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2006年2月28日 (火)

それでもヴィジョナリー Timing is All

わくわくしながら、やまぐちさんの記事を読ませていただいた。

「ビジョナリー」から「プランナー」へ by やまぐちひろしさん

少し前から大前研一さんの「平成維新」を読み返そうと努力している。やまぐちさんがおっしゃるとおり、本書の片言隻語からでも「ああ、この人は本当にヴィジョナリーなのだな。」と思わせるられる。当時の官庁がこのままの体制だと将来どうなってしまうのか、という十数年前の大前研一さんの予測はかなり正しい。建設省と運輸省を併せて国土の保全に責任を持つ官庁を作るというアイデアも、この人のものではなかったか?グローバル化という市場が一本化していく傾向についても実に的確に書いていらっしゃる。通産省の技術に対する政策の歴史的分析からも、いまのMSとインテルの席巻をなぜ招いたのか、IT技術で米国とこれだけ差がついたのはなぜなのか、よく分かる気がする。

だが、やまぐちさんの記事はわくわくしても読めても、もはや本書をわくわくして読めないのだ。

実はこの本は半年前から再読を試みているのに、まだ3分の1もいかない。わくわくどきどきしないのだ。読めば読むほど、なんと現在の日本は方向転換が可能な地点から外れてしまっているのかという悔いばかりが残ってしまう。がっかりしてしまう。この本一冊に収まる省庁再編、道州制の導入というアイデアも既に時勢を失しているのではないだろうか。

なぜか?

当時のヴィジョナリー、大前研一さんでさえ、市場の一本化、均質化という傾向は読めていても、IT化の進展が全世界をもひとつにつなげてしまうのだと、その時点では読みきれていなかった。地理的な条件で、ということは移動、流通コストによって、道州の境を明確にできるという前提で本書の道州制論は書いてある。州に分けることにより地理的に近い海外との連携もとりやすくなるという予想のもとに本書は書かれている。行政もスリムになるだろうという前提で本書は書かれている。

時代は変わった。

べき乗則を持ち出すまでもなく、市場は国境を越えて単一化し、大企業がますます大企業となっていく傾向を深めている。単一化すること、広い範囲をつなげることで、コストが下がっているのだ。これは、大企業病が隆盛だった当時から考えると隔世の感があるのではないだろうか。限りなく情報伝播、通信に関わるコストは低減してきている。紋切り型な例だが、日本のITシステムをインドで作っているとも聞く。意識していなくとも、グーグルを使う度に、我々は米国のシステムにアクセスしている。全国チェーンシステムの強みは、POSシステムによる商品の売れ行き動向のデータマイニングではないのか?巨大金融機関が更に合併を繰り返すのも、IT投資の集中化、集約化が出発点だ。

州ごとにもう一度経済的な鎖国でもしないと、行政は分かれても経済は単一のままという状態になるだろう。もっと言ってしまえば、州ごとの政策の差があまりに大きくなれば全国組織、全世界組織になることで経済が一定の力を得ることができるのに、州で分かれてしまえば州政府の力が、州ごとの経済単位の力を上回る状況につながりかねないように思う。現状を鑑みるに分かれれば分かれるほど、行政は硬直化している。

少々、尻切れトンボだが、これ以上書くと書かなくていいことを書いてしまうそうなのでやめる。

■をっと!

ここまで書いてから、やまぐちさんとこに同様の主旨でもっと簡潔に書かれたコメントに気づいた。

名無之直人さん


4061848941平成維新
大前 研一
講談社 1991-02

by G-Tools

GDPの大きさ尺度の世界地図の書画をだしたいなぁ。

■参照リンク
大前研一はなぜ都知事になれなかったか? by Danさん

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» 「ビジョナリー」から「プランナー」へ [H-Yamaguchi.net]
「『道州制導入が適当』、21事務を移譲…地制調答申案」なんて記事が出てる。 いつ [続きを読む]

受信: 2006年3月 1日 (水) 09時46分

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受信: 2007年1月19日 (金) 08時13分

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