黄金比ってべき乗則なの? Golden Ratio and Egology
思い出せばバナナフィッシュを読んだときから、フィナボッチ数が気になっていた。フィボナッチ数と黄金比の話を読んだのだが、これはフィボナッチ数列が生物の増殖と関係があり、べき乗則のカーブを描いているということではないだろうか?
さっそく、エクセルで作ってみた。前の前の数と、前の数を足すというだけの簡単な数列なので、すぐにつくれる。
Xn=Xn-2 + Xn-1
フィボナッチ数列 | 比率 |
1 | |
1 | 1 |
2 | 2 |
3 | 1.5 |
5 | 1.666667 |
8 | 1.6 |
13 | 1.625 |
21 | 1.615385 |
34 | 1.619048 |
55 | 1.617647 |
89 | 1.618182 |
144 | 1.617978 |
233 | 1.618056 |
377 | 1.618026 |
610 | 1.618037 |
987 | 1.618033 |
1597 | 1.618034 |
2584 | 1.618034 |
4181 | 1.618034 |
6765 | 1.618034 |
10946 | 1.618034 |
17711 | 1.618034 |
28657 | 1.618034 |
46368 | 1.618034 |
75025 | 1.618034 |
121393 | 1.618034 |
196418 | 1.618034 |
317811 | 1.618034 |
514229 | 1.618034 |
エクセルの表示桁数だと17番目の数字からほとんど、前後の数字の比率が変わらない状態になる。本当に単に足し算をしているだけなのに、不思議だ。
この数列をグラフ化してみた。
完全に重なっているので見えないが、指数関数の近似式がR^2=1で完全に一致しているのが分かる。
y = 0.4509e ^ 0.4811x
これはすごいことだ。単なる足し算から自然対数の関数が出来てしまうということだ。ただ、残念ならがこの時点でべき乗則とは異なる曲線なのだと分かる。
あまりに美しすぎる話なので、なぜ?とググってみたら、すぐに答えが見つかった。
・黄金比からフィボナッチ数列を作る by 上村さん(?)
・【はまぐりの数学】 by 上村さん(?)
なるほどぉ!この上村さんという方は学校の先生らしい。やっぱり、すばらしい先生というのはいまもいらっしゃるわけだ。
結局べき乗ではないことがわかったが、エクセルの近似式が貝殻や生物の姿と関わる螺旋の式に近いことも分かった。エクセルがはじきだした対数の係数は黄金比なのだね。
a=log(1+√5)/2=0.481262…
なんでこんなに簡単な数列から、自然対数や黄金比が出てくるのか?不思議でならない。フィボナッチ数が「数の悪魔」に出てきたときは、うさぎの繁殖を表す数列として出てきた。
失礼を承知で、自然界の現象とフィボナッチ数について上村さんが書かれている部分を引用させていただく。
(9) 植物の葉序とフィボナッチ数このサイトでは、あちこちにフィボナッチ数や黄金角について出ていて、統一してありません。そこで、ここにまとめてみます。
最初の疑問 『なぜ松笠には、5,8,13本のらせんが出てくるのか?』
(1)多角形の外角は常に360度である。そのことから,「分数多角形」が定義できる。
(2)この「分数多角形」を使って、植物の葉序を調べることができる。
(3)すると、葉序は一つとびのフィボナッチ数の「分数多角形」となる。では、なぜ、フィボナッチ数が出てくるのか?
(4)花も葉の進化したものだとすると、葉序と同じで松笠やひまわりの花(種)も「分数多角形」で現すことができる。
(5)松笠やひまわりには「らせん」が現れ、この本数がフィボナッチ数となる。
(6)「分数多角形」を少しずつ成長させると「らせん」が現れる。その「らせん」の数は外角の大きさで決まる。
(7)一つとびのフィボナッチ数の分数の極限は黄金比になり、その「分数多角形」の外角は黄金角(137.5°)になる。
(8)黄金分割からフィボナッチ数が出てくる。また、黄金分割と黄金角は同じものである。そして、フィボナッチ数の一般項から,黄金分割や等角らせんとの関係が明らかになる。
(9)逆に,黄金角で葉序をつくると,全てのフィボナッチ数が現れる。したがって、植物は黄金角で回転しながら葉(花、芽)を造っていると考えると、今までのことが全て説明できる。
(10)では、植物は黄金角を、どうやって識別しているのか?(未解決!)
そういえば、随分以前に社会的なネットワークの仕組みを想像していたことがある。なんとなくフィボナッチ数に行き着くのではないかという予感があった。実際には、社会ネットワークではべき乗則にたどりついた。いずれも数学的には似ているという印象を今回改めて持った。
世界は美しい。
■追記 平成18年3月10日
・ミルカさんとフィボナッチ数列 by 結城浩さん リンクをいただき、ありがとうございます。そして、(1+SQRT(5))/2は黄金比であるということですね。
![]() | 黄金比はすべてを美しくするか?―最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語 マリオ リヴィオ Mario Livio 斉藤 隆央 早川書房 2005-12 by G-Tools |
![]() | 数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜 ハンス・マグヌス エンツェンスベルガー Hans Magnus Enzensberger 丘沢 静也 晶文社 2000-08 by G-Tools |
そういえば、「バナナフィッシュ」に知能検査の問題としてフィボナッチが出てきてたな。
![]() | Banana fish (1) 吉田 秋生 小学館 1986-12 by G-Tools |
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コメント
ひできさん こんにちは
いやー、ホント不思議!このフィボナッチ数とか黄金比、
何か根源的なものを感じます。
http://pro.cocolog-tcom.com/edu/2005/08/post_f0da.html
ゲーテの自然研究は、『植物のメタモルフォーゼ』(1790年)という自然科学論文として結実しているのはご存じの通りである。そして、このゲーテの自然科学観は、拙稿第二回・「メタサイエンスのすすめ」で述べた黄金比がその根底にある。さらに、ゲーテの自然観は中国の陰陽原理を連想させるものであり、それが老子の『道徳経』および『道徳経』をビジュアライズ化した『易経』へと繋がっていくのである
http://pro.cocolog-tcom.com/edu/2005/09/post_eb17.html
■ガウス座標
最近の日本は国民同士がバラバラであり、政界・財界・官界の腐敗ぶりには凄まじいものがあるが、これも社会全体にわたって信用が損なわれているためである。それほど重要な信用であるが、目に見えないインタンジブルなものであるためか、今までに日本の経済学者やエコノミストの間で信用を取り上げた者はほとんどいなかったように思う。そのインタンジブルな信用を複素数として、ガウス平面に表示する構想を打ち出したのが藤原博士である。
ガウスの予備段階としてφ座標を藤原博士は用意されている。このφはフィボナッチ数列のことであり、自然の摂理を探求するにあたって物凄い威力を発揮する数列だが、第二回「メタサイエンスのすすめ」で既にそのあたりを述べているのでここでは繰り返さないこととする。それはさておき、次のガウス座標について藤原博士は以下のように述べている。
投稿: it1127 | 2006年3月 5日 (日) 16時49分
これも面白かったので貼っておきます(笑)
http://pro.cocolog-tcom.com/edu/2005/07/post_a14e.html
投稿: it1127 | 2006年3月 5日 (日) 17時09分
it1127さん、こんばんは、
リンクをはっていただいたブログを読ませていただきました。うなっております。ゲーテとか、フィボナッチとか、黄金比とか、経済における信用の重要性とか、かなり興味の分野はかさなる方だとお見受けしました。
でも、ちょっと向いて方角が違うような気もします。もちょっとよく読ませていただきます。
投稿: ひでき | 2006年3月 7日 (火) 21時26分