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住いの所有と賃貸のリスクって?

先日、某所で話をしていて、急遽、持ち家、分譲マンションと貸家、賃貸マンションのメリット、デメリットの分析をすることになりました。私の仕事は賃貸マンション関係が多いなので、賃貸よりのバイアスがかかっていることは否めませんが、ざっとポイントをあげてみました。概要を下の表にまとめました。

結局、所有か賃貸か、というのは未来における選択のはばを固定するか、広くしておくのかの問題だと気づきました。将来の住み替えが、「買い替え」なのか、「引越し」だけでいいのか。あるいは資産形成の観点から、将来インフレを見込むのか、デフレを恐れるのかの差がどちらを選ぶかの分岐点になるのではないでしょうか。

これまでは、持ち家かどうかでローンの条件が変わるという時代もありましたが、都心を中心にこれからは大分かわって来ているように思います。また、持ち家は即資産形成ということでしたが、金融商品、利回り目的の不動産投資商品のはばもひろがるなか、資産形成と「住い」を分離して考える選択のはばができてきているように思います。

  持ち家派 賃貸マンション派
価格 買取時に大きな金額がかかる。 敷金、仲介手数料等が最初に、賃料が恒常的にかかる。
ローン、負担の上下 金利がかかる。金利は変動する。 賃料の値上げのリスクがある。
税金 取得時、保有時に税金がかかる。 基本的にオーナー負担。
メンテナンス 5年、10年、20年と補修費用がかかる。 同上。
広さ、グレード 面積は広く、グレードは相対的に高いものが多い。 まだ、分譲、戸建てと比べると差がある。
価格変動 インフレ、デフレの影響を受ける。 賃料の値上げのリスク以外は、変動の影響を受けにくい。
選択権 一度買うと様々な制約を受ける。 常に住み替える選択権を持っている。
改善策 ノンリコースローンの普及。 スケルトン&インフィル分離賃貸方式、ツクバ方式

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構造計算の入門書って?

人間必死になるといろいろ力を発揮するもので、2級建築士の試験以来忘れ果てていた「建築構造」にチャレンジしています。まだ頭の中をQだのMだのZiだの記号が飛び交っていますが、なんとか構造計算書がいいたいことが分かるようになって来ました。

4844534378鉄筋コンクリート建築 構造計算の手引き
増子 浩正
理工学社 1983-01

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これは旧い本ですが良書です。非常に実用的な本でした。おすすめですね。「">その2」もあるようです。今度読んでみます。

構造計算の実務―知っておきたい根拠と常識
構造計算の実務―知っておきたい根拠と常識SE委員会

建築技術 1996-06
売り上げランキング : 118,997


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この本も実務家向きの本だといえるでしょう。10年ほど前に出た本ですから、ある程度コンピューターを使うことを前提にしています。意匠関係の方が構造計算、構造設計を再入門するとか、仮定断面を出したりするには非常に使い易いと思います。そうはいっても終局耐力の計算まで解説されていますので、確認申請時の理論武装には使えるのではないでしょうか?

鉄筋コンクリート構造入門
鉄筋コンクリート構造入門西谷 章

鹿島出版会 2001-02
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この本の監修をされている松井源吾先生というのは、確か「構造の早稲田」といわれる早稲田理工学部の黄金期を築かれた方だと聞いています。実は私の父であり、私の会社の前社長の恩師です。敬意をもって本書を読んでおります。

駆け足で紹介しましたが、まだまだ良書はいっぱいありそうです。しかし、ウェブ上での解説が少ないのがこの分野で残念なことです。ひとつだけすばらしいサイトを見つけました。

構造屋さん修行中 by かずぅさん

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「耐震偽装対策」は、「実効性ある仕組みとなるのか」?

読売新聞の社説を読ませていただきました。

2月23日付・読売社説(2)

一般の認識と建築関係者の認識がこんなにも違うのかとびっくりしています。私のごく狭い範囲の経験ですが、特定行政庁はみな縦割りで横の連絡がなく、特に構造については本当に担当者の方によって全く検査方法、検査内容が違ったという印象を持っています。対して、玉石混交なのかもしれませんが、民間の検査機関はきちんとシステム的に対応していると感じていました。社内で、法文の解釈、構造の検討につても専門のセクションがあり、全国一律で確認業務が行われているように感じておりました。


一般の方の認識というのは、マスコミの無責任な報道があり、かなり民間検査機関に厳しいものになっているように感じておりますが、本当にそうなのかの検証が必要なのではないでしょうか?

4844606948目からウロコの確認申請―建築基準法
日本ERI
理工図書 2003-12

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「第三者機関」がどのようなものになるのか分かりませんが、特定行政庁が構造計画の審査にあたりこうした機関を利用することは、これまでなかった「横」の連絡につながることになるので、とてもよいことだと思います。

建築確認行政のIT活用ってなに? (KEN)

また保険制度についても、一律の保険料でなく、ボンド制度のような各建設会社、設計事務所の過去の実績に基づく各付けが行われるようになれば、有効に働くと思われます。現行の官庁工事向けのボンドのような一律の保険料というのがいったいどうやって実効ベースに乗りうるのか、非常に不思議に思っております。

少々、軽率だと思いますが、あまりの認識の差に愕然としこのエントリーを書かせていただきました。

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[書評]亡国マンション

4334933742 亡国マンション The Truth of Defective Condominiums
平松 朝彦
光文社  2006-01-24

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一昨日から風邪による腹痛でころげまわっております。建築屋の社長にあるまじきことなのですが、どうにも身体が動きません。

そうしたかなり厭世的な気分の中で本書を読みはじめたので、「つらいかなぁ」という感じが当初つきまとっていました。しかし、かなり過激が主張もありましたが、結論的には100年維持可能なマンションとは、外断熱スケルトン・インフィルを基本とするマンションであるとか、所有権よりも利用権を優先させるというつくば方式の権利関係など、当ブログでもこれまで話題としてきた問題と志を一にするように感じました。

私自身もこれまでいかにローコストの建設を追求することが、お客さまによろこんでいただくかという思い込みで仕事をしてきましたが、本書を読んで表面的な経済優先ではなく、長い目で見たマンションなどの建築が必要なのだと実感しました。

お腹がしくしくいたむので、今日はこの辺にしておきますが、またこの本について考えるところを書きたいと思っています。

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