« 女が男を選ぶとき Up side down, you've turned me! | トップページ | [書評]孫子とビジネス戦略 Suntzu Strategies for the Business War »

2005年10月12日 (水)

中国見聞録 the millionaires

先日、中国へ行ってきた。なぜかそれ以来中国、アジア関係と縁が広がっている。何冊かの中国関係の本が手に入って読み始めたり、中国古典の碩学の方をお招きして勉強会したりと、続いている。ここのところ縁遠く感じていたのに、不思議なことだ。

中国本土を訪ねて結構驚いたのは、禅寺が立派に存在していることだった。数年前に宗教に関する法律が変わったらしい。ご案内いただいた方の話でも、中国共産党員でなければなにを信じてもいいのだそうだ。私は、どうしても「宗教はアヘンだ」といっていたのではないか、と違和感がぬぐえないのだが、WTO加盟以来人権問題は開放路線にむかわざるを得ない状況らしい。

国務院、「宗教問題条例」を公布 @ 北京週報

お寺を訪ねる前に配られたパンフレットによると80mの大仏があるとか、かなり派手なイベントがあるとか書いてあった。やはり、信教の自由が保証されている証としてお寺が存在しているということを大々的にアピールしながらも、観光にまで使ってしまっているのではないかと、さすが商の民、中国人だ、と妙に関心しながらバスにゆられて行った。実際に、境内にはいってみてかなりびっくりしたのだが、どうも全国各地からバスをしたててかなりの人数の中国人が参拝にきているようなのだ。手をあわせたり、なんの影響かしらないが手を天に向かって広げたりと、噴水の水をペットボトルに入れたり、本当に宗教としてここに仏教があるのだなぁ、と感じた。あれは道元だっただろうか、つちくれでつくったものであっても仏像は仏像だといっていたのは。聞けば数十億におよび浄財が仏教の後援組織から集められ、お寺の本堂を除く諸施設が建てられたのだという。

確かに、相当仏教に明るい方が計画、設計されたことは間違いないのだろう。たとえば、メインの蓮の花から仏陀が出てくる噴水も、全体の配置としては曼荼羅を思わせる要素があった。蓮の花を支えているのは明らかに多聞天などの四天王のように見えたし、噴水は丸く、周囲の石造りのエリアは四角くなっているのも、素人のあて推量にすぎないが、胎蔵界曼荼羅を思い出させた。丸い噴水の中には、敦煌を思わせる天女たちの像と、蓮の花から出てきた仏陀に水を吹きかける竜が9匹いる。私が現地で聞いた話では、9匹の竜というのは、中国を象徴するシンボルなのだそうだ。9匹の竜が、仏陀に水をかけるというのは、非常に象徴的なことだと想う。とり方によっては、中国という国が全体で仏教を再度認めたという解釈が可能だと想った。中国は真剣に宗教を認めているのだろうか?

噴水や大仏は、この数年で立てられたものだそうだが、この寺自体はずっと歴史が古く1941年に建立されたという。数々の戦乱や革命を経ても、中国で仏教が全く廃れてしまったということではないということは私にとって発見だった。壁に「諸悪莫作 衆善奉行」と書いてあったりして、中国にもきちんとまじめな僧侶がいるのだなと想った。

あとは、観光客よろしくちゃんと大仏の足元まで登った。そこから寺の全体を配置をみると、北鎌倉の寺を思わせるような一直線の配置になっている。あ、でもちゃんと商の民!大仏から降りる経路は、きちんと売店になっていてさまざまな仏具や、お経のDVD、水晶のお数珠などを売っていた。逆にこれを見て安心した。

写真の移りが悪いことを言い訳しておけば、観光以外に特殊な目的のある出張であったのであえてデジカメなどもたずに出かけていったので、すべて借りた携帯でとったものだ。しかも、借りていった携帯では画像を持ち帰れないと思い込んでいたのだが、途中でSDメモリーが装着できることを発見して、たまたまもっていたメディアにコピーして持って帰ってきた。ま、そんなわけで画素数、明度もひくい。

