れましたが、kinoさんが以前ゲストブログしてくださった内容がロードマップといいますが、道筋を示してくださっていたことを最近ようやく理解しつつあります。ほんとうにありがとうございます。

最初は、ブログ界隈のつながり方などから始まったベキ則の「お勉強」ですが、次第に生物の進化や絶滅に近づきつつあることが自分自身で驚きです。

ぜひ今後ともよろしくご指導ください。

投稿: ひでき | 2005年8月 5日 (金) 09時20分

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