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2006年3月20日 (月)

[書評]クルーグマン教授の経済入門 The Age of Diminished Expectations

いんやぁ、この本を読んですんごく安心してしまった。やっぱり、世の中わかってる人はわかっているわけだし、私のようなパンピーが心配しなくてもいいことは心配する必要はないんだね。

4532192021クルーグマン教授の経済入門
ポール クルーグマン Paul Krugman 山形 浩生
日本経済新聞社 2003-11

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この本がどれくらいすごい本か、すごい本に山形さんがしたか、ということについては、ご本人の言葉にまさる言葉はない。

ぼくはこの本を読んで、目からうろこが山ほど落ちた。そうなのぉ!?生産性って、どうして上がったり下がったりするのかわかってないの!?インフレって経済大崩壊への序曲じゃないわけ!?G7国際サミットって、そんなどうでもいい代物なの?日米貿易摩擦ってのも、大騒ぎするほどのもんじゃないわけ?保護貿易っていいものではないけど、悪魔の尖兵でもなかったのね!?欧州通貨統合ってのも、そんな怪しげな代物でしかないのぁ!?

まして、私ごときが最近の日本の就業人口あたりの生産性なんぞ計算できないのもあたりまえだ。

我々の未来としての「ワンゼロ」 (HPO)

あ、そもそも生産性について書いた↑の記事では、クルーグマンの強調する経済における大事なことは生産性をあげることだという結論と全く反対なことを書いている。失業率と経済成長、NAIRUのこととか全く理解していなかった。ああ、恥ずかしい。

また、切込隊長さんの「経済は期待だ」というセリフとクルーグマンが書いていることは、結構ひびきあっているんじゃないかな。

エマージング市場の金融危機が、最終的にはどんな形に落ち着くのかは知らないけれど、この話が持っている意味というのはかなりこわい。この危機の分析が正しいんなら、多くの国は、要するに資本市場のきまぐれでしかないものにもてあそばれかねないってことだよね。国がこまった状況になるには、別にやばい政策をとらなくたっていい。

山形さんが「クルーグマンせんせいのこと」を紹介してくださってるけど、貿易、為替、都市に関して、最初のごく小さな条件の差が大きな結果の違いを生むという方向性の研究をしているらしい。こうした考え方は、あきらかに「べき乗則」的だ。この辺について書いてあるに違いない「自己組織化の経済学」を読むのが楽しみだ。

多分、結論的には全く間違っているに違いないけど、私がカオスについて考えたり、シミュレーションしたりした方向性はちょっとだけかすっているのかもしれない...かな?

インフレーションの形 (HPO)

をっと!興奮してお礼が後になってしまったけど、あえてお名前をあげないが、この本を紹介してくださった方には心の底からありがとうと言いたい!

■参照リンク
YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page

■追記 翌日

まる2年ぶりにm_um_uさんからクルーグマン先生の本書の貿易の考え方についてコメントしていただいていたことに気づいた。

つまり、 生産効率だけで考えると、どうしても理解不能なところが出てくるんです. んで、 それよりは「なんだか知らないけどA国のほうがB国に優るようになってて・・それが歴史的に続いてきた(信頼の形成)から、いまは「たろ芋」っていったらA国だ、ってなった(比較優位は歴史的偶然性によって形成された)>って考える方が自然な感じ・・・ってクルーグマンあたりが言ってたきがします...(「クルーグマン教授の経済入門」だったかな..)

今更ながら、ブログ界隈のふところの深さを実感する。m_um_uさん、ありがとうございます!

■追記2 翌日

あ、もうひとつ発見!

ちなみにインフレとデフレが社会に与えるわかりやすいインプリケーションは(既にご紹介したかもしれませんが)クルーグマンの「経済を子守りしてみると。」 http://cruel.org/krugman/babysitj.html によくまとまっております。ではでは。

御礼に行ってこよっと!

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コメント

3年前から居間に置いてあります。別にバイブルというわけでもなく山形訳が居間で何となく読むのに楽という感じで。

NAIRUには脱帽しました。現象の説明に必要な変数が本当に最低限になっており、「問題の本質をとらえた最大限の最適化」とはこういうことかと実感しました。

投稿: 二流 | 2006年3月21日 (火) 14時31分

二流さん、こんばんは、

山形訳、本当によいですよね。結構感動しております。

やはり、クルーグマンさんのような方には見えてしまうんだろうなという感じがします。ドラッカーを読んでいても感じますけど、本当に見える方には、世界がシンプルに見えるのではないでしょうか?

後は世界がそうしたシンプルな世界観を受け入れるか、自分の利害にゆがめようとするのか、という差ではないでしょうか?

投稿: ひでき | 2006年3月21日 (火) 17時05分

結局、結果論として、クルーグマンの経済学はゴミ並み役立たずだったと思うのですが、彼自身は何とコメントしているのでしょうか?知っている方教えてください。

投稿: アンチ・クルーグマン | 2006年4月 4日 (火) 22時47分

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