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指名競争入札制度は死滅するのか?

ももちさんのブログを読ませていただいて、小骨がのどにひっかっかったままのような気持ちがしてなりません。

絶滅危惧種へと向かう地方の指名競争入札。 by ももちさん

私は、市場原理に移行するときにやはりいくつか問題となる点があると考えています。これまで好むと好まざるとにかかわらず「談合」が野放しにされていたのは、それが品質確保の唯一の方法であり、十分な数の入札業者を確保、維持する唯一の仕組みであったからでしょう。市場原理に移行するとすれば、私は次の3つのポイントを十分にシステムに組み込むべきだ主張したいです。

  1. 予定価格設定にあったっての価格調査の適正化、市場価格反映のスピードアップ
  2. 瑕疵担保責任の期間延長とすべての工事実績と評価の公開
  3. 過去の実績と地域貢献を加えた価格評価

「1.」はつい先日単位業界団体の会長さんとも話したのですが、私どもからすると故意に価格の反映が先送りされているのではないかと思っています。公共予算の削減という観点と品質はバランスしなければなりません。ところが、予定価格の物価調査の結果の反映はたぶん年単位で行われている中、昨年の夏から現時点までで工事の最終単価で10%から290%は上昇しています。こうした悲惨な現状の中で、正常な入札がおこなわれるとは非常に思いずらいです。

建築工事単価、軒並み上昇・活況で熟練工不足 @ 日本経済新聞1月27日夕刊

確かについ先日までは公表された予定価格は十分に実行可能な工事積算価格を上回っていました。しかし、私が見聞きしている非常にマイクロな視点では、現時点では予定価格は既に10%以上下回っており、落札価格は実行可能な積算価格の70%以下の水準になっていると思います。これでは、品質の確保もあやういと思われますし、落札会社の存続も危ぶまれると考えます。

では、どうしたらよいかという視点で言えば、「2.」と「3.」ですが、これまでおざなり、なれあいでありがちだった瑕疵担保あるいは品質確保のボンド制度などを適正化した上で、実績あるいは技術力、地方への貢献などを加味した入札制度を構築すべきだと考えます。客観的な仕組みの構築が非常に難しいところですが、私は山口浩さんの入札制度へのリアルオプションの適用という考え方は非常に面白いと思います。

4916106938 リアルオプションと経営戦略
日本リアルオプション学会
シグマベイスキャピタル  2006-11


by G-Tools

もういまさらそんなことを悠長に議論している場合ではないという声が多いと思います。ももちさんの危機意識らも伝わってくるようにかなりまったなしの状態であることは確かです。ではどうしたらよいか?私は、現在国関係にとどまっている「公共工事の品質確保に関する法律」を地方公共団体まで早急に適用を広げることだと信じています。

『公共工事の品質確保の促進に関する法律』のポイント』 @ 四国地方整備局

建築屋の社長である私が口にすべきことではないのは十分に承知の上で言ってしまえば、決してこの法律も完璧ではありません。既存の中堅以上の業者さん達が集まって作った法律であるのはちょっと読めば十分にわかります。それでも、現状で体系的に品質の確保と最低限工事業者を「死滅」させない入札制度としては、セカンド・ベストだと思っています。

(地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、公共工事の品質確保の促進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

正直、これまであまり公共工事に興味を持っていなかったので、にわか知識、にわか理解ですが、書かせていただきました。一人でも多くの方の意見を伺いたいです。

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