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2006年3月13日 (月)

貨幣はセックスから生まれた? Sexuality, Information and Currency

前に上野千鶴子の処女喪失作である「セクシィギャルの大研究」を読んでから、貨幣の最初はセックスから始まったのではないかという妄想が頭から離れない。

[書評]セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方・読ませ方

上野千鶴子は本書で見事に性的な記号が原初的であり、普遍的であることを証明してみせたと思った。唇に指を重ねるしぐさ、背中を向けた女性がふりかえる姿、みな見事にセックスと関連している。かつ、ひとつひとつのしぐさや姿勢が一定の記号という単位を持っている。

つまり、セックスとはヒトにとって価値を持つ単位であるということだ。そして、ヒトはヒトが欲望するものを欲望するという真実から、セックスが貨幣に成り得たのではないかとい妄想が誕生した。

しかし、それ以上には貨幣とセックスの関係についての思考の糸口がつかめなかったのだが、先日、palさんのぶくまを見ていてひらめくものがあった。

要は、セックスとは一番原初的な情報の交換であり、生物にとってもの一番大事な財産の交換なのだ。一番原初的な交換様式であるセックスがヒトにとって記号であるなら、モノである貨幣にセックスの担う記号と機能を付与できないはずはない。

男が女を選ぶとき (HPO)
女が男を選ぶとき (HPO)

様々な道具を作る生き物としてのヒトが地上に出現する以前は、生物個体の持つ資産とは遺伝情報そのものであった。そして、カウフマンが言うように単性生物からメスとオスという性を獲得することにより、適応度地形における位置が著しく異なる生物資源を持つ個体が情報交換、財産の取引を行うことに成功した。セックスという取引により効率的な共進化の可能性が生まれたのだ。セックスが可能な限り自分と違う個体、つまり適応度地形における距離が大きければ大きいほど、より価値の高いということになる。

これは現代のヒトにおいても同様ではないか?ヒトは、自分と違う生物的資源、背が高いとか、力が強いとか、男っぽいあるいは女っぽいことにより自分と体つきが違うとか、いうことに性的な魅力を感じるのではないか?これは、ブログ界隈という高度に身体性が問われないコミュニティーにおいてもモテ、非モテが論じられることとも絡んでくるように思う。

こう考えたときにヒトの性が非常に記号的であるということは、ヒトと他の生物を比較する上で示唆するところが大きい。人間の性は、生物資源としてのセックスから初めて分離され記号的にオスはメスを、メスはオスを欲望するのだ。そして、直接のセックスから分離した記号の交換が現代の私達の感覚でいう商取引に結びついたのだと私は信じる。

サルとヒトの祖先が枝わかれするより前、多分ご先祖様たちが群れを作るようになった頃から、遺伝情報を交換するという生物的な取り引きから分離した、性的な記号の交換を擬似的に行うことがスタートしたのではないだろう。

他の動物と異なり、1年のいつでもセックスが可能なくせに、長い妊娠期間のためにセックスのできない期間が長いヒトにとって、オスとメスがつがいでいるためにも疑似的なセックスとして記号が必要だったのではないだろうか。オスがメスに性的なアピールを記号的に供給し続けなければあっというまに捨てられてしまうのは、自然界あるいは人間界、ブログ界隈のどこを見ても真実のようだ。

共通のご先祖様から現代に至るまでの一体どの世代から、同じ種族の中で死ぬまで群れの中の地位をめぐって争い始めたのか知りたいと思うのだが、暴力に至る以前に、オス同士のメスをめぐる程度記号的な争いと、メスとオスをめぐる記号的なやりとりが先に発生したのではないだろうか?あるいは、本当の力と力のぶつかりあいでの絶滅戦を行う変わりに、自身のセックスの能力を誇示することによるよりマイルドな序列を作ることもできるであろう。

本当は、「文明」といえるものが芽生えた後でも、ついこの間まで性的な活動を通じた繁殖こそが人間にとってすら財産の全てであったと行っても過言ではないだろう。

言語の発生とヒトのセックスの記号性の獲得とでは、セックスの方が先であったろうと思う。言語と性的な記号がどれだけからんでいたかは私には現時点で判断できないが、言葉を獲得した私たちの祖先は、確実に性的な記号をより言語の延長として性的な記号を分離させようとしたに違いない。どの時点からセックスを記号として独立したものとして取り引きの対象にしはじめたのかだろうか?どの時点から、貨幣が性的な意味を喪失していったのか?

いずれにせよ、性と取り引きが非常に結び付いたまま社会が発展し、性の大体物として貨幣が発生したために、貨幣には常に性的な形態が付与されてきたのではないだろうか?

[書評]相対幻論 (HPO)

■参照リンク
ファルスとしての貨幣 by 永井俊哉さん
市場が貨幣を作る by Hicksonianさん

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