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2005年12月 6日 (火)

構造計算偽造事件ファンドは不可能なのだろうか? Re-Construction

本日、政府の対策が出たそうだ。

強度偽装マンション、自治体が買い取り…政府が支援策  @ Yahooニュース

現実に追越されてしまったが、以下、数日前に思考実験をしてみたものをあえてここに置きたい。これは、私にとってブログとリアルが限りなく接近していることが切実になった事件だ。いや、まだこれからが本当の解決であり、行動なのであろう。


被害者の方からの顰蹙を買うのは承知で、思考実験してみたい。頭から離れない。

ファイナンスした人が責任取れば? by R30さん

事業者については、まったく同じ構造であってもきちんと対応、チェックを行ったため偽造を行った建築士の被害をまったくうけないものがあることが既に知られている。事業者については、事業をやる上での責任の取り方、自由度、他の資産状況、そしてなによりも事業を行う覚悟があるはずなので、一旦置く。

構造計算を偽造されたマンションの所有者はどのようなファイナンスをとっているのだろうか?ヒューザーの役員などの会社役員、医者、弁護士などが含まれることが知られているが、ほとんどは都内の会社につとめるサラリーマンではないだろうか?

構造計算書偽造物件:物件概要(平成17年11月21日(月)/国土交通省公表) @ 国土交通省 (PDF)

↑の国土交通省の資料によるとマンション案件で合計471戸だということだ。売買価格が、仮りに30百万平均とすると140億円あまりということになる。ホテル案件、工事が中止された案件、これまであるいはこれから発生するであろう関連企業の信用不安などをふくめると莫大な金額になるのだろう。

そして、一番恐ろしいのがこの事件に関連して発生する既存の案件に対する担保価値の減少であるのだが、これは一旦置く。国民全体から見ると実はここが一番恐いのかも知れない。

とにかく、一番切実なマンション被害に焦点をしぼろう。

まず今回問題になっている「震度5強の地震」が発生する確率はこのローンの存在期間中でどれくらいなのだろうか?私は地震についてまったく素人なので↓の表をどう読み込めば良いのかわからない。しかし、これで読む限りは「対象型地震」=関東大震災クラスの地震が起こる30年以内の確率は10%以下であるように思われる。ちなみに、建築基準法では今後の地震の確率とそれによってどれくらの被害額を想定して法的な基準を定めたのだろうか?

図31 BPT分布による大正型関東地震の30年確率の時間推移 @ 地震調査研究推進本部

今回の一連の案件は5年以内で売り出されて、平均25年から30年程度の期間のローンであったと考えられるので、「いつ」という要素を抜きに考えれば、ローン残存中に地震があり担保価値がなくなるのは、ローン期中平均残高を30百万の半分の15百万とすれば、単純に10%を掛けることが適切であれば、150万円ということになる。もちろん、この時に生じる貨幣価値に換算できない、住民の方の資産や家族といった要素はまったく別にしての議論だ。金融機関からの見方を追っているのだと考えている。

ただし、今回の事件が大きく取り上げられる中、転売する価値というのは大幅に下がっている。ほとんど0に近いはずだ。解体するにも大きな費用がかかるので、土地の価値すら見込めない可能性がある。昨今の産業廃棄物に関する法律の厳格化などにより都心で鉄筋コンクリートの高層建物を解体するには坪15万から20万程度かかるのではないだろうか?20億から30億という金額になる。

一方、一定以上の信用のある方たちでないとローンは組めなかったであろうから、現時点では471世帯の信用力の合計というのは、かなり大きいはずだ。平均年収を500万と仮りにおけば、年間の返済額が20~25%程度が健全であると考えられるので、金利を2.5%と仮定して、ローン電卓が手もとにないので乱暴に計算すれば、以下の式を解けば良いことになる。

X / 30 + X * 2.5% < 5,000,000 yen * 25%

但し、Xは、「与信可能な金額」を示す。

ということで、1世帯あたり21百万あまりの与信可能額となる。ところが、価格は30百万近くであったはずなので、もしかすると自己資金を10百万近くマンション所有者はつぎこんでいることになるのだろうか?年収比を30%にあげても25百万程度の与信可能額であるので、やはりすでにかなり自己資金を当該のマンション購入につぎこんでいらっしゃって、被害額に対してローン残高は80~70%程度である可能性があるということだ。もしかすると、平均年収の仮定が大幅にまちがっているのかもしれない。

これらを考えると、地震によって失われるであろう10%あまりの確率損失よりも、70%以上は見込める個々人の信用力の合計の方が大きいので、金融機関にしてみれば担保価値が減っても個人個人のローン残債はかなりの確率で回収できと期待すると想われる。一方、転売、建て替えなどは非常に大きなリスクと、信用収縮と費用がかかることになる。住民側からすれば、不安を抱えて生活することは難しいが、一部の例外を除けば、家賃などを負担しながらローンの返済をしていくことも不可能に近いだろう。社会的には、施工、販売にかかわった会社が危機的な状況にあることも含めて、所有者にかなり同情的なまなざしがある。政治的にも、この問題がながびけば社会全体の担保価値の見直しという、信用収斂が発生する可能性が高くさけたいと思っている。

これらの要素を考えれば、政府から一定の保証をとりつけ、耐震補強を行ったマンションに住み続けていたく、あるいは建て替えをしながら、ローンの残債についてはなんらかの受け皿を作って各金融機関から譲渡してもらうと言う選択枝がもっとも金融機関、所有者、社会、政治的に妥当であるように、私には思われる。そして、転売可能額と地震の発生確率に基づく担保価値の再評価額の間をとって、政府から資金をいれていただくか、金融機関に債権をディスカウントしていただいて、政府関連のファンドあるいは、住民の方たちで設立するファンドで債権を買い入れ安心を買うと言う方法は可能であるように思われる。

いずれにせよ、(法律上の)善意の民間対民間の問題となる分譲マンションのローンの問題が一番社会問題化しやすいといえよう。

落ち着いた時点で、マンションを建て替える、あるいは補強するときの収支見込などにチャレンジしてみたい。

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