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2006年4月 2日 (日)

ネット界隈という新たな生態系 A New World Order

あまりにも当たり前だが、うらみがましいことを言ってしまった自分のばかさ加減に自分であきれる。いつかまた新たな展開があり、新たな心境になれたら報告したい。

そんなことは置いておいて、ふと昨今の「事件」をひとつ、ふたつ考えてみれば、ネット界隈が次第にリアルを補完するものになってきているとはいえないだろうか?

PSE問題を詳細に追えているわけではないのだが、これまで日本のリアル界隈において「業界団体」というのが「国民の総意」を代表することが多かった。多分、今回の騒動も相当担当のお役所は事前のヒアリングや公聴会、パブリックコメントなどを「業界団体」に求めた上で制定した法律であるので、当初「変えるつもりはない」とはっきり言い切れたのだろう。

しかし、構成員の高齢化や団体の組織率の低下や、ウェブ関係の企業などの新興勢力の台頭により、すっかりこれまでのスキームが役に立たなくなっていることに気づかない人がいたのだろう。一方で、今回、反PSE勢力がネットを経由してチカラを増したように感じるのは私だけであろうか?

敷衍してしまえば、否定的なものであれ、肯定的なものであれ、ネット上での村八分やら、批判やら、コメントスクラムやらを含めて、ネット界隈に新たなチカラが生まれてきているのかもしれない。このチカラは、リアルでは非常に利害の調整や意見のとりまとめに時間とコストのかかる「国民の総意」の形成をごく短時間でシミュレーションし、リアル界隈を先取りし始めているので、チカラを持つのだといえる。そもそもお役人はみな優秀なので口うるさい「国民」が集まっていて、比較的集計しやすいネット界隈と相性がいいのではないだろうか?

つまりは、ネット界隈を生態系なのだと見たと時、そこには、食ったり食われたりという関係が生まれて当然なのだ。そこでは、当然敗退し、ネット界隈から排除される人格も発生するだろう。実際の生態系と同様、遺伝子=ミームがその伝播と子孫の存続をかけて日々闘争を繰り返しているのが、ネット界隈であり、ワイルド・ワイルド・ウェストなブログ界隈なのかもしれない。

クルーグマンの「自己組織化の経済学」(ISBN:4492312404)を読んでいて感じたのは、この先にある世界の恐ろしさだ。多分、金融の世界がアービトラージュを世界中で繰り返しながら、適応度地形の捕食関係とリアルでの資源配分を最も先取りしている。もし、ネット界隈がますます参加者を増やし、高度化していけば、ネット界隈での敗北が大勢ではリアルでの敗北を意味するようになるかもしれない。優秀なお役人が政策を匿名でマスコミにリークするのではなく、巨大掲示板や匿名ブログに大まじめでリークするようになるあたりが一つの分岐点となろう。もっと飛躍してしまえば、この時点で日本の都市集中が瓦解し、金融における土地本位制が意味をなさなくなる。ネット界隈にまともに参加できるインフラさえあれば、世界中のどこに住んでいても日本経済の大勢を決する意思決定に参加できるようになれば、来るべき少子化の時代に予測される都市部におけるインフラのメンテナンスコストの爆発による都市部のスラム化と相まって、都市部の、ということは日本全土の土地価格が下落し、ネット界隈における適応度あるいは競争力こそが一番の経済的価値を持ちうるようになる。

4492312404自己組織化の経済学―経済秩序はいかに創発するか
ポール クルーグマン Paul Krugman 北村 行伸
東洋経済新報社 1997-08

by G-Tools

土地でなく、金融資産でなく、旧来の意味でも資金力でなく、企業あるいは個人の信用力、競争力が経済を決する日が来ないとはいえない。

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