[書評]飛躍する構造デザイン
![]() | 飛躍する構造デザイン 渡辺 邦夫 学芸出版社 2002-09 by G-Tools |
先日、本書を書かれた渡辺先生とお会いする機会がありました。いや、逆ですね。幕張メッセや東京国際フォーラムなど数多くの独創的な建物の構造計画を果たされたご高名な方なのに、私のような一介の建設業者に誠意を込めてお話をしてくださいました。一遍で大ファンになってしまい、本書を買いに走りました。
本書を読んでいるうちに、とにかく具体的な結果である現在の作品の現場を見たくて、仕事の合間を縫って東京国際フォーラムへ行ってきました。
これだけの空間が、2本の柱で支えられているというのは、本当に驚きです。
構造体が力のかかり方、伝わり方を反映しているという様子がよくわかります。
ネット上ですでに本書についての解説や対談がアップされていました。
・東京国際フォーラム ガラスホール @ archstructure.net
・飛躍したい構造デザイン @ 建築家フォーラム
構造は素人の私が付け加えることももはやないのですが、個人的な感想を書少し書きます。
本書を読んで、改めて私は構造デザインという、人の生きる場への数学的・工学的な解と美の追及がたまらなく好きなのだなと思いました。これは幕張メッセや東京国際フォーラムの具体的な構造デザインからばかりでなく、先生がフィボナッチ数と自然について触れていらっしゃる部分でも大変感じました。
・黄金比ってべき乗則なの? @ HPO
私は技術者として2級レベルだし、数学も構造工学も生半可な理解しかできていません。しかし、構造デザインの「おっかけ」なのかもしれません。生半可な理解にすぎませんが、構造解析の分野で使われる数学一つとっても、美しさを感じます。多面体の美しさ、神秘も改めて感じました。
・「博士の愛した数式」から耐震偽装に至る6次のつながり @ HPO
また、本書で渡辺先生はパリ博覧会のクリスタルパレスに触れながら、いかに構造の分野の発展が自然観察から生まれたかを書いていらっしゃいます。また、私の学生のころからの愛読書の「生命潮流」にも触れていらっしゃいます。私の手に負える範囲をはるかに超えますが、フィボナッチ数とまつぼっくりのかさの数とか、生体膜とドームとか、建築物と生物が同じ物理学的構造、数学的原理をもちうるのだとすれば、こんなに深い神秘はないでしょう。
![]() | 生命潮流―来たるべきものの予感 ライアル・ワトソン 木幡 和枝 工作舎 1981-01 by G-Tools |
本書を通して、あの渡辺先生の穏やかなほほえみの奥にある洞察と展望の深さの一端を感じることができました。 深く、渡辺先生に感謝したいです。ありがとうございます!
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