この寺のほかに、いろいろと見せてもらった。北京のオリンピック関連の都市計画の模型もみた。5,6年前に行ったときには建設中であった同じく北京のショッピングセンターが立派にオープンしていた。あるいは、別の都市でヤオハンが元気に看板をだしていたりした。そうそう、某中国企業のヨーロッパの街角のような本社工場も見学させていただいた。「世界一の村」と中国国内で言われている村も見せてもらった。某日本企業の、その企業としては最大の雇用のある工場も見せてもらった。見学させていただいた工場のどれもこれも、5Sだの、QCなどを含む経営手法をきちんと使いこなしているように見えた。また、どうも未来に希望を持っていないのではないかと感じていたこれまでの中国訪問とは違い、企業のあるいは一般の人々の表情を見ると実に明るく、未来への夢をもっているように見えた。外から見て単に量的にお金をつぎ込んだだけではないか、と正直感じていた中国経済が一定の臨界点を超えて質的な変化にまだ到達しているのでないかと感じざるを得なかった。

今回の出張は、あまりに刺激が強くて知恵熱を出して数日日常業務に復旧できなかったというおまけがついたが、有意義なものだったと感じている。「特殊な目的」のために実はネットの関連の方の力を大いにお借りした。お陰で無事目的を達成できたものと信じている。いくら感謝しても、感謝したりないと感じている。本当にありがとうございました。もしこの記事を書くことで、お世話になった方に万分の一でも資するところがあれば、望外の喜びだ。

■参照リンク

北京の夢  by gyou-syun-uさん

|

« 女が男を選ぶとき Up side down, you've turned me! | トップページ | [書評]孫子とビジネス戦略 Suntzu Strategies for the Business War »

コメント

個人的な素人解釈ですが、伝統的な宗教を「保護」することによりカルトに人が流れるのを防ぐという目的も果たすのではないかと思います。

またそれ以前に、香港や台湾、シンガポールなどでもお寺参りが盛んで賑わっていますから、民間信仰?って言うんですか、そういうのは本来根強いと思いますよ。

投稿: juno | 2005年10月12日 (水) 18時53分

junoさん、こんばんは。お返事が遅れたことをお許しください。たしかにあの両手を天に広げた形はどこかのカルトの影響ではないかなと思わすものがありました。以前学生のころ、井門先生の授業を受けさせていただきました。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000260855/

実はこのURLの本自体は読んだことはないのですが、宗教社会学の授業で、機能から見た宗教を「to conserve, to challnege」とおっしゃっていました。「社会体制を守る」機能と「社会を改革する」機能ということでしょうか?そして、その本源は「paramount reality(至高の実在)」であると、人の世の外にあって、人に実在性をあたえるものなのだとおっしゃっていらっしゃいました。ああ、こう書くだけでとてもなつかしい感じがするのですが、ことほど宗教というのは飼いならせそうにみえて、その本質に俗世を根底から変革してしまうほどの力を秘めているのだと私は思います。だから、中国の政府が宗教をどのようにとらえ、どのような形なら「飼い慣らせる」と思っているのかに非常に興味を持ちます。宗教とは少なくとも「唯物論」の論理的な延長とは正反対のものがあるにもかかわらず、です。

投稿: ひでき | 2005年10月16日 (日) 22時18分

HPO殿。TBと参照リンクありがとうございます!
中国見聞録拝見させて頂きました。
一党独裁体制の中国も、自由経済を取り入れなくては国の
未来がなく、かと言って信教を完全自由化すると共産党は崩壊。
人畜無害な民間信仰は別としても、普遍的な中国哲学は
現在の体制では形骸化してる感がします。
人権政策に一筋の光が見えた時こそ、本来の中国のキャパが
見えて来るのではないだろうかと思います。


投稿: ハーロック(gyou-syun-u) | 2005年11月12日 (土) 23時38分

ハーロックさん、はじめまして、おはようございます、

記事を読ませていただき、とても勉強になりました。

今日、たまたま中国から来られた方々と交流する会へ参加してきます。

投稿: ひでき | 2005年11月13日 (日) 08時04分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 中国見聞録 the millionaires:

» 台湾紀行-IT産業 (続) [流転: Return to Forever]
(前より続く) 台湾のR/D(研究・開発)の発祥となったのは,歴史的に見てパソコンでしょう。低コストでの生産でマザーボードというパソコンの心臓部となる基板の世界生産第一位を獲得しました。それは欧米のパソコンメーカーからの生産受託という形態でした。当初その基板に搭載...... [続きを読む]

受信: 2005年10月13日 (木) 00時23分

« 女が男を選ぶとき Up side down, you've turned me! | トップページ | [書評]孫子とビジネス戦略 Suntzu Strategies for the Business War »