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長浜の船浅さんってどなた?

先日、建設業界の関係の勉強会に出席させてもらいました。パネルディスカッション形式で、同世代の建設業者がどのような市場認識で、どのような取り組みをしているか、そしてどうやって生き残ろうとしているか、を発表しあいました。発表しているうちに、段々自分の仕事である建設業とこのブログとは別に自分の勝手な意見をかいているブログとが重なる感触があったのですが、それはまた別な機会に書きます。

パネラーとして参加してくださった中に、滋賀県長浜市の船浅さんがいらっしゃいます。株式会社 船浅の藤居社長さんのお家は、秀吉のころから続いている家で、昔は船大工さんだったそうです。先代は、材木業を営んでいらっしゃったのですが、現在は大工さんを育てるところから家造りにとりくんでいらっしゃいます。

以前、材木関係の仕事をして大工さんと取引をしていた時、藤居さんは大工さんが後継者を育成していないことに気づきました。「伝統的な大工の仕事がとだえてしまう」、という危機感をいだき10年以上前から大工さんを育て、一棟一棟こころをこめて地元で家造りをしてこられました。もともと材木屋さんですから、木に目がききます。目利きを生かして、無垢の木をきちんとつかっているそうです。

無垢の木をきちんと使うというのは、昔は木を切るにも決まった時期があり、切った木を自然乾燥させてから、その年輪をみて家のどこに、どの方向で、どんなふうに材木を使うか、ひとつひとつ知恵があったそうです。いまでは、工業化がすすみ、プレカットがすすみ、そういう知恵はまったく無視されてしまっています。船浅さんでは、プレカットを使わずに一本一本を大工さんが手で刻んで家を組み上げているそうです。

そもそも、長浜というのは秀吉が最初に城をもったところで、昔から北国街道(ほっこくかいどう)の要所として栄えてきた街です。前にも書きましたが、江戸期から明治期にかけてのすばらしい商家などが残っているところです。いまは、交通のネットワークも変わってきてしまい、ある意味不便なところですが、藤居社長と意見が一致したのは、不便であることの価値です。大手企業が場合によっては、撤退してしまうような場所で昔ながらの伝統技術をいかして商売をさせていただくことの価値をあらためて感じました。

■参照リンク
木の家フナアサホーム
普請道楽ってなに? (当サイト記事)

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