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[書評]市町村崩壊

4902835045市町村崩壊 破壊と再生のシナリオ
穂坂 邦夫
スパイス 2005-05-28

by G-Tools


本書は、つい先日まで埼玉県志木市の市長をされていた保坂邦夫さんのご著書です。これを読むとかなり背筋が寒くなります。内容的には、市長の体験を踏まえた現在の日本の市町村に関する具体的な事実と、10年以内に起こりうるであろう1000兆円を超えて積み上げられた国と市町村の借金による国際的信用不安がおこったときのシミュレーションノベルの2部構成となってます。

確かに国際的な信用不安、日本の国債価格の暴落が起こり、中央政府が機能停止に陥った場合に、地方自治体も大混乱に陥るものと思われます。本書が描いているような予測される大混乱の中で、「シビルサーバント(公共に奉仕する人=英語で「公務員」のことをいう)」としての任務を地方自治体の関係者が再自覚し、再生を図るというシナリオはかなり「ありえねぇ~」と感じざるを得ません。しかし、その中で展開される市民によるボランティアなどによる地方自治体への参加、あるいは米国のタウンミーティング的なごく小規模の自治体の形成など、示唆されることはいくつかありました。

しかし、本当に恐ろしいのは、地方財政の想像を超えた悪化状況とその打つ手のなさ加減です。例えば現在の地方税収は約32兆円なのだそうですが、地方公務員の人件費的経費だけで31兆円になるのだそうです。また、作者は志木市の市長と議員にかかる経費を公開しています。両方併せて2億5千万を超える金額になるそうです。現在、志木市の財政は緊急自体を宣言するほど逼迫しているようです。

志木市財政非常事態特別対策プロジェクト
志木市「平成16年度一般会計当初予算」 (PDF)

この志木市の実態を見てもわかるように、最近の「地本分権三位一体改革」で、地方への権限と財源が移譲されると言われていますが、現実にその地方であがる税金ではとてもとても地方自治体の支出をまかなうことはできないでしょう。

地方分権と国会議員の改革のために必要な改革! 三位一体改革の基礎知識 @ AllAbout

ちなみに、案外各市町村は財政データをネット上で公開しているようです。ぜひみなさんの自治体の財政力をこの機会にチェックしてみてはいかがでしょうか?

よく言われるように、中央政府がすでに「実際の年収が400万円しかないのに、年間で800万円も使っていたので、毎年借金のための借金を繰り返すことになる、気がつくと8000万もの借金がたまってしまった」とたとえられる状態にあるわけですから、まして地方では財源を移譲されても消費税などの大本は中央政府が抱えたままで配り方を変えるのにすぎないわけですから、親亀こけたらの論理で地方自治体は途方にくれるだけではないでしょうか。通常こういう状態に家計や会社の財務が陥ってしまった場合、強力なリストラが行われることでしょう。余談ですが、公務員というのはなにか不正を行ったりしない限り基本的に「クビ」ということがないのだそうです。

http://www.hatena.ne.jp/1129727065

建築屋の社長としては、どうしても関わらざるを得ないものですから、地方自治体の財政状況と今後はとても気になるところです。ただ、どう考えても公共事業で無駄なお金を使っている場合ではないということは、本書を読んで強く強く感じました。

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落札率ってなに?

長くご無沙汰しておりますが、少々覚悟するところがありまして、ブログのタイトルも変更し、話題の種類も変えて行きたいと思います。

覚悟するきっかけの一つは、この記事です。

電子入札:効果薄く、落札率下がらず--県、浦安市など導入も /千葉 @ 毎日新聞

公共工事入札のコスト削減と透明性向上を狙い、県内で電子入札導入の動きが広がっている。しかし、県が先月初めて実施した電子入札では落札率が約98%、県内で先駆けて導入した浦安市でも、平均落札率が96%を超える。落札率は予定価格に対する落札価格の割合で、95%を超えると談合の可能性が高いとされている。電子入札が落札率を引き下げる効果は薄いのが現状だ。

この記事で言われている落札率というのは、発注主体の自治体などが事前に決めておいた工事の「予定価格」で、実際に落札された金額を割った比率を言います。つまり、予定価格と実際の落札価格がどれだけ近いかを示すわけですね。建設屋として正直に言いますが、民間の普通の工事でも普通に積算(見積もり)を行っても10%内外の誤差はでます。これは工事に対してどのような計画をするのか、壁、床、コンクリート量などの面積や量をどれだけ正確に拾えるのかによって変わってくるからです。また、一方、積算の依頼をいただいたときに、その物件に対してどれくら「情熱」をもって取り組めるかによっても価格は変わってくることがあります。官庁工事でごく普通に2~3%しか入札価格に差が出ないということは異常事態であるといわざるを得ません。しかし、この異常事態が数十年にわたって続いてきているということろに官庁工事の異常さがあると思われます。正直、「談合」の存在する可能性が高いということです。

電子入札とは、記事にあるように、入札時には業者間で顔を合わせないで数字を入れられる仕組みです。入札時に同じ部屋にいること自体が「談合」の温床になるというということで導入されました。しかし、結果は↑の記事の通りです。

以後、こうした官庁工事関係の記事も本ブログではあつかって行きます。あ、申し遅れましたが、ブログのタイトルの通り先日私は建設会社の社長になりました。これからもよろしくお願いいたします。

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